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製造業へのSFA導入のすすめ。概要から最新のトレンドまで徹底解説!

1.SFAとは

1.1 SFAの概要

SFAとは「セールス・フォース・オートメーション」の略語であり、一言でいえば「営業管理システム」です。具体的に以下のような業務を可能にします。

  • 企業の営業部門における情報を管理し、部門全体への情報共有を容易にする
  • 営業における業務プロセスを自動化する
  • 営業に関するデータを蓄積・分析し、営業の生産性向上や業務改善を実現する

1.2 類似システムとの違い、 各システムで出来る事とは?

SFAと同様に営業部門の活動を支援するシステムとして、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)、MA(マーケティングオートメーション)が存在します。これら2つのシステムとSFAは何が異なるのでしょうか?

大きく異なる点としては、各ツールが支援する対象です。

SFAとCRM、MAの大きな違いは、SFAが主にサポートするのが営業担当者であるのに対し、CRMが主にサポートするのは顧客関係であり、MAが主にサポートするのは見込み顧客の創出という点です。

詳細に違いを表したのが以下の図になります

SFAはこの「行動管理」「商談管理」を行うことにより、営業マンの行動を可視化することが目的となります。

1.3 なぜSFAが必要なのか?

前述の通り、SFAを始めとするデジタルツールは様々な機能によって業務効率化を支援します。しかし、そもそもなぜ営業活動をデジタル化する必要があるのでしょうか?

それは現代の社会において、顧客の活動における拠点や媒体がアナログなものからデジタルのものへと遷移したからです。

前出した図にも記載しましたが、営業における、いわゆる「顧客回り」のプロセスは以下のような手順を踏みます。

a新規引合い獲得 → b商談創出 → c商談管理 → d顧客/営業管理

そして、SFAなどのデジタルツールを導入していない企業において、このプロセスは大方次の様に担われていると思います。

  • a新規引合い獲得・・・営業マンの努力、下手をすれば非効率な飛び込み営業
  • b商談創出・・・営業マンの努力、継続営業
  • c商談管理・・・エクセル管理
  • d顧客/営業管理・・・エクセル管理

このように、従来の営業プロセスは営業マンの属人的な活動に依存している部分が大きいのです。

しかし、人々の生活にテクノロジーが大きく関わるようになった社会の変化に伴い、営業部門の活動を取り巻く環境も大きく変化しました。そうすると、従来の属人的なやり方では通用しない部分も生じるようになりました。

変化した環境の中で、特に営業活動への影響が大きいと考えられる要素は「取引先のリモートワークの進展」「法人顧客の購買プロセスの変化」です。これらの要素が営業活動にどう影響を与えているのかを解説します。

1)大手企業におけるリモートワークの進展

大手企業ほどリモートワークを進めていて、キーマンほど在宅で仕事をしているケースが多いのです。すなわちそもそも客先に訪問しても、いるのはワーカーばかりで決裁権を持つキーマンは在宅、といったケースが増えています。こうした客先に対しては従来の営業プロセスの一部をデジタルに置き換えないと対応ができません。

また大手企業のリモートワークは一過性の話では無く、今後も何らかの形で続けることは多くの大企業が表明している事実です。

2)法人顧客の購買プロセスの変化

従来は出入りの業者から情報収集を行い、新しいサプライヤーを探すためには展示会や見本市に出かけていって探す、といった購買プロセスが普通の姿でした。

ところが、情報社会への移行やコロナを機に、既存の様式が大きく変化しました。その結果、取引先の候補選定のための情報収取などがオンライン上でほとんど可能な状況になっています。つまり、「取引業者と接触してから取引業者のことを理解する」のではなく、「事前にネットで理解した上で、その取引業者と接触する」といった様に購買プロセスが完全に変わったのです。

現在の購買プロセスはお客様と面談をした時点で取引プロセスの7割が終わっているとも言われています。この現状を踏まえると、従来の営業プロセスのみで営業を行うと、営業をかける顧客がそもそも存在しないという問題に陥ってしまうことが容易に想像できるでしょう。

こういった状況下で従来の属人的な営業プロセスのみに執着し続け、SFAの導入を始めとした営業DXに取り組まないと今後の営業活動を乗り切れないことは、今や自明の理となっています。

そのため、顧客や商談を管理し、現状の活動の可視化や、今後の行動方針を決める基となる強力なデジタルツールが必要になるのです。

実際、業績を2倍、3倍にする様なモデル企業はここ数年の間に下記の様な体制にしています。

<モデル企業の顧客回り系プロセス>

a新規引合い獲得・・・デジタルマーケティング+セールス

b商談創出・・・MA+セールス

c商談管理・・・SFA活用

d顧客/営業管理・・・CRM活用

この体制と上記の図のMA、SFA、CRMが対応する範囲を照らし合わせると、モデル企業はデジタルツールを最大限に有効活用し、効率的な顧客獲得や営業活動が出来ているといえるでしょう。

2.従来の営業管理システムの問題

前述のとおり、これからの営業活動を乗り切るには、SFAが必須の存在となりました。そして、この考え方はある程度企業に浸透・普及しており、今や“SFA導入ブーム”といってもよいほど、SFAの導入を検討している会社が増えています。

しかし、その一方で従来のSFAには弱点もあります。以下の2点が主な弱点となります。

  • 弱点1:営業が可視化されるものの、言い換えれば可視化されるだけなので、営業管理職が適切な指示が出せなければ可視化されただけで効果が上がらない。
  • 弱点2:前述の通り可視化されるだけなので、目に見える成果・効果が上がりにくい。

その結果、「入力に手間がかかりすぎる」「入力作業をするのが営業の仕事ではない」といった様な意見が営業マンから出がちになる。

と、いったことです。これらの問題はSFA、MA、CRMがそれぞれ独立したツールとして存在していることにより、営業プロセスをツールによって分断していることが大きな原因となっています。

そして、こうした従来のSFAの弱点を補うために今、注目されているのが「次世代SFA」なのです。

3.弱点を克服したSFA、それが次世代SFA!

3.1 従来のSFAからの改善点

では次世代SFAで出来ることは何なのでしょうか?従来のSFAとの比較で説明させていただきたいと思います。

まず、従来のSFAの目的は「営業マンの管理」でした。

<従来のSFAの目的>

  1. 営業マンの管理

これに対して、次世代SFAの目的は次の様なことです。

<次世代SFAの目的>

  1. 商談の創出
  2. 顧客ニーズの把握
  3. 営業マンのモチベーションアップによる生産性向上

この様に従来のSFAと、次世代SFAでは目的が異なる、つまりできることが全く異なります。

次世代SFAの概要を次の図に示します。

この図からもわかる様に、次世代SFAはそれまではMA、SFA、CRMが個別で担っていた顧客回りのプロセスを一元的に管理することができます。つまり、前述した

<モデル企業の顧客回り系プロセス>

a新規引合い獲得・・・デジタルマーケティング+セールス

b商談創出・・・MA+セールス

c商談管理・・・SFA活用

d顧客/営業管理・・・CRM活用

のa~dの工程を1つのデジタルツールで統合的に実現可能にしたものが次世代SFAです。

3.2 次世代SFAで具体的に改善されたこと

続いて、次世代SFAが従来のSFAと比較して改善された点を顧客ニーズ、行動管理、商談管理の3点から説明いたします。

1:顧客ニーズの創出/把握

次世代SFAにはMAが組み込まれています。MAにより顧客ニーズが創出され、また把握することが可能です。

2:行動管理

営業における行動管理の第一歩は「日報」です。営業マンが日報に書き込み、また上司が日報をチェックしてアドバイスを書き入れる、といった話が行動管理です。

ただし行動管理で本当に重要なことは、まずは顧客ランク分けを行うことです。

顧客ランク分けを行った上で、力を入れるべき顧客を優先的に営業マンが訪問し、案件を獲得できる可能性を高める仕組みを作る、ということが本来の行動管理です。ところが既存のSFAでは、これがきちんと行えていないケースが多々あります。またコロナ禍においては、従来通り営業マンが客先に訪問できないケースも増えています。従来の訪問に代わるメールやリモート商談にも対応できるSFAが求められます。

次世代SFAはMAが組み込まれているため、MAの機能である顧客のスコアリングやスコアリングを基にした顧客のランク分けが可能になります。また、次世代SFAはメール配信も自動で設定可能であり、Web上でチャットや会議が行える機能が付いています。

3:商談管理

自社の業績である「売上高」を因数分解すると、下記の様になります。

  •  売上高 = 商談数 × 受注率 × 平均単価

当然のことながら、商談数が多ければ多いほど売上高につながります。その中で、商談の見通しの甘い営業マンほど多くの商談をSFAに登録しますが、商談の数は多いものの、実際には決まっていない、といった話はありがちです。

そこで必要なのが受注率です。

受注率とは、実際に受注できた商談の数を、提出した見積り件数で割り算することで算出されます。いかに数多くの商談が登録されていても、受注率が低ければ「成果を上げられていない営業マン」ということになります。また、ありがちなのは「自分が抱えている商談を隠して、決まりそうな固い商談だけを登録する」という営業マンです。こうした営業マンの「受注率」は高くなりますが、一方で「商談数」は少なくなります。

すなわち「商談数」と「受注率」を両方モニタリングすることではじめて、商談管理が行えるわけなのです。

次世代SFAは顧客回りのプロセスをすべて管理することが可能なため、システムに蓄積されたさまざまな顧客情報を参照し、見込み客の獲得から受注まで、各ステージの進捗を可視化することができます。そのため、「商談数」と「受注率」の両方をモニタリングすることが可能になります。 

これらをまとめると、次世代SFAでは単なる顧客管理・商談管理を行うのみではなく、り案件獲得のために、より実践的なデータの集計や分析手法が組み込まれている点で改善されているといえます。

3.3中小製造業にオススメの次世代SFAツール

さて、ではどの様なデジタルツールを導入すれば、次世代SFAを導入することができるのでしょうか?

実は日本も含めて世界レベルで、前述の様な「次世代SFA」を統合的に実現できるデジタルツールは次の2つしかありません。

  • セールスフォースドットコム
  • ZOHO(ゾーホー)

セールスフォースドットコムについては、聞かれたことがある方も多いかと思います。

米国に本社をおくセールスフォースドットコムは創業以来破竹の勢いで業績を伸ばし、いまやトヨタ自動車を抜く時価総額に成長しており、BtoB業界のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなど大手プラットフォーマーの略語)ともいわれています。日本でもテレビコマーシャルを流すなどしており、日本国内でも急速にシェアを高めています。

これに対してZOHO(ゾーホー)は、もともとはセールスフォースドットコムと同様に米国で創業しましたが、現在は本社をインドにうつした世界的なソフトウェア企業です。日本ではまだ知名度が低いものの、世界レベルでみるとセールスフォースドットコムのユーザー数約10万に対して、ZOHOは中小企業を中心に全世界15万ユーザーに導入されています。

ところで、そもそもなぜ次世代SFAを実現できるデジタルツールはこれほどまでに少ないのでしょうか?

それには従来提供されてきたMA、SFA、CRMと、今回説明するセールスフォースドットコムやZOHOは、ソフトウェアのコンセプトやサポートする範囲が根本的に異なるからです。

セールスフォースドットコムやZOHOの様なソフトウェアのことをSaas(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)といいます。これに対し、従来国内ベンダーを中心にして提供されてきているMAやSFAのことをパッケージといいます。

パッケージソフトとSaasは次の様に異なります。

<パッケージソフトのコンセプト>

  • パッケージに仕事の進め方を合わせる事を前提としている
  • MAもSFAも単独パッケージであり、ビジネスプロセスは分断されている
  • カスタマイズはできない、あるいはできても、制約(=例えばバージョンアップに反映されない等)が多くカスタマイズは行わないことが前提
  • 費用はパッケージによって異なる

 <Saasのコンセプト>

  • レゴブロックの様にモジュールを自由に組合せ、その会社に最適なビジネスプロセスを実装できる
  • 全てのビジネスプロセスがつながっている
  • 自由(ノーコード/ローコード)なカスタマイズが前提で、会議に合わせて必要な帳票、あるいは必要なKPIを適宜設定できる。
  • 費用は基本料金×アカウント数

ここにきてSaasが注目されている理由は、企業の営業プロセスやプロセスに関する課題が多岐に渡ること、営業プロセスの各フェーズが相互に関わりあう現状を鑑みると、営業プロセスのDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現するためにはSaasを導入せざるを得ないからです。次世代SFAも、その構築のためにはSaasが必要です。

そしてクラウドベースで動くSaasを開発するためには莫大な開発費と技術が必要で、最初からグローバル(全世界)で流通することを前提にしなければSaasの開発は行えません。

こうした背景もあって、「次世代SFA」を統合的に実現できるデジタルツールは「セールスフォースドットコム」か「ZOHO(ゾーホー)」しかないのです。

3.4. 次世代SFAを実現できる「セールスフォースドットコム」と「ZOHO」の比較

セールスフォースドットコムとZOHOは主要な機能は大きく変わりませんが、セールスフォースドットコムはZOHOと比較して、カスタマイズの柔軟性が高いです。そのため、トヨタ自動車を中心に、日本国内の主要な大企業はほぼセールスフォースドットコムを採用しています。

ただしセールスフォースドットコムの弱点はその費用です。例えばセールスフォースドットコムでMAの機能を利用する場合、月額で20万円かかります。

これに対してZOHOのMAであれば、セールスフォースドットコムとほぼ同じことができて、月額わずか3万円です。

この違いは大きく、1年間だと

  • セールスフォースドットコム 240万円
  • ZOHO 36万円

と、204万円もの差になります。5年間だと1000万円を超える価格差になります。

この違いは、セールスフォースドットコムはもともと、グローバル10,000人を超える様な大企業をターゲットに開発されているのに対して、ZOHOは初めから従業員500名未満の中小企業をターゲットに開発されている(米国の中小企業法では、中小企業の定義は従業員500名未満)と、いうことが背景にあります。

以上の事から、必要以上の機能性を必要とせず、コストを抑える事を重要視したい中小製造業はZOHOを導入を非常にお勧めします。

4.ZOHOの導入事例

大阪府岸和田市にある株式会社藤浪様では、わずか従業員14名でありながら上記顧客回りDX(=営業DX)を導入し、ここ4年間で社員数は変わらず売上は1.5倍に業績を伸ばしています。

しかも同社では、60歳を超えるベテラン社員も次世代SFAを日々の仕事の中で使いこなしており、同社の取組みをみると、いかにベテラン社員に反発をされずにこうした次世代SFAを導入するのか、が重要なキーポイントであることがよくわかります。

株式会社藤浪 代表取締役社長 仲井 稔 様にインタビューし、ZOHO導入についてYouTubeで紹介していますので、ぜひご覧ください。

5.まとめ

繰り返しになりますが、業績を2倍、3倍にする様なモデル企業はここ数年の間に下記の様な体制にしています。

<モデル企業の顧客回り系プロセス>

a新規引合い獲得・・・デジタルマーケティング+セールス

b商談創出・・・MA+セールス

c商談管理・・・SFA活用

d顧客/営業管理・・・CRM活用

このように、デジタルツールを上手く導入し、さらに、それら各ツールを次世代SFAと呼ばれるデジタルツールで一元管理することが業績を伸ばすためには必要不可欠です。

これを ぱっ とみると、

「なんだか難しそう」「うちの会社にはちょっと早いかな」「すごく費用がかかりそう」

と、思われるかもしれません。

しかし、前述のZOHOを活用すれば、何と月額1万円から極めてリーズナブルに営業DXを導入することが可能になります。

さらに、この次世代SFA、一見複雑に見えますが、船井総合研究所 ものづくりGのご支援先には30社以上の導入実績があります。中には社員11名の中小企業もありますが、同社は社員数を増やさず3年間で売上を1.4倍に伸ばしています。もちろん東証上場クラスの中堅・大企業にも導入実績があります。そのため、導入に関して手厚いサポートが可能です。

昨今の情勢から営業DXに取り組むことは非常に優先度が高い課題となっています。この機会に是非次世代SFAの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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