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中小企業が抑えておきたい働き方改革法案[No.61]

4月から新年度が始まり、新しい元号「令和」も発表されて日本全体が新たなきっかけに沸いていますね。
2019年4月から始まっている働き方改革法案について、大企業は続々と準備を進めていたので安心かと思います。

しかし、中小メーカー、中小商社にとっても経営者が抑えておきたい働き方改革法案のポイントがあります。

4月から運用開始が項目ごとに中小企業も対象となっていますので注意したいです。

 

「働き方改革法案ってうちには関係ないかな」

「働き方改革法案っていまいちわからないな」

「まだうちは働き方改革は大丈夫でしょ」

「働き方改革とか言ってる場合じゃないしな」

「中小メーカー・商社だけど働き方改革はしているほうだな」

 
 
こういった経営者の方は是非抑えていきたいポイントを理解して、4月から始まった運用開始と、
これから始まる項目への対応にもバタバタせずスムーズに進めていきたいですね。
 
 

 
 
 


1.対象はどんな企業?


資本金(または出資額)か常時使用の労働者数で中小企業か、大企業かに分かれます。
 
 

以下のどちらかに該当すれば中小企業となりますので、まずは自社をチェックしてみましょう。

※小売業は除いて表記します。

①資本金の額または出資金の総額

  • サービス業:5,000万円以下

  • 卸売業:1億円以下

  • それ以外:3億円以下

②常時使用する労働者数

  • サービス業:100人以下

  • 卸売業:100人以下

  • それ以外:300人以下

 
 
 
どれかに該当すれば中小企業となります。
中小企業か、大企業かによって項目ごとのスタートの時期が変わりますので、チェックしましょう。
いずれにしても時間の問題であるため、経営者としては先手で対応していきたいですね。
 
 
 
 
 
 


2.中小企業に必要なことは?


2019年4月から中小企業も対象として施行がスタートしている主な項目は6つです。

 

  1. 年5日間の年次有給休暇付与の義務づけ

  2. 高度プロフェッショナル制度の創設

  3. フレックスタイム制の拡充

  4. 勤務間インターバル制度の導入(努力義務)

  5. 労働時間の客観的な把握の義務づけ

  6. 産業医・産業保健機能の強化

そのうち、気を付けたいポイントは「有給休暇」、「勤務間インターバル」、「労働時間の把握」です。
 
 
 
まず年5日間、有給休暇を取得させる必要があります。
これは最も見落としがちなポイントなので注意が必要です。

頑張ってくれている社員が有給を取っていなかったということはあるあるであるため、

しっかりと有給を最低限取らせるようにしましょう。

 
 
次に勤務間インターバルです。

努力義務ではありますが、1日の勤務終了から次の出社までに十分な休息時間(インターバル)を確保する必要があります。

中小企業は人が限られるからこそ、全員が頑張ってしまうからこそ、注意したいポイントです。

 
 
 
最後に、労働時間の把握です。
ここで大事なことは「客観的な把握」です。
賃金計算の為の残業時間把握に打刻システムやタイムカードなどをすでに利用している企業はあるかと思いますが、
今回は健康管理という観点からも必要になっています。

だからこそ、「タイムカード押しているけど実態は違うよ」や「管理職は別だからね」という中小企業は注意が必要です。

 
 
 
 

ここで行政から指摘されるともったいないので、自社の働き方に合わせた勤怠管理ツールを使うほうが確実です。

なによりも、空気感や会社の雰囲気、社員が気を使って「無理な労働」をしていると、社員が離れて行ってしまいます。
 
 
 

デスクワークが多い、現場が多いなどメーカー、商社の業態によって最適なツールは違うため、

しっかりと見極めて自社に合ったツールで客観的な把握をしましょう。

 
この記事にツールが良くまとまっています。
https://hcm-jinjer.com/media/contents/contents-558/
 
 
 
 
 
 
 
 

繰り返しになりますが、上記の6つのポイントは2019年4月から中小企業も運用開始しているため、

すでに対応しなければいけない項目です。
 
 

次に2020年4月から中小企業が対象になっている項目があります。

  1. 残業時間の上限の規制

これは、対応が後手に回ると「厳しい」項目であるため、実質今から意識しなければいけません。
 
厚生労働省によると、以下になっています。
「残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
・年720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)
を超えることはできません。
また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。」
(出展:厚生労働省 京都労働局)
 
 
 
 
 
なんとなくで働かせていると、頑張っちゃう社員ほどうっかりオーバーすることがあるため、特に注意が必要です。

1日3時間残業し、月に20日間働くと、それだけで月60時間の残業になります。

中小メーカー、中小商社にとっては繁忙期もあるため、合意がある場合は年間6ヶ月まで特別措置がありますが、
臨時的な特別な事情があっても年間720時間以内である必要があります。
 
代休なしで土曜日などに勤務すると、それだけで8時間などの残業になるため、
平日に働くことができなくなります。
 

特に、工場をお客様としたメーカー、商社は設置や施工で土日に稼働する機会もあるため、

「とにかく休ませる」が大事です。

これは社員が頑張る、頑張らないの問題ではなく、経営者の問題です。

 
 
ほかにも、2021年4月からの正規・非正規雇用の待遇格差をなくす項目や
月60時間超の賃金割増率など気を付けるポイントはあります。
 
こちらのサイトにも働き方改革の記事がたくさんあります。
https://mag.smarthr.jp/category/labor/
 
 
 
「働き方改革をちょっと軽視していたなぁ」という経営者は
社労士さんやコンサルタントなどに是非一度相談していただきたいです。
 
 

働き方改革の為に「逆に」社員の手間が増えたり、

面倒になると本末転倒なので、

自社の業務の「常識」を第三者も使って疑い、改革することが大事です。

(自戒も込めて、自社の当たり前は意外と気づかないもんです。)

 
 
 
中小企業も働き方改革を「しなければいけない」という現実は今起きているため、
業務の「ムリ・ムラ・ムダ」を減らす努力が必要です。
 
 
頑張りましょう。

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