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中小企業がAIを利益に結び付ける方法

AIやIoTというのは一種のブームです。しかし少しずつ、こうしたデジタルツールを使いこなせるかどうかが、中小企業においても確実に業績の分かれ目になってきています。

 

例えば最近出版された「データ資本主義 21世紀のゴールドラッシュの勝者は誰か」(日本経済新聞出版社)によると、現在のAIができることは大きく次の2つです。

 

 

1)パタン認識

 

すなわち、「これは猫」「これは犬」あるいは「これはリンゴ」「これはバナナ」といった、人間であれば直観で認識可能なパタン認識が、従来のコンピューターではなかなかできませんでした。あるいはワープロ印字された文字をOCR読み取ることは比較的容易ですが、手書きの文字を読み取るのは現在でも困難です。

これもパタン認識の1種です。

 

 

2)プロファイリング

 

「この人はどんな人か」「これとこれを買った人は、次にこれを買うだろう」といった、その人あるいはその人の行動を予測するのがプロファイリングです。

同書によると、その人がフェイスブックの何に“いいね”を押したかを分析することにより、その人の配偶者や家族よりも、その人の性格や主義嗜好までがわかる、といいます。

これがプロファイリングです。

 

 

そして、前述のパタン認識やプロファイリングを行うためには、その人あるいはその行動、その対象物に対する膨大な情報が必要になります。

これがビッグデータであり、ビッグデータを収集する手段がIoTです。

 

すなわち、

 

・ビッグデータを

・IoTで集め

・それをもとにAIを駆動する

 

というのが、現在の技術革新なのです。

 

その上でAIを活用して、従来であれば熟練したベテランの人間でなければできなかったことを機械あるいはコンピューターに置き換える、というのがAIの本質です。

 

従って、従来業務をAIに置き換えることができた会社は儲かります。

 

例えばアマゾン。アマゾンは「この本を買ったあなたには、この本をお奨めします」といったレコメンデーション機能を有します。

これはいわばベテランの店員が「あなたにお奨めの本を入荷しましたよ」と、まさにお客を知り尽くしたサービスをしてくれるのと同じことです。

 

あるいは米国の大手ディスカウントストアでは、顧客のビッグデータをもとに「妊娠予測スコア」を算出。妊娠の時期に合わせて関連アイテムのクーポンを送付しています。

妊娠した母親をターゲットにしている理由は、子供が生まれた後に母親は同じスーパーに通い続ける傾向が高く、ロイヤルカスタマーになる可能性が高いからだといいます。

同社はこのスコアをもとに、ある高校生の娘がいる家庭に「ゆりかご」のクーポンを送付したところ父親が激怒し、このスーパーにクレームをつけたそうですが、実はこの娘は妊娠していたことがその後わかり、父親でも気づかない兆候を「妊娠予測スコア」は感知していた、ということなのです。

 

いわば家族さえも知らない情報を知っている、スーパー店員が「この商品いかがですか?」とお奨めしているわけで、AIは人の仕事を置き換えるだけでなく、人もできなかった仕事をこなすことができる様になるのです。

 

これがAIを使いこなす会社は儲かる、という理由です。

 

例えば三重県のゑびや大食堂。

同社はパート・アルバイトを含めて40人程度の中小企業ですが、マイクロソフト社のアジュールというAIを導入。過去のデータを分析することにより来店者予測を実施しました。

 

従来はベテラン店員の勘と経験により食材の仕入れを実施。

それでも思ったよりお客が来ずに高価な食材の賞味期限が切れて廃棄することになったり、あるいは思った以上のお客が来た結果、欠品という機会ロスを発生させてしまうといった経営上の課題を有していました。

 

しかしAIを導入して来店者予測を行った結果、廃棄ロスや欠品による機会損失が激減。さらには料理を提供するリードタイムも短縮し、同店は従業員の数はそのままで売上は4倍。利益は10倍にもなったといいます。

 

これも前述のAIができること 2)のプロファイリングにあたります。

いわば「この日はこれくらい人がくるでしょう」「この日はこんなお客さんがこれくらい来るでしょう」という予測をコンピューターがしてくれるわけです。

つまり店の入り口にあるカメラがお客の「パタン認識」を行い、それがIoTにより同店のコンピューターにビッグデータを絶えず蓄積していくわけです。

こうしてゑびや大食堂は時間が経てばたつほど貴重なビッグデータが蓄積されていき、時間が経てばたつほど競合店との差が大きくなるのです。

 

デジタルの時代はデジタルを使いこなせるかどうかで、大きく二極化が進展する、ということなのです。

 

つまりAIを使いこなせるかどうか、言い換えればIoTを利用してビッグデータを集めてAIを駆動させることができるかどうかが、中小企業であっても1つの大きな経営テーマなのです。

 

 

では、前述のBtoCの小売業や飲食業ほどのビッグデータを集めることができない、商社や製造業などのBtoB企業は、この動きをどの様に捉えればよいのでしょうか?

 

 

私は前述の3要素を、次の様に捉え直すべきだと思います。

 

・ビッグデータ = 顧客データ と捉える

 

・IoT、AI = マーケティングオートメーション と捉える。

 

 

例えば私の顧問先の某生産財商社は、約半年前にマーケティングオートメーションを導入しました。

そして半年前から、既存顧客に対するメルマガを本格的にスタートしました。

 

マーケティングオートメーションを導入すると、配信されたメルマガを誰が開封したか一目瞭然でわかります。

さらにそのメルマガを開封した人が、自社のWebサイトのどのページをどれだけ閲覧したかも手に取る様にわかります。

 

前述の「妊娠予測スコア」ではありませんが、具体的な商談に発展する可能性が高いお客は、同じ「製品事例」「商品事例」を2回以上閲覧する傾向がある、ということがわかりました。

 

そこでこの生産財商社では毎月の営業会議で、前述の“同じ「製品事例」「商品事例」を2回以上閲覧”した人を抽出してリストにして、営業マンがフォローする様にしています。

もちろん営業マンは、そのお客がどんなページを閲覧したのか事前にわかった上で、そのお客が興味関心をもちそうな話題や事例を準備して商談にのぞみます。

 

例えば先日は、「5S用の工具整頓置台」の事例を2回以上閲覧したお客をフォローしました。

その営業マンが「今、5Sに取組んでおられるんですか?」と切り出すと、お客は「いえ、5S以前の問題で、掃除に困っているんですよ」と。

そこで営業マンが「掃除のどんなことで困っているんですか?」と聞くと、お客は「いや、熱処理炉の扉を開けた時にミストが工場内に充満して、油汚れがひどいんですよ」と。

 

そこで、その生産財商社の営業マンは、熱処理炉の扉の上に局所排気の集塵機を取り付ける提案を行い、数百万円の商談がそこで発生しました。

 

これがビッグデータならぬ「顧客データ」で、AIならぬ「マーケティングオートメーション」を駆動させることの成果です。

ちなみに、マーケティングオートメーションそのものは10年以上昔からある技術です。ただ、昔は非常に高コストで、月次で20~30万円ものランニングコストがかかるもので大手企業しか導入ができませんでした。

 

しかし現在では、月額1万円前後でマーケティングオートメーションを導入することが可能です。

 

前述のビッグデータとAIを使いこなす会社が業績を伸ばすのと同様、BtoBの会社の場合は、自社の顧客データとMA(マーケティングオートメーション)を使いこなせるかどうかが、これから決定的な差になってくると私は思います。

 

 

そして来る12月 5日に大阪会場にて、㈱エス・エヌ・ジー 代表取締役 有賀 淳一郎 様を特別ゲスト講師として、セミナーを開催いたします。

(東京会場でのセミナーは先日、好評のうち終了いたしました)

 

同社は9年間で業績を3倍以上(年商7億→年商22億)に伸ばした機械工具商社であり、同社はマーケティングオートメーションの導入はもちろんのこと、ソリューションサイトも2つ保有しています。

 

同社の取組みをお聞きいただくことは、そのままBtoBビジネスにおける最新事例に直結するかと思います。

なお今回、有賀社長様のご厚意により東京会場だけでなく、大阪会場にもお越しいただけることになりました(当初、大阪会場はビデオ動画による出演ご予定でした)。

 

ぜひご関心のある方は、下記ご案内から本セミナーの詳細をご覧いただければと思います。

もちろん、本セミナーには私も講師として登壇いたします。ぜひ皆様とセミナー会場でお会いできますことを、心から楽しみにしております。

 

 

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経営者の皆様へ セミナーのお知らせ

 

 

2020年 機械工具商社時流対策!

 

<日時・場所>

大阪会場:2019年12月 5日 木曜日 船井総合研究所 淀屋橋本社

※時間はいずれも 13時~16時30分 となります。

 

 

当初、大阪会場は特別ゲスト講師のエス・エヌ・ジー 有賀社長はビデオ動画のみの予定でしたが、

今回、有賀社長のご厚意により、大阪会場にもお越しいただけることになりました!

 

 

↓↓↓2020年 機械工具商社時流対策セミナーの詳細・お申込み



 

 

本セミナーの主な内容は下記の通りです。

 

第1講座 はじめに:今、業績を大きく伸ばす機械工具商社の共通点

・今、業績をガンガン伸ばす会社、伸び悩む会社、その違いとは?

・小が大に勝つ時代に突入!小さい販売店こそデジタルを強化せよ!

株式会社 船井総合研究所 ものづくりグループ 上席コンサルタント 片山 和也

 

第2講座 新規開拓のできなかった我が社が、9年で業績が3倍(7億⇒22億)になった理由

・売上の3割以上を依存していたメイン顧客が消滅!からの大逆転。

・新卒0から新卒中心の組織づくりに!前向きな組織風土に生まれ変わる。

・社員のために「武器」「階級」「戦場」「砦」をつくれ!ミニM&Aの推進。

㈱エス・エヌ・ジー 代表取締役 有賀 淳一郎 様

 

第3講座 「小」が「大」に勝つ、地域密着販売店の為のビジネスモデルのつくり方

・人を増やさず利益を増やす地域密着販売店のデジタル活用のポイント

・社員そのままで、3年間で売上を1.5倍に上げた近畿A社の工事・加工戦略

・ロボットエンジニアリングに取組み、成果を上げる中国エリアB社の事例

 

第4講座 本日のまとめ

・明日から機械工具商社社長に取組んでほしいこと

株式会社 船井総合研究所 ものづくりグループ 上席コンサルタント 片山 和也

 

 

↓↓↓2020年 機械工具商社時流対策セミナーの詳細・お申込み



 

 

セミナー会場で皆様とお会いできますことを、心より楽しみにしております。

このブログを書いたコンサルタント

片山 和也

片山 和也

マーケティングオートメーション及びセールステック導入の専門家。上場企業から中堅・中小企業まで幅広く導入支援の実績を持つ。 また、日経クロステックでの連載を手掛けるなど、テクノロジー面とマーケティング面の両面に精通していることが大きな強み。 主な著書に「技術のある会社がなぜか儲から…

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