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驚きのアメリカ版 第2弾 グレートカンパニー視察ツアー2012レポート:2日目

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驚きのアメリカ版 第2弾 グレートカンパニー視察ツアー2012レポート

■ 視察2日目(2012年10月8日 月曜日) ■

視察5社目:グーグル(Google)

従業員数 32,467人  売上379億ドル(約2兆6500億円)
 GPTW1位(2012年)

船井総研 三浦による社内セミナー シリコンバレー行きはいつも渋滞 通称“グーグル村”に入る
船井総研 三浦による社内セミナー シリコンバレー行きはいつも渋滞 通称“グーグル村”に入る

 (1)同社の概要
●法人向けマーケティング部門Mr. Fujii氏による講演。社内は写真撮影禁止。
●世界最大の検索エンジンサービスを提供する会社である。
●同社の本社は、元々はシリコングラフィックス社の本社を改装したもの。建物の構造として大学のキャンパス風のつくりとなっている。近年では社員数が増えたことから、近隣の建物を買収して敷地・建物を拡張している。本社近辺は通称”グーグル村”と言われている。
●優秀な人材を採用したい。またそうした人たちに、できるだけ積極的に会社に来て仕事をしてほしい(理由:コミュニケーションによりインスピレーションが生まれる)。そうした同社の志向が注目されるべき福利厚生を生み出している。その事例として次の様なものがある。
    >>社員レストランは全米一おいしいと言われている。社員レストランというよりもフードコートといった環境である。こうした社員レストランは全て無料。
    >>また社内は徒歩15分圏内にカフェテリアがある。社員間のミーティング・コミュニケーションを促進する為である。こうしたカフェテリアも全て無料。
    >>最近のシリコンバレーの傾向として「車での移動は無駄(運転中は何もできない)」があり、電車での通勤が流行りである。グーグルの場合はさらに、自社バスが社員の自宅近くまで迎えに行く。バスには自転車を積むこともでき、グーグル社員専用バス停まで自転車で行くこともできる。
    >>グーグルの自社バスの中は無線LAN環境も整っており、社員はバスに乗ると仕事を始める。これは会社にとっても好都合なことである。
    >>またグーグル社内にはジム、運動場、ランドリー、シャワールーム等も完備しており、社内で生活全てが完結できる。
●2011年8月、モトローラを125億ドルで買収。グーグルとしては過去最高の買収金額。同社が持つ1万7000件の特許を手に入れることで、アップルやマイクロソフトとの特許紛争を優位に進める狙いもある。

グーグル社 外観 社員昼食の様子
グーグル社 外観 社員昼食の様子

 (2)ミッション・経営理念について
●同社のミッションは、世界中の情報を整理して世界中の人が使えるようにする。このミッションから外れる事業はしない。
●2004年に株式上場するが、定款に”利益だけを追求しないかもしれない”と明記している。さらに上場企業にも関わらず、株主の利益だけに振り回されないことを明記しており、上場会社としては極めて異例である。
●同社が重視する10の信条は、下記の通り。
1)ユーザーに焦点を当てる事により、その他のことは後についてくる(顧客志向)
2)一つの事に特化し秀でる(分野一番化)
3)遅いよりも速い方が良い
4)ウェブ上でも民主主義は機能する
    >>百万もの情報が投稿されることにより、必然的に価値ある情報サイトが絞られる。
5)答えが必要な時、机に向かっている必要はない
6)悪いことをせずに、お金を稼ぐことができる
    >>悪いことをしない、他社の悪口も言わない
7)情報に終わりはない
8)情報は国境を越える
9)スーツを着なくても、真剣になれる
10)素晴らしいだけじゃあ、足りない
    >>私たちが素晴らしいと感じることは、スタート地点であり、そこがゴールではない。ゴールは、そこから更に先の未達成のところにあると考え、いつも私たちは背伸びをしている。

 (3)組織運営・採用について
●オープンコミュニティを重視している。インサイダーにつながる情報、一部の機密情報以外は全ての情報を誰もが共有できることを重視している。
●評価については360度評価。上司は社員の達成に感謝を示す。200ドルの”ピアボーナス”を出すことができる。
●離職率は低い。もちろん実力主義であるが、そもそも優秀な人材を採用しているのでリストラ的なことは非常に少ない。
●採用についてはベスト&ブライテストな人材を採用している。”グーグリネス(グーグルっぽい)”という同社の造語があり、ユニークかつ同社のカルチャーに合った人材を採用している。

大学キャンパスを思わせる社内敷地  福利厚生施設の1つ、ビーチバレー場 同様に小型プール
大学キャンパスを思わせる社内敷地  福利厚生施設の1つ、ビーチバレー場 同様に小型プール

 (4)同社エンタープライズ部門からのプレゼン
●コンシューマにおけるWebは進化している。それに対するコーポレート側の対応は充分か?
●また1人で頑張るのではなく、全員で頑張る。さらにスピードを上げることが大切である。さらにテクノロジーも変化している。クラウド、モバイル、パソコンを前提とした時代が終わった。
●グーグルアップスは、こうした時代の変化に対応するものである。グーグルアップスを活用することにより、コラボレーションとスピードを両立できる。
●ツールとしてはメールよりもチャットを使用する。チャットにより瞬時のコミュニケーションが頻繁に可能になる。またクラウドを活用することにより、情報の共有もたやすくなる。

視察6社目:インテル(Intel Corporation)

従業員数 100,100人 売上540億ドル(約3兆7800億円)
GPTW46位(2012年)

インテル社ディレクター Ms. Melissa McVicker氏 “働きがいのある職場”への取組み
同社ディレクター Ms. Melissa McVicker氏 “働きがいのある職場”への取組み

 (1)同社の概要

●マイクロプロセッサの世界的メーカー。他にチップセット、フラッシュメモリなどを製造している。
●主な製品にIA-32(Pentiumシリーズなど。8086シリーズの流れをくむ)、IA-64(Itaniumなど)、Intel 64(IA-32の64ビット拡張。AMD64と互換性がある)などのパーソナルコンピュータ用CPUがあり、PC/AT互換機やアップルのMacintoshに使われている。
●約10万人の従業員のうち、約半分の社員が製造工場に勤めている。
●海外事務所は50ヵ国以上、製造・研究拠点は8ヵ国17拠点にある。日本法人であるインテル株式会社は、東京都千代田区(東京本社)と、茨城県つくば市(筑波本社)の2ヵ所に本社を置く。

 (2)ビジョン・戦略

●この世紀に確立された技術を結びつけ、新たなインテグレーションを行う。
●研究開発を重視しており、膨大な研究開発投資を継続的に行っている。
●社会貢献はもとより、グリーンエネルギーへの投資も行っている。
●パソコン、タブレット、データセンターで培った技術をより拡張していくことを戦略としている。またそれらがシームレスにシンクロする技術を開発したい。
●同社のファウンダーであるムーアは、集積回路の集積度は1年で倍増し価格は反比例して1/2になるという”ムーアの法則”を提唱した。インテルの開発戦略も、このムーアの法則を前提に進めてきた。
●また次世代製品においては、パフォーマンスは上げながら使用エネルギーは減少させることが求められている。

●当社は世界中で評価されており、様々なアワードを取得している。働きがいのある会社ベスト100に選ばれていることに誇りを持っている。

●社員一人一人に対してのリワードを重視している。代表的なものがストックオプションであり、毎月の給与5%分の株式を社員ディスカウントで購入できる。また月1回の洗車、フィットネスセンターの使用権など金銭的なもの以外のリワードを重視している。
●また社員が自由に使用できるラウンジやレクリエーション施設、メディカル施設を完備している。
●誰でもワン・オン・ワン・ミーティングが持てる。マクビッカー氏自身が数ヶ月前に直接CEOとミーティングを持った。その際のテーマは、いかに経営トップが社員と近づくかということ。
●各管理職も同様に部下とのワン・オン・ワン・ミーティングを行う。マクビッカー氏の場合は10名の部下がいるので、2週間に1回は10時間(1時間×10人)の時間を要している。
●マクビッカー氏は2.5年香港に駐在していた。その時に感じることは、インテルの社内カルチャーはその国の文化より強い。またマクビッカー氏は欧州、アジア、オセアニアにも部下がいる。国際的にもワン・オン・ワン・ミーティングは有効である。

視察7社目:ジェネンテック(Genentech)

従業員数 11,592人   売上135億ドル(約9500億円)
  GPTW68位(2012年)

 (1)同社の概要
●バイオベンチャーでスイス医薬メーカーのロシェ子会社。
●従業員約15,000人。研究開発型企業として知られ、研究開発に800億スイスフランを投資。
●ロシェによる買収前は、かつてGPTW1位であった。

 (2)同社のビジョン
●ビジョンは「いつもどの瞬間も一歩前に踏み出す」
●例えば同社ではパワーポイントの使用が禁止されている。パワーポイントで体裁を整える時間があれば、少しでも早く今ある情報を共有するべきである。

 (3)同社の強み
●一般に新薬の開発には膨大な時間がかかる上に、当局からの認可が必要である。その結果、大手製薬メーカーでも5年に1つでも開発できれば良い方とされるが、同社は1976年の設立以後、下記の通り2年に1つのペースで開発を続け、成長してきた。

      ・1982年 ヒト組み換えインスリン
      ・1985年 Protropin (somatrem)-成長ホルモン
      ・1987年 Activase (alteplase)-ヒト組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子
      ・1990年 Actimmune(インターフェロンγ 1b)
      ・1993年 Nutropin(ヒト組み換え成長ホルモン)
      ・1993年 Pulmozyme (dornaseα)
      ・1997年 Rituxan(リツキシマブ)
      ・1998年 Herceptin(トラスツズマブ)
      ・2000年 TNKase (tenecteplase)
      ・2003年 Xolair(オマリズマブ)
      ・2003年 Raptiva(エフェリズマブ)
      ・2004年 Avastin(べバシズマブ)
      ・2004年 Tarceva(エルロチニブ)
      ・2006年 Lucentis(ラニビズマブ)
      ・2009年 製薬大手企業ロシュによって、488億ドルで買収された

 (4)働きがいのある職場への取組み
●上記の驚異的な新医薬開発の裏側には、同社の働きがいのある職場への取組みがある。
●社員間の「対話」を重視しており、”エニアグラムトレーニング9つのタイプ”といったコーチング教育に力を入れている。
●福利厚生が充実している。例えば洗車サービス、理容サービス、託児所サービスがあり、社員向けのこれらのサービスは全て無料である。
ジェネンテック社Ms. Kathy Rinaldi氏による講演 ジェネンテック社の本社外観 社員送迎バス(自転車搭載可能)を運営
同社Ms. Kathy Rinaldi氏による講演 同社の本社外観 社員送迎バス(自転車搭載可能)を運営

視察8社目:マリオットインターナショナル(Marriott International)

従業員数 150,000人   売上123億1700万ドル(約8600億円)
  GPTW57位(2012年)

マリオットインターナショナル社
(1)同社の概要
●マリオットインターナショナルは世界有数の宿泊・各種受託サービス事業を行う会社であり、世界73の国や地域で17ブランドを有し、約3,700の施設を運営している。

(2)同社の理念
●同社は下記の理念を掲げている
1)人を一番に見る
2)誠実に行動する
3)変化することを望む、リスクを取る
4)最後は世界の為に動く
●”グレート”の敵は”グッド”である。”それなり”で満足したら、そこで成長が止まる。
●同社では定期的に60項目にわたるアンケートを実施しており、理念が事業活動に反映されているかどうかチェックを行っている。

 (3)社員教育:エンプロイ・アシスト・システム
●年に1度、社員のレベルを抽出する監査を行っている。一番大切なポイントは、誠実であるかどうか。それに合わせてビジネスエチケッ
や道徳についての教育も行っている。
●創業者である、”マリオット・シニアからの手紙”が社員間で共有されている。
      ・人が一番。能力開発とロイヤリティ、スピリットが大切。
      ・人の良いところを褒めて、そこを伸ばす。
      ・商売を継続するポイントは、アイデアにある。
      ・管理職は社員の仕事を自分でするな。
      ・なるべく話は短く、しっかりと。
●今回講演いただいた同ホテルマネージャーは、18年前に空港ホテルのウエイトレスからスタートした。自分自身を育ててくれたマリオットに心から感謝している。

 (4)環境問題・社会貢献への取組み
●高校生や大学生に向けた就業体験プログラムを実施している。
●また社会の中の問題のあるコミュニティー(貧困など)を助ける取組みを行う。
●環境への配慮には力を入れている。リサイクルやコンポスト(ゴミから肥料をつくるリサイクル設備)の活用など。

 

以上

 

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