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トヨタ生産方式がうまくいかない理由

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トヨタ生産方式、通称TPS(トヨタ・プロダクション・システム)は海外ではリーン生産方式ともよばれ、米国ボーイング社も導入するなど日本が世界に誇る生産プロセスです。

ところが、このトヨタ生産方式(TPS)を導入しようとしてもうまくいかない、あるいは逆に生産性が落ちてしまった、という失敗事例が数多くあります。

東京大学先端科学技術研究センターの研究顧問、西岡潔博士によるとTPSは必ずしも全ての生産プロセスに適用できません。

TPSの本質は「1個流し」です。

ところが「1個流し」がうまくいく前提条件は、最終工程が自動車の様に膨大な部品から構成される組立工程である場合です。

そうした形態以外の製造業においては「1個流し」よりも「ロット生産」の方が生産性は上がります。

「1個流し」なのか「ロット生産」なのか、ここの見極めを誤ってTPSを導入すると必ず失敗する、というのです。

西岡先生はもともと某大手鉄鋼メーカーで、高炉を持つ大規模事業所の工場長をつとめ、その生産性を2倍にあげたことで知られているエンジニアであり経営者です。

西岡先生によると、製造業が儲けるためのポイントはただ一つ、それは「とにかく速くつくる」ということです。

「一個流し」がよいのか「ロット生産」がよいのか、その決定は「どちらが速くなるのか」で下されなければなりません。

例えば5月のファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会の東京・大阪・名古屋各会場で特別ゲスト講師を務められる 三重県四日市市の株式会社伊藤製作所様の場合も、「速くつくる」ことを前提とした生産システムを構築することで、わずか18名の作業者で月商2億8000万円もの高い生産性を実現しています。

↓↓↓㈱伊藤製作所様のビジネスモデルについて

 

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上記動画の中で伊藤社長が語られていますが、同社の場合は18名の作業者に対して97台のプレス加工機を持っています。そしてそのうち65台のプレス加工機は金型がつけっぱなしです。

なぜなら同社の順送プレスの場合、金型の取り付け・取り外しという“段取り”に技術を要し、非常に時間を取られるからです。

一見すると過剰設備の様に見えますが、それよりも「速さ(スピード)」を優先することで高収益の工場を実現しているのです。

 

4月14日(金)に開催の先端「町工場」視察セミナーで訪問する株式会社宝角合金製作所も、単品生産からロット生産の仕事に切り替え、複合機を活用して「速くつくる」ことで高収益化に成功した事例です。

宝角合金製作所様の場合、15年前は特定顧客1社に依存するビジネスモデルでした。その結果、汎用機でなければできない単品物や特注品など、生産性が上がらない仕事も引き受けざるを得ない状態でした。

そこで同社の宝角社長は一念発起してマーケティングに取組み、全社をあげて新規開拓を進めました。

その中で自社に向いた仕事、特にある程度のロットが見込める様な案件に仕事の中身を入れ替えていきました。

その結果、生産性が上がり、同社の売上は15年前の2.5倍です。

さらに営業利益率は15年前がせいぜい1~2%だったのに対し、現在は軽く営業利益率が10%を超える水準となっています。

粗利率は下がりましたがそれ以上に生産性が上がり売上が伸びているため、最終利益は増加しているのです。

これも従来であれば職人が汎用機で1つ1つ製造していたものを、ロットで受注できる様な仕事を選択した結果、NC化さらには複合機への置き換えを進めることができ、これだけ生産性が上がったのです。

伊藤製作所様にしても、宝角合金製作所様の場合も、プレス加工業と機械加工業という違いはありますが、西岡先生が言われる「速くつくる」ことで生産性を上げ、収益性を高めている良い事例です。

「儲けるためには速くやる」というのは製造業だけでなく、あらゆる仕事に共通していえることでしょう。

これは我々コンサルタントも同じことです。稼いでいるコンサルタントは仕事が速いです。逆に稼げないコンサルタントは仕事が遅いです。

普通の人が100の時間を要する仕事を、5~10くらいの時間でこなすことができる人を「プロ」というのだと思います。

話を製造業に戻すと、ドイツが進めるインダストリー4.0の本質も「速くつくること」「スピードアップ」が目的だといいます。

従来の大量生産モデル、すなわちフォードシステムの場合は1工程あたりのサイクルタイムをいかに短くするか、がコストダウンのポイントでした。

しかし現在の生産システムは多品種微量生産が前提であり、一昔前のフォードシステムの考え方は当然適用できません。

そこでインダストリー4.0ではIoTとAIを武器として使います。

IoTを使うことで“つながる工場”をつくり、複雑な生産管理上の意思決定をAIが人の代わりに行う、というのがインダストリー4.0の手段でありツールです。

そしてその目的は「速くつくる」ことにあります。フォードシステムよりもずっと複雑な現在の工場を、IoTとAIを活用して「速くつくる」ことこそが、インダストリー4.0の本質なのです。

現在は「働き方改革」を避けて通れない時代です。

自社においても「いかに速くこなすか」を追求していくことが今までに増して重要なのではないでしょうか。

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