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2024年3月の時流とその対策(2):今、注目を集める「先が見えない時代」を乗り切る経営理論

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今、注目を集める「先が見えない時代」を乗り切る経営理論とは?

近年、「先が見えない時代」を乗り切る経営理論として注目を集めているのが、「エフェクチュエーション」と呼ばれる経営理論です。

これはヴァージニア大学のサラス・サラスバシー教授という人物が2001年に提唱しました。

日本でも神戸大学准教授の吉田満梨氏や、早稲田大学ビジネススクールの樋原准教授が、この理論を紹介しており、ダイヤモンド社からは「エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」」という書籍もでています。

では、この「エフェクチュエーション」とは何か?

「エフェクチュエーション」とは、最初に目標を設定せずに、今ある手段(能力・技術・人脈)から事業の可能性を創造する経営手法のことです。

これに対して従来型の、事業計画を立て、数値目標を定めて、そこに到達するための手段を選ぶ手法を「コーゼーション」といいます。

この「エフェクチュエーション」と「コーゼーション」は、次の様に比喩することもできます。

「コーゼーション」

・・・何をつくるかメニューを考えてから、材料を買いに行く

「エフェクチュエーション」

・・・冷蔵庫の中にあるものから、メニューを考える

例えば料理を行う「目的」が、“美味しい料理で家族を喜ばせること”だったします。

そうすると「手段」が前述のコーゼーションであれ、エフェクチュエーションであれ、どちらも「目的」を達成することはできます。ただしコーゼーションの場合、お目当ての食材がスーパーで売っていなかったりすると、その時点で頓挫する可能性がでてきます。

これに対してエフェクチュエーションだと、短いリードタイムで確実に、かつローコストに目的を達成することができます。経営的にどちらが優れているか?と聞かれると多くの場合後者(=エフェクチュエーション)になるのではないでしょうか。

全世界から5万人を集めるスウェーデンの“アイスホテル”は夏季の川下りから始まった!

北極線からさらに北へ200km。スウェーデンの極北の地であるユッカスヤルビには、「アイスホテル」という文字通り氷でできたホテルがあります。テレビでもよく紹介されているので、ご存じの方も多いかもしれません。

この「アイスホテル」は、近くを流れるトルネ川の極めて透明度の高い氷を大量に使い、つくられています。

「アイスホテル」は今や年間5万人の観光客を集める、スウェーデンを代表する観光名所になっています。

そして前述の書籍によると、この「アイスホテル」はエフェクチュエーションの典型的な成功事例であるといいます。

もともとアイスホテルの創業者は、トルネ川に魅せられて趣味のラフティング(=カヌーによる川下り)を事業化、トルネ川の夏季のイベントとして売り出します。

このユッカスヤルビの周辺は、冬季は氷点下30度以下になる極寒の地です。夏ならともかく、冬はとてもではありませんが観光客が来るとは誰も思っていませんでした。

ところがある時、この創業者は日本の札幌に旅行に行く機会があり、そこで有名な札幌雪祭りを目にします。札幌雪祭りでは寒さの中、雪でつくられた彫像を多くの観光客が見学に押し寄せ、北海道の冬を代表する観光名所になっています。

夏季のトルネ川のラフティング事業だけでは経営的に厳しかった創業者は、川が凍る冬季の間は氷のフェスティバルを行って事業化することを思いつきます。

そこでスウェーデン中から有名なアーティストを集め、トルネ川から切り出した透明な氷を材料に多くの彫像を製作し、冬季にフェスティバルを開催します。

ところがよりによって、そのフェスティバルの日は冬のスウェーデンでは珍しい雨が降り、せっかくつくった彫像はほとんどが溶けて崩れてしまったそうです。

そこでやむを得ず、フェスティバルの参加者に氷とノミを支給して、その場で参加者自ら氷の彫刻をつくるというワークショップに切り替えたのだそうです。

その時、氷で人が入って寝られる様なドームをつくったグループがあり、そのグループは他の仲間も誘って、そのドームの中で一夜を過ごし、創業者も実際にそこで過ごしました。

そこで、この創業者は「氷でホテルをつくって、そこに観光客を泊めれば、世界中からファンが集まるのではないか?」と思いつき、スタートしたのが現在のアイスホテルなのです。

 

優れた起業家が実践する「5つの原則」

そして本書によると、エフェクチュエーションを実現するためには、次の「5つの原則」があるといいます。

その5つの原則とは、

1)手中の鳥の原則
・・・今あるもので新しいものをつくる。

2)レモネードの法則
・・・予測せぬ事態を避けるのではなく、
むしろテコにする。

3)許容可能な損失の原則
・・・成功者は許容不可能なギャンブルはしない。

4)クレイジーキルトの法則
・・・金銭的利益以外のコミットが得られる関与者を集める。

5)飛行機のパイロットの法則
・・・コントロール可能な活動に集中し、予測ではなく
コントロールによって成果を得る。

船井総合研究所の創業者、舩井幸雄が提唱した「船井流経営法」の中に、“泥縄式経営”という言葉が有ります。

泥縄とは、「泥棒が来てから縄を編む」という意味です。諺(ことわざ)としては、事前の準備ができていない様なニュアンスがあるのですが、舩井幸雄は「中小企業は“泥縄式経営”の方が良い」といっています。

つまり何から何まで準備して臨むのではなく、まずはチャレンジしてみて、それから考える、ということも現実的な経営としては大事だ、ということなのです。

言い換えれば、この「エフェクチュエーション」とは、船井流経営法でいう「泥縄式経営」をアカデミックに表現したもの、ということができるでしょう。

 

直近10年間で売上3.5倍(年商13億→46億)を実現した社長の経営戦略

東京に本社を置く株式会社関東製作所の場合も、この「エフェクチュエーション」の実践企業の様にみえます。

同社は縮小する国内製造業というポジションにありながら、何と直近10年間で売上3.5倍(年商13億→46億)を実現しています。

同社はもともと、ブロー金型の製造業でした。

しかしブロー金型だけでは、市場がかなり限られています。といってブロー製品の量産に手を出すと、お客様の領域を荒らすことになるので、それもできません。

そこで同社の代表取締役 渡邉 章 氏は、ブロー成型のお隣の業界である射出成型の業界に目をつけます。

ブロー成型も、射出成形も、同じプラスチック成型だからです。そして縁あって射出成型の金型製造業の事業譲渡を受け、射出成型金型の領域に乗り出します。

この領域であればお客様とのバッティングもあまり問題にならないので、金型だけでなく射出成型の樹脂部品事業にも乗り出します。

そこで課題になったのが販路開拓です。

射出成型の樹脂部品を売るとなると、従来とは異なる販路を開拓しなければいけません。

そこで同社では“人を増やさずに利益を増やす”仕組みともいえる、「営業DX」の導入を決断します。

具体的には、ソリューションサイト「射出成型ラボ」を立上げ、自社のYoutubeチャンネルを立上げ、マーケティング・オートメーションの導入を決めます。

その結果、本件に取り組んだ翌年の2021年には、新規受注2億円超え、2022年には新規受注が3億円を超えました。また同社の場合、もともと自動車業界への依存度が9割を超えていましたが、現在では

・半導体業界
・インフラ関連
・医療関連
・自動化・FA関連
・各種産業機械関連

といった、自動車業界以外の領域にも進出することに成功し、経営の安定化を図っています。

同社の場合も、前述のエフェクチュエーションの5原則に乗っ取って、まさに中小企業経営(中小製造業経営)のモデル企業といえると思います。

そして来る2024年 5月15日(水曜日)、船井総合研究所 東京新本社(東京ミッドタウン八重洲35F)にて、株式会社 関東製作所 代表取締役 渡邉 章 氏 を特別ゲスト講師として、

「部品加工業「脱」自動車(内燃機関)マーケット戦略セミナー」を開催します。

※特別ゲスト講師様のご講演は、東京会場内における動画でのご講演となります。

 

本セミナーは、次の様な経営者の方にお奨めのセミナーです。

<次の様な経営者の方にお奨めのセミナーです>

・自動車業界以外のマーケットから仕事を獲得したいと考えている部品加工業経営者の方。

・半導体・5G分野、電池、自動化、中食、脱炭素分野など、今後明らかに成長する市場から仕事を取りたい
部品加工業の社長。

・実際に「成長分野から仕事が取れる仕組み」を導入して成果を上げている同業者の事例を知りたい部品加工業
の社長。

・自社の強みを把握して、もっと業績を伸ばしたいと考えている部品加工業の社長。

・ピンチをチャンスと捉え、これを機に社内の意識を一新したいと考えている部品加工業の社長。

「部品加工業「脱」自動車(内燃機関)マーケット戦略セミナー」

本セミナーの詳細・お申し込みはこちらからどうぞ!
↓↓↓


https://www.funaisoken.co.jp/seminar/108764

本セミナーは、船井総合研究所の新東京本社にて開催いたします。

ぜひ、これを機に、当社の新本社にもお越しいただければと思います。

なお、本セミナーは会場の関係から先着25名様までのご参加となります。

せひお早めにお申し込みいただければと存じます。

会場で、皆様とお会いできますことを、心から楽しみにしております。

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