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片山和也の生産財マーケティングの視点【自社は「価値」が売れているか?】

最近は景気の先行きを聞かれても「わからない」と答える人が増えま
した。経営者の方もそうですが、その道の専門家の人でも「わからな
い」と答える人がいます。

それだけ先行きの見通しが、読みにくい時代になったということです。

なぜ先行きの見通しが読みにくくなったのかといえば、それは「業
種」ごとに景気を語ることができなくなったからです。以前であれば
「自動車業界は良い」「造船関連は良い」「建設機械関連は良い」と
いうふうに、業界でくくって物事を語ることができました。
今はできません。同じ業界でも業績が良い会社もあれば、悪い会社も
あります。例えば自動車業界は全般的に良いはずですが、それでも仕
事が無い会社は仕事がありません。逆に不況といわれるIT業界でも、
仕事を持っている会社は仕事を持っているのです。

では、どのような会社に仕事が集まっているのかというと、その業界
で「一番」の会社です。例えば名古屋の私の顧問先が取引している従
業員100名の某自動車部品メーカーは非常に多忙を極めていますが、
同社の生産するプラグ部品は世界シェア40パーセントを誇ります。
また大阪の従業員100名の某鉄工所は、工業用ミシンのローティン
グフックで世界シェア80パーセント以上を持っており、このレベル
になると好不況はあまり関係ありません。
地域密着型の会社であれば、その地域で「これが一番」と言われるよ
うな分野を持つことが大切です。「**ならこの店、この会社」と言
われるような分野をつくることが求められます。

次に大事なことは「モノ」を売るのではなく、「価値」を売るという
ことです。「価値を売る」というのは言い換えれば「体験を売る」と
いうことです。
例えば分かりやすい例で言えば、普通の遊園地はジェットコースター
など乗り物を売っているわけですが、ディズニーランドの場合はディ
ズニーランドトータルとしての「体験」を売ろうとしています。モノ
ではなく、価値を売っているから不況でも人が集まるわけなのです。

これは生産財業界でも同じことです。例えば私の関係先の機械設計事
務所は、単なる機械設計を売っている訳ではありません。機械を設計
するにあたり、こうしたこと気をつければ生産段階でコストダウンが
できる、というポイントを体系的にまとめ、それをWebサイト上で
公開しています。またその内容を技術冊子にまとめ、同様にWebサ
イト上で無料配布しています。
このWebサイトはこの1月からオープンしましたが、はや日本を代
表するような大手電機メーカー等から引合いが入り、同社のマンパワ
ーを超える仕事が入ってきていると、嬉しい悲鳴が同社から入りまし
た。
もし同社が「機械設計受託します」というプロモーションを行なって
いれば、これは単に「モノを売る」という行為にすぎず、そこには価
格競争の世界しかありません。しかし同社が行なったことは「こうす
れば機械設計コストダウンができます」という価値の提案であり、W
ebサイト、技術冊子を通して「体験を売る」という行為なのです。

このように、BtoCのマーケティングと、BtoBのマーケティン
グは根底のところでは一致しているのです。

いずれにせよ、すぐに「一番」を目指すというのは、具体的に何から
取り組めば良いのかわかりにくいことでもあります。まずは自社のビ
ジネスを見直し、「モノ」を売るのではなく「価値」を売る、言い換
えれば「体験を売る」ということを、自社のビジネスに当てはめてみ
てはいかがでしょうか。

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