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ピンチをチャンスに変える戦略

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3月25日の中部経済新聞に、トヨタの4-6月生産計画が掲載され

ていました。それによると、

 4月 日当たり 8,235台生産

 5月 日当たり10,556台生産

 6月 日当たり10,000台生産

とのことです。ちなみに昨年4月は17,426台、5月は17,45

2台であったことを考えると、半減とはいかないまでも、5月の段階

で4割減です。トヨタはサプライヤーに対して、ピークの3割減程度

の水準で経営計画を組むように伝えている、という話ですが、確かに

このペースだと流通在庫が一掃されても、ピークの3割減程度のマー

ケットにしかならないでしょう。

トヨタに部品を供給する部品メーカーの損益分岐点は、日当たり生産

12,000-13,000台と言われています。当面、現在の水準が

続くとなると、こうした自動車部品メーカー各社も損益分岐ラインを

10,000台前後に下げざるを得ません。

4月に入ってまだ5日間しか経っていませんが、まだ景気の先行きは

見えない状態です。こうした中、いわゆる大手企業ほど、なりふり構

わぬ不況対策を打ち出してきています。

例えば先日、私のある顧問先のセットメーカーが大手財閥系のエンジ

ニアリング会社から1億2000万円の設備を2式、正式に注文を受

けました。ところが注文書が届いてよく見ると、支払い条件が4ヶ月

の期日指定払いになっています。今までは3ヶ月の期日指定払いだっ

たのに、いつの間にか1ヶ月伸びているのです。その社長は急ぎ、そ

の大手エンジニアリング会社の資材に確認をしたところ、最初は「金

額が大きいから」と言われたそうです。そこで、以前も同じ金額で3

ヶ月の期日指定払いだった、と強く主張したところ「勘違いしてい

た」と、3ヶ月の期日指定払いで注文書を差し替えてきました。もし

こちらが気づかず、だまっていたら4ヶ月の期日指定払いとなるとこ

ろだったのです。汚い手口ですが、そこはビジネスの世界ですから、

冷静に騙されないように、お付き合いしていかなければならないでし

ょう。

商売人の家庭では、親が子供に「人を見たら泥棒と思え」と教育しま

す。私も商売人の家庭でしたが、寂しい話ではありますが、やはり同

様の教育を受けました。泥棒ではないかもしれませんが、泥棒かもし

れない、と構えておけば騙されることは無いでしょう。

また、最近では新聞を読むと、大手企業の工場で人材教育を盛んに行

っているという記事をよく見ます。これはいわゆる、雇用安定助成金

の中の、教育訓練に関わる補助金を目的としたものです。そうでない

ケースもあるのかもしれませんが、多くの企業がそうした補助金も視

野に入れて現場教育を行っています。

私は本来、補助金に頼るのは大嫌いです。しかし、現在の不況は通常

の状態ではなく、いわば地震か津波かにあったレベルの、災害ともい

えるような状態です。今は補助金でも何でも得られるものは何でも得

て、コストダウンで損益分岐点を下げ、なりふり構わず生き残ること

を考えなければならないのです。

また、現在のこうした厳しい状況も、見方によってはチャンスに変え

ることができます。例えば、私の顧問先のある生産財メーカーは、助

成金に対応した技術研修のプログラムを新たにつくり、営業マン全員

が研修講師をできるように、トレーニングを行っています。そして販

売店を通じ、技術研修を無料で実施できる旨をユーザーに告知し、今

まで取引が無い大手ユーザーで研修を実施しています。もちろん、そ

の研修の中では自社商品を使って行う実技演習も数多く取り入れてい

ます。

ライバルメーカーが、こうした出張研修への依頼に対して消極的であ

るとの情報を得たため、逆に私の顧問先のメーカーは、積極的に出張

研修を実施しているのです。こうした取組は、今後景気が回復してき

た時に、必ず大きな成果を生み出すでしょう。

今は、この数ヶ月は頑張っても中々目に見える成果はでてきません。

しかし、今の努力は必ず半年先、1年先の成果となって戻ってくるで

しょう。今は儲からないことを憂うのではなく、昨年の倍くらいの努

力を重ねなければならない時期なのです。

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