先日、世界的調査会社であるガートナー社は、
2019年度のハイプ・サイクルが発表しました。
ハイプ・サイクルとは端的に言えば、新しい技術が世の中に登場した際、
(1) 市場が過度に期待を持ちブームとなる期間
(2) その後その期待と実際技術との乖離から起こる失望・幻滅期を経て、
(3) 地道な改善により社会へ技術が少しづつ浸透していく
というパターンが新技術には共通して見られることを指します。
言い換えれば、ハイプサイクルとは新技術ごとに、
「今後ブームになる技術」
「いまブームとなっている技術」
「ブームがひと段落した技術」
「地道な実用化が進んでいる技術」
を分類、整理する概念です。
2019年の最大のトレンドは、5G、AIプラットフォームであり、
これらは今がブームのピークであるとされています。
また今後重要性を増す、5~10年後に本格市場化する技術・概念として、
ティール組織(非中央集権型自立組織)、ナノスケール3Dプリンティング、空飛ぶ車などが挙げられています。
昨年はディープラーニングや空飛ぶ自律走行車、カーボンナノチューブ
スマートロボット、量子コンピューティング、4Dプリンティング
といったテーマがブームとして挙げられていました。
これらすべてが実際にビジネスとして結実するのかは分かりません。
しかしながら、今後世の中がどう動くのか、という点は必ず知っておかなければなりません。
例えば、今回のハイプサイクルにおいて、2020年以降のトレンド技術としては、
・センサー技術
・5Gや低軌道衛星システム
・エッジAI等の高度なAI技術
・より高度な情報処理方法(ナレッジグラフ等)、
・オーグメンテッド・ヒューマン(人間拡張)
が挙げられています。
それぞれの詳細は割愛しますが、
共通するのは、いずれもデジタル関連技術であり、
軍事・社会インフラ、および医療・人体に深く関わるものであるということです。
もちろんこれらの分野以外でもイノベーションは進展していくでしょうが、
世の中の大きな潮流としては上記を中心に動いていくことは間違いありません。
世の中の多くのヒト・モノ・カネのリソースが、これらの分野に多く配分されていくと考えると、
製造業企業もよくよく注視しなければいけません。
・市場がどう動くのか
・どのくらいの市場規模まで拡大するのか
・自社が関わる余地があるのか
(大手企業、主要企業から自社へのトリックルダウンが発生し得るか)
・そういった業界・プレーヤーとどう接点を作り、関わるか
今後はよりグローバルでの競争が激しくなると想定されますが、
自社のビジネスと世の中のど真ん中の技術革新の流れを結びつけることがより重要になると思います。
たとえば、エッジコンピューティングが活性化すれば、半導体はもちろん増えますが、
情報処理のためのサーバー台数が大量に必要になるためサーバーラックの市場は増えるかもしれません。
一方で、大規模データセンターの増強は今現在のペースから減少するかもしれません。
世界各地で大量かつ安価な設備が必要となり、生産拠点は日本などのある特定国の一極集中ではなく偏在化するかもしれません。
たとえば、人間拡張技術で目の中や頭の中、体の中に埋め込むセンサーやディスプレイ等が発達するかもしれません。
そうするとその生産設備は一層の微細化・高精度化の方向を向くことになり、
既存サプライヤーでは到底対応できない仕事も増えるかもしれません。
今後、市場の不確実性はより高まっていくと思われますが、
その中で自社なりの想定シナリオを複数立てて、柔軟に対応していくことが必要です。
想像力と想定力がより重要な時代が来ると思います。
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