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小が大に勝つ時代:なぜ、あの販売店(地域密着型商社)は9年間で業績が3倍になったのか?

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デジタル時代の昨今、会社の業績の良し悪しに、今や企業規模はほぼ関係が無い時代になってきています。

例えば愛知県碧南市に㈱エス・エヌ・ジー(従業員35名)という地域密着型の機械工具商社(販売店)があります。

 

機械工具業界といえば、モノタロウやミスミのVONAなど、ネット通販が熾烈な競争を繰り広げており、さらに愛知県には全国有数の1000億円クラスの機械工具商社から、数百億円クラスの販売店がゴロゴロしている、国内有数の激戦区でもあります。

 

ところが何と、㈱エス・エヌ・ジーはこの9年間で、年商7億円から年商22億円と、激戦のこの業界で売上を3倍も増やしているのです。

同社ではもともと、年商7億円だった同社を5ヶ年計画で売上2倍を目指す中期経営計画を立てました。そしてその計画を見事に達成。

さらにその後の4年間で、売上3倍を実現したのです。

 

同社は何に取り組んだ結果、業績3倍を実現したのでしょうか?

それは大きく次の4つです。

 

1.取扱商品の単価アップ

 

同社は9年間で売上3倍を実現しましたが、社員数は3倍も増えていません。つまり社員の増え方よりも売上の増え方の方が大きい、言い換えれば「生産性」を上げることにより業績アップを実現しています。

 

では、どうすれば生産性が上がるのか?

 

それは取扱商品の単価を上げることです。

 

例えば工作機械の取扱いです。

生産財業界の場合、工具を主に販売する機械工具商社と、工作機械を主に販売する機械商社とに棲み分けがされています。

ところが近年、この棲み分けが崩れてきているのです。

なぜなら、工作機械を売っている機械商社は多くの場合、属人の営業スキルに依存しているケースが多く、従業員も少人数である、あるいは個人ブローカーが工作機械を売っているケースが多々あります。

そして、こうした属人の営業スキルに依存する業態は新人の育成が難しく、さらに事業承継が思う様に行えていない会社が多々あります。

 

そうした中、お客の側も世代交代が進み、「半年に1回しか営業に来ない機械屋よりも、毎日来てくれるおたくから機械を買うよ!」あるいは「オヤジの代は、ブローカーみたいな人から機械を買っていたけれど、自分の代ではちゃんとした会社から機械を買いたい」というユーザーも増えているのです。

 

工作機械ビジネスは一般にルートがあり、ルートを変えるのが困難と思われていますが、実はそうではありません。お客が一言、メーカーに対して「次回から購入窓口を代えるから、見積りはあの販売店に出して」と言わせれば、それで終わりです。

同時に、工作機械流通に強い商社筋に話をつけておけば、ルートの切り替えはそれほど難しいことではありません。

 

実は、150万円のコンプレッサーを売るのも、1500万円のNC旋盤を売るのも、かかる工数はそれほど変わりません。

工数がそれほど変わらず、単価が10倍になれば儲かるのは当然です。

工作機械、というのはあくまで一例ですが、ちょっとした工夫で自社の取扱商品の単価を上げることはできるはずです。

 

 

2.商品戦略

 

商品戦略とは、「購買頻度が高く・単価が低い」商品(=集客商品)を、「購買頻度が低く・単価が高い」商品(=収益商品)に結び付ける、導線をつくることです。

 

例えばクリーニング屋にとっての集客商品はワイシャツです。

なぜならワイシャツは毎日クリーニングに出すからです。そしてクリーニング屋にとっての収益商品はスーツやコートです。

 

あらゆるビジネスにおいて、商品戦略が明確な会社は儲かっていますし、不明確な会社は業績が不安定です。

例えば㈱エス・エヌ・ジーの場合、同社のホームページを見ると多数の自社PB(自社オリジナル商品)を持っていることがわかります。

卸商社ならいざしらず、直需販売店で自社PBを有しているケースは少数派だと思いますが、こうした商品を集客商品として、自社の収益商品に結び付ける仕組みがなされている、ということなのです。

 

 

3.デジタル

 

今の時代、何か買い物に行くにしても、もっというと居酒屋を探すにしても、必ずスマホでその店のことを検索して、どんな店か確認してから訪れているはずです。

 

BtoBの世界も全く同じことで、今の時代は「営業担当者がお客と面談をスタートした時点で、商談プロセスの約6割が終わっている」と言われています。

 

皆様の会社は、「自社の強み」「自社の差別化ポイント」がきちんとホームページに反映されているでしょうか?

もしされていないなら、早急に対策を打つべきだと思います。

 

さらにメールマガジン。「メールマガジンなんて、どうせ見られずに削除されるだけでしょう」と思われるのは早計です。

船井総合研研究所が主宰している、ファクトリービジネス研究会 機械工具商社経営部会の会員企業46社のうち、1/3程度の会員企業がメールマジンを実施していますが、これらメールマガジンの平均開封率は25%~30%前後です。

メールマガジンの送付テーマごとに開封する人が変わりますので、メールマガジンを工夫することにより情報を周知させることができます。

 

さらに、マーケティング・オートメーションというシステムを導入して、同システムからメールマガジンを打つと、送付先の誰がメールマガジンを開いたか、さらに自社ホームページのどのページを何分くらい閲覧したか、などが全て手に取る様にわかります。

こうしたマーケティング・オートメーションなどのデジタルツールを駆使して、お客がどの様なニーズを持っているかわかった状態で営業をかけるのと、漫然と訪問するのとでは、結果が大きく異なることは自明です。

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4.新卒採用

 

計画的に会社を成長させようと思うならば、計画的な人材採用が不可欠です。

この時、中途採用だとどうしても「良い人がいれば採る」というスタイルになりますから、計画通りに人を増やすことが困難です。

その点、新卒採用であれば計画的に人を増やすことができます。

 

「いや、ウチの会社は中小企業だから人が採れない」「大手企業に負けてしまう」と思われる方もいるかもしれませんが、先日私がお会いした建設会社の社長は、従業員10名の会社であるにも関わらず、新卒社員を10名採用したそうです。

「人が採れない」と言っている会社の大半が、トップが率先して採用活動を行っていません。

つまり採用への優先度が低いのです。

採用は採用する側の熱意と、ほぼ定型化されたノウハウを知っているか、知らないか、です。

この点、㈱エス・エヌ・ジーの場合は採用専用のWebサイトも完備するなど、採用にかける熱意とノウハウを有しており、それが同社の人材戦略にもつながっているのです。

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