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「商談前に6割 商談が終わってしまう」時代のマーケティング 

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2018年 現在でスマートフォンの普及率は約80%に達し、完全にモバイルファースト、ネットファーストの時代になりました。

「B2Bビジネスにインターネットは関係ない」という人はもはやおらず、
多くの人がインターネットや各種デジタル技術をいかに自社ビジネスに活用できるか、ということを考えているでしょう。

Googleが先般発表したレポートでは、
製造業をはじめとしたB2Bビジネスにおける購買行動の67%がデジタル技術による大きな影響を受けている、と結論しています。


ZMOT(Zello Moment Of Truth)とは同じくGoogleが過去に発表しているマーケティング用語ですが、
これは簡単に言えば、人が実際の購買行動に及ぶ前に、情報検索をインターネットで行うという事実のことを指します。

このZMOTの現実は、B2CビジネスだけでなくB2Bビジネスにおいても明確に見られるようになりました。

特に我々と関係の深い領域で言えば、

産業機械の購買行動の73%
工業資材の購買行動の82%

において、インターネットを用いて実際の購買の前に2社(2ブランド)以上の情報収集を行っていることが明らかになっています(米国での調査結果)。

日本の場合は工場出入りの商社の存在や、地理的環境から米国よりもサプライヤーとの関係が密であることが想定できます。
しかしそれでも、日々様々な会社の話を伺っていると、上記の数字と大きく乖離する、ということはどうも無いように思います。

またB2Bビジネス全体の話ではありますが商談時には顧客の購買プロセスの約60%近くが終了している、というデータもあります。 

数値の正確性は一先ず置くとしても、 誰もが気になる製品や会社のことは「まずインターネットで調べる」時代なのは間違いなさそうであり、 ではこういった時流にいかに対応し、自社の業績アップへつなげるのか、という視点と行動が重要です。

”デジタルファースト”前提で顧客とのつながりを作る

まずは新規顧客の話を例に挙げましょう。

先日の片山のメールマガジンでもありましたが展示会来場や新規サプライヤーを探す際には、誰もがインターネットを使って検索をするということがほぼ前提となっています。

インターネット上に露出をしていない会社、製品情報は先ほどの購買行動における数字を参考にすれば、80%の顧客候補から存在を認知されていない、無視されている、と読み替えることができます。

SNS、WEB広告、アプリ、ポータルサイト、自社サイト等々、ツールは多々ありますが、まず第一の基本となるのは自社サイト、それも自社のサービスや製品について必要十分に情報を伝えられているWEBサイトです。

これは昔から言われていることですが、顧客候補に情報を伝え、何らかのアクションを起こしてもらうという点で自社のWEBサイトは自社の広告、ならびに広告媒体(メディア)に相当します。

普段目にする折込チラシや新聞・雑誌の広告と、自分の会社のWEBサイトは大きくは同じものです。見やすく、分かりやすく、かつ必要なだけのプロ向けの情報が掲載されている必要があります。

「WEBはあくまでWEBなので、詳しくは対人営業で説明する」

この態度は、デジタルファーストの時代にそぐわない態度です。

公開できない情報や、明文化しにくい情報があったとしても、まずは何らかの形で情報の断片でもこちらから掲示しなければ相手は反応してくれない時代になりました。

中国・老子の言葉に「欲するならば、まず与えよ」というものがありますが、まさしくこういった態度でB2Bのデジタル戦略は構築する必要があります。

またモバイルファースト、という観点ではB2B関係の検索キーワード、たとえば「SFA クラウド」とか、「部品サプライヤー 日本」とかこういったキーワードの50%はスマートフォン、タブレットから行われていることが明らかになっています。そしてこの割合は2020年には70%まで達するとも予想されています(Google発表による)。

実際には、製品や会社の詳細情報を調べたり、カタログをダウンロードしたり、問い合わせメールを送ったり、はたまたB2B通販サイトでものを購入したり、という作業は依然としてパソコンからが圧倒的ですが、情報収集についてはモバイル経由が急激に増加しています。

その意味で、WEBサイトのモバイル対応は必須ですし、限られた表示画面でも自社のウリを伝えられるようにコンセプト、自社の強みの抽出がより重要です。

繰り返しになりますが、今の時代の最初の顧客接点(タッチポイント)はインターネットが圧倒的です。そのための窓口がちゃんと整えられていなければ、せっかくの顧客候補も去って行ってしまうでしょう。

顧客は購入チャネルをそれほど気にしない

次はハウスリスト客(名刺交換等、過去に接点のある担当者)についての話です。

WEBサイトが重要なのは変わらずですが、担当者の情報が分かっているため電話やメール、SNSといった対応が可能となります。

ただし事実として、ほとんどの企業において取引が無い顧客のフォローは皆無に近いほど行われていません。

先のGoogleの調査レポートでは、B2BビジネスにおいてWEBサイトからカタログをダウンロードしたり、問い合わせを行ったりした人たちの50%以上は、その後その企業から何のフォローも受けていないことが明らかになっています(メールマガジンや、展示会の案内メール等、その他一切のデジタルの接点がない)。

B2Bマーケティングのいわば本場の米国の、しかもある程度以上の規模の会社を対象にした調査で上記のような状態ですから、日本の中小企業における状況は推して知るべしです。

逆説的に、自社が取り組めば圧倒的な成果を上げやすいフィールドであると言えるでしょう。

このリスト化された段階の担当者に対しては、メールマーケティング、マーケティングオートメーションが行うべき基本行動となります。詳細は追ってのメールマガジン内で解説しますが、WEBサイトが定置網で魚が引っかかるのを待つスタンスだとすれば、メールマーケティング・マーケティングオートメーションは生け簀での養殖、さらに養殖した魚の銛での漁に相当します。

全社的に、リスト客に対してメールを送るとなると営業部門との折衝や摩擦が焦点となります。「私の客に手を出さないで」「私の営業の仕事の邪魔をしないで」という心理的な抵抗です。

ただし経営的な観点から言えば、「営業担当Aさんの客」などという顧客は存在せず、存在するのは自社の顧客のみです。上記の問題は話し合いや様々な施策を取り解決していかなければなりません。

ここで興味深い調査結果があります。
顧客と、自社の営業担当の意識の乖離についてです。

平均すると、営業は担当している会社の70%について、「この担当者は自分が営業でなければきっと今買ってくれているだけの金額は買ってくれないだろう」と思っているそうです。

逆に顧客にアンケートを取ると、全体の70%が「別に今の担当者でなくても、同じだけの金額の製品・サービスは引き続き購入する」という結果になったそうです。そして追加記述として最も多かった内容は、「今の営業担当は本当に御社の製品やサービスの情報を十全に伝えてくれているのか?」という意見です。

結局のところ、大手企業のエンジニア、バイヤーになればなるほど、営業担当者単体の能力や人格よりもサプライヤー全体の能力を評価します。

まとめると、顧客はその会社からものを調達できれば、そのチャネル(経路)は既存営業担当だろうが、新規担当だろうが、デジタルの窓口だろうが極論では気にしない傾向があります。

裏返せばこれは、会社全体として高いレベルを追求する必要があるということであり、またデジタルチャネル(WEBサイト、メールマガジン、SNS等)を通しての接触が有効となる証左でもあります。

営業しなければ売れない、人が関わらないと売れない、というシリアスな側面がある製造業ビジネスにおいては、優秀な営業マン(社長を含め)に知らず知らず頼ってしまいがちなことが現実です。

しかし今では各種のさまざまな営業補助・補完、マーケティングのデジタルツールが揃っています。営業担当者に良い意味で依存しない仕組みづくりを、ぜひ検討いただければと思います。

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