前回のメルマガでは、綺麗な社屋を建てたことで製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る
有能な人材が集まるヒルトップを例に挙げ、
これからの時代、ただ人を採用するだけでは不十分で、
製造業はビジネスモデルを変革することが必要、
ということをお伝えしました。
>> 前回のメルマガはこちら
こうしていくことは簡単なことではなく、
とても難しいことを分かった上で伝えているのは、
ヒルトップの取り組みの中に、どんな会社でも
着手できるポイントが含まれているからです。
ヒルトップの例に話を戻しましょう。
ヒルトップのように採用を有利に進めるため、
素敵なハコ(社屋)に大きな投資を行う、というのは
かなりハードルが高く、現実的ではないと思います。
実際、建物にそこまで投資できない!
設備の方が金を産むんだ!というのは
みなさんが思われるところでしょう。
そこで、実際ヒルトップが取り組んだことを
深く見ると、とても興味深いことが分かります。
ヒルトップの山本副社長は著書「遊ぶ鉄工所」の中で、
下記の5つの変革に取り組んだことで、
会社を大きく変えることができた、と言っています。
それは、下記の5つです。
①「人」を変えた
②「本社」を変えた
③「つくるもの」を変えた
④「つくり方」を変えた
⑤「取引先」を変えた
ここで皆さんに質問です。
この中で一番重要なのは、どれだと思うでしょうか?
人材不足時代に耐えうる、
持続性と収益性を考えたとき。
そして自社が取り組めること、と考えたとき。
どこから着手すべきでしょうか?
一番派手で目につくのは、
②「本社」を変えた
→ピンクでガラス張りの新社屋
④「つくり方を変えた」
→自社開発のヒルトップシステム
ではないかと思います。
こういった部分が目立ちますし、ある意味、
これがあるからこその出版されるのですが、
我々、受託型製造業を専門に
コンサルティングしている船井総研としては、
圧倒的に、
③「つくるもの」を変えた
です。
つまり、ヒルトップは、
大量生産ではなく
「アルミの試作の単品加工」
に特化したことで、
・加工に関する手順・ノウハウを整理しやすくなり
↓
・それによる業務の棚卸によりシステム開発が可能となり
↓
・職人でなくても(誰でも)ものづくりができるようになり
↓
・人が早く育つことで、少ない人的投資(労働時間)で
↓
・取引先を増やすことができ
↓
結果として、粗利率20%超の
高収益のビジネスモデルの構築に繋がっています。
ヒルトップから学ぶことは多くあります。
もちろんハコのことも考えていく必要があると
個人的には思いますが、
まずは、人手不足に対応していくためには、
他社よりも圧倒的に早く、
人が早く育つ環境を作るため、
どの「ものづくり」に特化するのか?
そして、何との掛け合わせで
ダントツ一番化するのか?
ここを決めていくことが、
人材不足時代を生き残る自社を築くための
スタート地点になるのです。
関連記事
アクセスランキング
-
2024.04.01
2024年4月の時流とその対策:EVシフトとChatGPTが生み出す新たな市場
東海エリアで設備投資に動きが?あらゆる業界で進む“まだら景気” 4月に入り多くの大企業において新しい期がスタートしますが、ここにきて東海エリアを中心に自動車関連のプレス金型が動き始めたといいます。ただし全ての車種、あるい …
-
2024.03.27
2024年3月の時流とその対策(2):今、注目を集める「先が見えない時代」を乗り切る経営理論
今、注目を集める「先が見えない時代」を乗り切る経営理論とは? 近年、「先が見えない時代」を乗り切る経営理論として注目を集めているのが、「エフェクチュエーション」と呼ばれる経営理論です。 これはヴァージニア大学のサラス・サ …
-
2024.03.18
【ご参加無料】船井総研 東京本社 移転記念セミナー(イベント)ご案内の件
19年間で約3倍の成長に伴う船井総研の東京本社移転 この度、船井総合研究所は4月1日より、東京本社を移転いたします。 現在は東京駅丸の内北口から徒歩3分の日本生命ビル21階が東京本社となっておりますが、上記をもちまして、 …
-
2024.03.11
2024年3月の時流とその対策:日経平均株価4万円と、業績二極化の実態とその理由
今の二極化の時代に「業績絶好調」の会社の共通点とは? 日経平均株価が40,000円を突破しました。 一方で多くの中小企業経営者が感じている目先・足元の景気はそれほど良くありません。 このギャップは、いったいどの様なことか …
-
2024.02.26
2024年2月の時流とその対策(2):日経平均最高値と、今、攻めるべきターゲット
日経平均株価が最高値を更新できた理由と、足元の景況感との乖離 私たち、船井総合研究所 製造業商社支援部では、20年近くにわたり、ものづくり経営研究会 ・部品加工業経営部会 ・生産財商社経営部会 を運営し、さらに ・セット …