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中小製造業におけるスタグフレーション時のビジネスモデル見直し7つのパターン

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「不況」と「物価高」が同時進行する“スタグフレーション”に突入した日本

不況にも関わらず、戦争や災害、国際市況の影響で物価だけが上昇する経済現象のことを「スタグフレーション」といいますが、今まさに日本が陥っている現象がこの「スタグフレーション」であるといえます。

過去に同様の状況に陥ったのは、1973年の第四次中東戦争の際のオイルショックの時です。この時は石油価格が4倍にも高騰し、その前年に起きたドルショックと相まって、多くの企業が倒産や経営不振に追い込まれました。

今回は第四次中東戦争の代わりにロシアのウクライナ進攻となりましたが、今後さらなる物価高が懸念されています。
例えば某材料商社の幹部の方が言われていましたが、今年はこれから数回にわたって材料メーカーの値上げがあり、さらに5~6割ほども材料価格が上がる可能性が大であると。また、今、自動機・省力化設備を手掛けるセットメーカーは、受注ができても部品が手に入らないから出荷ができず売上がたたない、ということで悩んでいるケースが多々あります。「手に入らない部品」というのはボールネジや直動スライドやインバーターやPLCもそうですが、“スイッチ”あるいは“リレー”など、従来であれば問題なく手に入った部品が手に入らなくなるという状態になっています。

そして今回特筆すべきなのは、冒頭に「不況」と言いましたが、生産財業界をみているとその業績の差が非常に激しいのです。例えば私の関係先の九州・福岡県の某機械工具商社は、この3月末決算は過去最高の売上・利益を記録しました。同様に九州・佐賀県の某自動機・省力化装置メーカーも、この3月末決算は過去最高の売上・利益を記録しました。京都府の某部品加工業も受注残1年分という過去に無い水準の受注を抱え、また某機械工具商社もこの3月末決算は過去最高の売上となりました。

ところが新規のお客様を経営相談していて感じるのは、10社会社があるとするならば前述の様に好調な会社は3社ほどで、残る7社くらいは業績がそうでもない、あるいは悪いという状態です。過去のITバブル崩壊やリーマン・ショックの際にはおしなべて全ての会社の業績が下がりましたが、今回は企業による業績の格差が激しい、ということなのです。

今、全ての中小企業に求められる「スタグフレーション」対策とは何か?

さて、一般的にスタグフレーションは「最悪の経済状態」ともいわれています。1973年の時のオイルショックを振り返ってみてもわかりますが、原油価格が一気に4倍にも跳ね上がったわけですから、従来の事業構造のままだと多くの会社が利益を出すことができなくなります。

では、現在の様な「スタグフレーション」の際に行うべき対策とは一体何なのでしょうか?

それは「ビジネスモデルの見直し」です。

例えば前述で、セットメーカーが装置の受注ができても部品が手に入らないので売上がたたなくなっている、とお伝えしました。そうするとセットメーカーは従来の「装置事業」だけでなく、「装置事業」の“お隣り”の「部品加工事業」も手掛けるべきです。
実際、私の関係先の某セットメーカーは2年ほど前から「部品加工事業」をスタートし、現在は部品の入手難で売上を立てるのが難しい「装置事業」の利益を補える事業になっています。
これも「ビジネスモデルの見直し」の一例です。

さて、では、自社はどの様に「ビジネスモデルの見直し」を進めるべきなのでしょうか?

「ビジネスモデルの見直し」には次の7つのパターンがあります。

ビジネスモデルの見直し7つのパターン

中小企業がスタグフレーション対策として行うべき、ビジネスモデルの見直し7つのパターンは次の通りです。

パターン1:従来よりも高単価品を扱う
パターン2:商圏を広げる。地域商圏から全国商圏に。
パターン3:内製メインから外注メインに切り替える。あるいはその逆を行う。
パターン4:特注メーカーを志向する。
パターン5:チャネルを短縮化する。
パターン6:顧客代行を行う。
パターン7:デジタル化する。つまりDX化する。

例えば前述の「部品加工事業」をスタートしたセットメーカーの場合は、上記のパターン2と3が当てはまります。装置だと限られた客先になりがちですが、部品加工は全国のあらゆる会社が顧客となり得ます。また自社設備用の部品加工は従来内製していましたが、部品加工事業の顧客については外注メインで加工の仕事をこなす様にしています。

また船井総研の公式YouTubeチャンネルでもご紹介していますが、「社員数そのままで売上1.5倍」を実現されている大阪府・岸和田市の機械工具商社 株式会社藤浪様の場合は、「工事事業」をスタートさせたことで上記のパターン1と、パターン5、さらにパターン7が該当しているといえます。

↓↓↓取組みインタビューの動画は、こちらからご覧いただけます。

同様に、営業DXに取組んで2年間で新規商談10億円を創出、新規受注1.2億円という成果をだされている株式会社関東製作所様の場合は、金型製造から射出成型部品に進出されているということで「チャネルの短縮化」でパターン5、さらにパターン6とパターン7が該当しているといえます。

↓↓↓取組みインタビューの動画は、こちらからご覧いただけます。

ぜひ、自社の場合は「ビジネスモデルの見直し7つのパターン」のうち、何に取組むのかを考えていただきたいと思います。

「ビジネスモデルの見直し7つのパターン」全てに取組む、超高収益企業とは?

さて、前述の「ビジネスモデルの見直し7つのパターン」ですが、実はこの全てに取組んでいる会社があります。その会社とは、日本を代表する高収益企業であるキーエンスです。

キーエンスは営業利益率55%という驚愕の収益性を実現しているだけでなく、実はトヨタ、ソニーに次ぐ時価総額3位の今や日本を代表する超優良企業です。

<日本の時価総額ランキング>
1位 トヨタ自動車 36兆4884億円
2位 ソニーグループ 15兆7383億円
3位 キーエンス 14兆2957億円
4位 NTTドコモ 12兆5270億円
5位 日本電信電話 11兆8946億円

このキーエンスが、先ほど申し上げた7つのパターンをどの様に手掛けているのか解説すると、

パターン1:従来よりも高単価品を扱う
・・・従来はセンサーや画像処理がメインでしたが、最近は定価で1000万円を超える
   非接触3次元測定器に注力している。

パターン2:商圏を広げる。地域商圏から全国商圏に。
・・・過去7年間で売上が2倍になっていますが、その要因の1つは輸出が伸びたこと。
つまり商圏の拡大。

パターン3:内製メインから外注メインに切り替える。
・・・キーエンスは自社工場を持たないファブレス企業。

パターン4:特注メーカーを志向する。
・・・キーエンスは特注品を標準化して、横展開することで高収益化を実現しています。

パターン5:チャネルを短縮化する。
・・・キーエンスは直販です。

パターン6:顧客代行を行う。
・・・キーエンスは実は大企業の工場には社員を常駐させ、現場改善のプレゼンをするなどしています。

パターン7:デジタル化する。つまりDX化する。
・・・キーエンスはソリューションサイトを重視しています。
同社のソリューションサイトはこの1年間で45サイトから51サイトに増えています。

いかがでしょうか。
キーエンスは、前述の「ビジネスモデルの見直し7つのパターン」全てを手掛けていることが、おわかりいただけたでしょうか。全てを手掛けているからこそ、どの様な不況にも耐えることができる強靭な組織でいることを実現できているわけです。

では、経営資源が限られた我々中小企業にとって、すぐに取組むべきこと、すぐに取り組めることとは、一体何なのでしょうか?

次回のレポートに続きます~

 

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