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中小製造業に求められる「スタグフレーション」の対策とは?

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ピンチはチャンス?1970年代に学ぶ、スタグフレーション対策

前回のレポートでもお伝えしましたが、現在は「不況」にも関わらず「物価高」が進行するという「スタグフレーション」下にあるといえます。インフレやデフレといった一般的な経済現象に対して、スタグフレーションは一般論として「最悪の経済状態」といわれますが、スタグフレーション下で全ての会社が行わなければならないことは、前回のレポートでも述べた通り『自社のビジネスモデルの見直し』です。

前回のスタグフレーションは1973年のオイルショック下で発生しました。
ドルショックに続きオイルショックで、多くの企業が倒産あるいは厳しい経営状態に追い込まれましたが、このオイルショックをきかっけに飛躍的に伸びた産業があります。

それは「自動車産業」です。

それまでは「水よりも安い原油」があることを前提に、米国でも燃費の悪い大型車が当たり前の様に街を走っていました。ところがオイルショックにより世界的に“燃費の良い車”が求められる様になった結果、日本車の人気が北米を中心に飛躍的に高まったわけです。
その結果として、完成車メーカーそのものが伸びたのはもちろんですが、完成車メーカーに部品を供給するティア1、ティア2をはじめとする部品メーカーも躍進しましたし、これら自動車産業に生産設備を供給する工作機械産業も1970年代に飛躍的な成長を遂げました。

いわゆる「ピンチはチャンス」であって、オイルショック下のスタグフレーションによって多くの会社が厳しい状況に追い込まれましたが、この時の世界的な時流の変化により、その後の日本を牽引する自動車産業が飛躍したことは歴史的事実として再認識しておくべきでしょう。

スタグフレーション対策として、中小企業がすぐに取組むべきこととは?

では今、中小企業がすぐに取組むべきことは何か?
私は迷わず「DX(=デジタル・トランスフォーメーション)」だと思います。既にDXに取組んでいる会社の場合は、DXのさらなる強化です。

ではなぜ、DXに取組まなければならないのか?

それは「顧客の購買行動」が変化してきているからです。小売業であれば、

<従来>
・店舗に出向いて、店舗で選定して、店舗で購入する

という購買行動であったのが、現在では

<現在>
・店舗に行く前にネットで選んで、どこで買うか決めて、店舗に出向いて購入する
あるいは
・店舗ではなく、ECサイト(ネット通販サイト)で購入する

という購買行動に変化しています。
その結果、この購買行動に適応したアマゾンをはじめとするEC企業が大きく伸びたのはもちろんですが、いちはやくDXに取り組んだスーパーマーケットのウォルマートや、百貨店のノードストリーム等は逆に業績を伸ばしている点に注目するべきでしょう。

2つのDX、「顧客回りDX」と「基幹系(バックオフィス)DX」

そしてDXには次の2種類があります。

いわゆる“顧客体験を高める”あるいは“新規顧客を集める”ことを目的とした「顧客回りDX」、

それから“バックオフィスの効率や生産性を高める”ことを目的とした「基幹系(バックオフィス)DX」です。
例えばRPAの導入やERPの見直し、あるいは生産管理システムの見直しといったことも「基幹系(バックオフィス)DX」ということになります。

そして現在、いわゆる好業績な会社に共通していえることは、前述の2つのDXのうち「顧客回りDX」に力を入れている会社です。
その背景として、前述の通り「顧客の購買行動が変化している」といったことが挙げられると思いますし、また今回の「コロナ禍」が、そうした顧客の購買行動の変化をさらに加速させた、といったことも挙げることができると思います。

では中小企業にとって、この「顧客回りDX」に第一歩は何か?
それは「ソリューションサイト」の立上げです。

ソリューションサイトの立上げで大手企業からの問合せを3倍に増やした測定工具メーカー

例えば新潟県燕三条市に本社を置く測定工具メーカーの新潟精機株式会社の場合、「ソリューションサイト」を立ち上げた結果、大手企業からの問合せが3倍に増えたといいます。

同社は「顧客回りDX」をはじめとする様々な取り組みが功を奏し、同社の「測定工具事業」は売上2倍という成果を実現しています。

下記URLから同社の五十嵐社長による、「顧客回りDX」への取組みを動画(約7分間)でご覧いただくことができます。

なぜソリューションサイトを立ち上げたら成果が上がるのか?

では、なぜ、ソリューションサイトを立ち上げたら成果が上がるのでしょうか?
新潟精機様の例で考えてみたいと思います。

こちらは同社の会社案内サイトです。

<新潟精機様の会社案内サイト>

それに対してこちらが、新潟精機様が運営するソリューションサイト「測定・計測技術」です。

<ソリューションサイト「測定・計測技術」>

例えば品質管理エンジニアの人が、インターネットで「シャフト 偏心測定」と検索したとします。

ここで、インターネット上で、
a)偏心測定のポイントと測定機選定のポイントがわかる、測定・計測技術
と、表示されるのと、
b)偏心測定機のことなら〇〇〇〇(メーカー名)
と表示されるのと、どちらがクリックされやすいか?
あるいは検索エンジン対策上、どちらが上位に表示されやすいか、というと圧倒的にa)の方です。

先ほどのインタビュー動画の中でも「ソリューションサイトを立ち上げた結果、大手企業からの問合せが3倍に増えた」という結果が、全てを物語っているといえます。
特に大手企業の担当者の場合は在宅勤務が増えていて、インターネットでの情報収集の割合が飛躍的に高まっています。こうした時流も同社の成功の背景にもあると思います。

私がよくたとえ話で言わせていただくのが、
「トヨタが自動車を売りたいのであれば、ソリューションサイトは必要ない」
ただし
「トヨタがモーターボートを売りたいのであれば、ソリューションサイトが必要」
と、いう話です。
具体的に、“トヨタが自動車をつくっている”ことは誰も知っていますから、ソリューションサイトは特に必要ないのです。しかしトヨタがモーターボートを売りたいのであれば、例えば『モーターボート選定ナビ』の様なソリューションサイトを立ち上げるべきです。
なぜなら、インターネットに「モーターボート購入のことならトヨタに!」と表示されても、消費者はトヨタがモーターボートをつくっていることは知りませんからクリックされる可能性は高くありません。
ところが「モーターボートの失敗しない選定のポイントがわかる、モーターボート選定ナビ」と表示されればどうでしょうか?多くの人がクリックをするはずです。

つまり「顧客が認知していない会社」のホームページはクリックされにくい、ということがソリューションサイトの必要であることの大前提です。
新潟精機様の場合は「大手企業からの問合せが3倍になった」と言われていましたが、さらに市場にその社名を知られていない様な部品加工業、あるいはセットメーカー、商社の場合はさらに効果が大きくなります。

私の経験上、自社ブランドを持たない中小企業の場合は、ソリューションサイトを立ち上げると従来の5~10倍程度に引合いが増えるのではないでしょうか。

前回のレポートで、キーエンスがソリューションサイトに力を入れている、という話をしました。さらに同社はこの1年間でソリューションサイトを45サイトから51サイトに増やしている、とお伝えしました。
つまりキーエンスは2ヶ月に1サイトのペースでソリューションサイトを立ち上げているわけです。

同社がソリューションサイトに注力している理由は、それだけ同社が新商品を積極的に投入しているからです。例えば同社の現在の売れ筋は「非接触三次元測定機」ですが、この分野はかつてミツトヨやニコンの独壇場だったわけです。言い換えれば誰もが「キーエンスが非接触三次元測定機をつくっていることを知らない」からこそ、例えば同社はソリューションサイト「測定器ナビ」を立ち上げるなどして、まずは問合せの数を増やしたわけです。そしてこの作戦を他の製品にも展開しているのです。

繰り返しになりますが「顧客から認知されていない」からこそ、ソリューションサイトは有効な手立てとなります。「顧客回りDX」は、市場からの問合せの数を増やすところからがスタートです。
そしてそれは、名が知られたナショナルブランドメーカーはもちろんですが、名が知られていない中小企業あるいは零細企業こそ有効な方法なのです。

では、この「ソリューションサイト」を構築した後は、どの様なことに取組むべきなのでしょうか?

~次回のレポートに続きます~

 

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