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2024年8月の時流とその対策:大きく二極化する企業業績、今「絶好調」の会社が取組んでいること

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「製造業の中国進出ブーム」から10年が経過した現在の状況と、あるべき経営判断

 

日々の報道からもわかる通り、中国から日系メーカーが次々に撤退しています。ホンダが中国の2つの工場を閉鎖・休止して生産を3割減、日産も同様に工場を閉鎖して生産を1割落とし、三菱自動車は現地生産から撤退、日野自動車も現地でのエンジン生産を撤退するといいます。

かつて世界で最も自動車が売れる国は米国でした。米国の場合でだいたい年間1500万台の自動車が売れています。そして、日本が年間約450万台。つまり米国は日本の3倍以上のマーケットなわけです。

これに対して、中国は今や年間3000万台のマーケットに育っています。米国の2倍、日本の6倍以上の巨大マーケットです。

こうした、“戦略的市場”から日系メーカーが次々に撤退している様子は、ある種かなりの違和感がありますが、様々な情報を総合すると、
 ・想定以上に市況が悪い
 ・想定以上に生産過多になっている
と、いうことのようです。

ちなみに、中国には100社以上の自動車メーカーが乱立しており、米国ブルームバーグによると、年間5000万台を超える生産能力があるともいわれています。不動産バブルの崩壊で市況が厳しいところに加えて、生産過多であふれた自動車がまわりのASEAN諸国にも流れ込んできており、タイでも日系メーカーが苦戦しているという報道も聞かれます。

振り返ってみると、上海万博が開催された2010年前後は、日本でも空前の中国進出ブームでした。当時は1ドル70円前後という超円高に加え、東日本大震災による電力不足もあいまって「国内の製造業は6重苦」といわれ、「中国進出しか活路が無い」という論調の中で、多くの大企業・中小企業が中国に進出しました。

この時、船井総合研究所の製造業コンサルティング部門で出版したのが「技術のある会社がなぜか儲からない本当の理由」という本です。もちろん現在でもアマゾンで購入が可能です。

本書のサブタイトルは「中小企業は国内で生き残れ!」というものでした。本当は、この「中小企業は国内で生き残れ!」をメインタイトルにしたかったのですが、それだと当時の時勢とあまりにギャップがある、ということで出版社の意向もあって上記のタイトルになったわけです。

そして本書出版から10年が経過した現在、本書で当時述べた通り国内で生き残る」努力を重ねてきた会社が、結果的に「勝ち組」になっています。

本書でも述べていますが、そもそも国内で勝ち残れるような商品力の無い会社が、海外にでていって太刀打ちできるはずがありません。国内よりも海外の方が市場は厳しいのです。今回の自動車マーケットの様に、国内以上に見えないことも多々あります。だから、日産やホンダ、もっというと日本製鉄といった日本を代表する大企業も先を読み切れずに撤退することになっているわけです。

中国やインドなど、誰が考えても「大きな市場」には、それだけ強力なライバルが世界中から集まってきます。つまり、誰がみても「チャンスの大きな市場」は、「熾烈な競争」が待ち受けているわけです。

中堅・中小企業でも海外を目指すことは大事なことだと思いますが、「自社の商品力を高める」「自社の本当の強みを見究める」といった、本質的な企業努力をないがしろにして、かつての“中国進出ブーム”といった一過性のブームに乗るのは改めて危険だと、昨今の状況をみて感じています。

 

業績が好調な中堅・中小企業の3つの共通点とは?

さて、こうした中でも業績が好調な中堅・中小企業というのは次の3つの共通点があります。

<業績が好調な中堅・中小企業の3つの共通点>
1)新規開拓あるいは新商品開発に熱心に取り組んでいる。
2)その結果、特定顧客・特定業界に依存しないビジネス構造になっている。
3)DXに熱心に取り組んでいる。

逆に苦戦している会社の共通点は、
・漫然と従来の仕事を繰り返している。
・その結果、特定顧客あるいは特定業界に依存している。
・DXにも興味関心がなく、結果的に社内も雰囲気が悪い。
ということです。

ちなみに、「DX」は“一過性のブーム”ではなく、これは明らかに“時流”です。前述の2010年前後と現在との大きな違いは、現在は誰もがスマートフォンを持ち、消費者の購買行動が明らかに変わってきました。BtoB分野における資材調達の際の購買行動も明らかに変わってきました。

そして、クラウドやSaas、そしてAI(生成AI)など、明らかに従来とは次元の異なるデジタル技術が次々に生まれてきており、購買行動だけでなくほとんどのビジネスプロセスも変わってきました。

こうした技術を理解できるか・できないか、使いこなせるか・使いこなせないか、で企業業績も明らかに大きく二極化しているわけです。

ここのところ数年、売上が前年対比横ばい、あるいは落ちているといった会社の共通点は、上記3つの共通点を満たしていない会社です。

 

中小製造業におけるDXの勘所とは?

さて、このうち3番目の共通点である「DXに熱心に取り組んでいる」ですが、中小製造業における「DX」の勘所とは、いったい何になるのでしょうか?

製造業の場合だと、いわゆる基幹システムといわれる販売管理システムに加えて、生産管理システムを導入している会社が大半だと思います。こうした基幹システムは、大きく次の3つに分類することができます。

(1)フルスクラッチ開発
(2)パッケージ導入
(3)ローコード・ノーコード・プラットフォーム活用

例えば、IBMのAS400など、メインフレームあるいはミニコンといわれるコンピューターの時代から、自社で独自に基幹システムを構築・運用してきた会社は、上記(1)にあたります。フルスクラッチ開発というのは、要は自社の業務向けに1から開発したソフトウェアのことです。現在は非常に使い勝手が良い一方、ハードウェアの保守の問題や、プログラミング言語のレガシー化の問題があり、遅かれ早かれ何らかの新しいシステムにリプレイスしなければならない状態の会社です。

そして、上記(1)の会社が次のリプレイスの方法として多くの場合選択するのが、上記(2)になります。これは、いわゆる、NECや富士通、あるいはオービックや日立、大塚商会といった様な、システムベンダーが用意しているパッケージを自社に導入するというものです。

この時、こうしたシステムベンダーが口をそろえて言うのが「仕事の流れをパッケージに合わせてください」ということです。彼らはよく、「自社の特殊なやり方にシステムを合わせようとするからDXがうまくいかないのです」と言います。

しかし、冷静に考えてみると、自社の特殊なやり方というのが、実は競争力の源泉になっている可能性もあるのです。逆に、同業他社も入れているパッケージと同じ仕事の進め方をすることが、本当に自社の競争力を強化することになるのか?前述のかつての「中国進出ブーム」の時と同じ様に、本当に自分の頭で考えるべき重要な問題だと思います。

これに対して、Zohoあるいはセールスフォースドットコムの様な「ローコード・ノーコード」を活用してシステムを構築していく考え方が、上記(3)にあたります。

例えば大阪市に本社工場をおく株式会社イワサキ(板金加工業:従業員約60名)の場合、会社の基盤システムとしては前述の「ローコード・ノーコード・プラットフォーム」を導入されています。そこでデータ基盤を統一した上で、
・見積書管理・作成システム・・・Z社
・生産計画策定・・・F社
・在庫管理・・・S社
・品質管理・・・M社
と、複数の別システムを連携させています。

また、この「ローコード・ノーコード・プラットフォーム」のアカウントを、同社の約150社の外注先にも持ってもらうことによって、同社では外注先との見積書・納品書・請求書のやり取りを全てこの「ローコード・ノーコード・プラットフォーム」の中で完結することができています。

同社の代表取締役である岩崎 基造 氏は次の様に語ります。
「餅は餅屋で、それぞれ優れたシステムがあるのだから」
「1つのツールで全てに対応するべきではなく」
「最適なシステムを“連携”させることを考えた方が良いのではないか?」

同社の一連のシステムは例えるなら、
・ローコード・ノーコード・プラットフォームのベースの上に
・前述の最適なシステムで“ビル”を建てていくイメージ
だと、岩崎社長はいいます。

同社ではかねてから取り組んでいた新規開拓活動が功を奏し、同業他社が苦戦に陥る中でも同社は絶好調の業績を維持されています。こうした、新規開拓の仕事を効率よくさばく上でも、この一連のDXが大きな成果を上げているのです

 

同業他社が不振でも、なぜあの会社は業績を落とさないのか?

また、東京に本社を置き、メイン工場を福島県におく特殊工具メーカー 株式会社東鋼は、同業の切削工具メーカーの大半が売上を落とす中、同社ではある成長産業からの引合いが好調で、前年対比プラスを維持できています。同社の場合も、その好調の要因はDXにあります。

株式会社東鋼様でも、前述の「ローコード・ノーコード・プラットフォーム」を導入し、同社の東京本社と福島工場とをシームレスに結び、特に見積書作成作業ならびに作業手配の面で大きな効率化を実現しています。

繰り返しになりますが、一般的な切削工具メーカーは自動車業界の不調もあって売上を大きく落としています。ところが、株式会社東鋼様では、非自動車マーケットの某成長産業から数多くの引合いを獲得することに成功しており、業績を落とすことなく推移されているのです。

このように、同じ業界であっても前述の「業績が好調な中堅・中小企業の3つの共通点」を満たしているかどうかで、業績も大きく二極化しているのです。

そしてこの度、詳細は下記に示しますが、来る8月19日に開催される「ものづくり経営研究会8月度定例会」にて、前述の 株式会社イワサキ 代表取締役 岩崎 基造 氏 と、株式会社東鋼 取締役 統括本部長 寺島 眞人 氏 に、特別ゲスト講師としてご講演いただきます。

さらに、この「ものづくり経営研究会8月度定例会」は、1社1度に限り、「無料お試しご参加」が可能です。

先に申し上げた通り、一般論ではない本当の中小製造業にとってのDXを知ることができる貴重な機会になるかと思います。ぜひ下記をご覧いただいた上、本「無料お試しご参加」をご検討いただければと思います。

 

経営戦略セミナー

 

<無料お試しご参加:ものづくり経営研究会8月度定例会日時>
2024年8月19日(月曜日) 14時30分~17時30分

<会場>
ベルサール東京日本橋
アクセス ► https://www.bellesalle.co.jp/shisetsu/tokyo/bs_nihonbashi/access/

お申し込みはこちらから!!
※スケジュール内の赤い「お試し無料参加」ボタンをクリックください!!
https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/event/subcommittee/10548/#schedule

~主な講座内容~
■特別ゲスト講師様からの製造業DX成功事例ご講演
・株式会社イワサキ 代表取締役 岩崎 基造 氏
・株式会社東鋼 取締役 統括本部長 寺島 眞人 氏
■会員様相互の情報交換
■船井総合研究所 専門コンサルタントからの最新時流・成功事例講演
■その他

お申し込みはこちらから!!
※スケジュール内の赤い「お試し無料参加」ボタンをクリックください!!
https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/event/subcommittee/10548/#schedule

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