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2023年12月の時流とその対策(2): 売上高30億円、営業利益率30%の部品加工業の秘密

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不況期こそ新規開拓のチャンス!新たなイノベーションは不況期に生まれる!

船井総合研究所と、その他のコンサルティング会社との大きな違いに「事例主義」というのがあります。これは、私どもの創業者である舩井幸雄が、事例を重視したことにもよります。
そして私どもの創業者は、事例の中でも驚く様な凄い事例のことを「ビックリ事例」とよんでいました。

まさに、この「ビックリ事例」ともよべる会社(部品加工業)が、九州にメイン工場を構える部品加工業の某社です。同社は従業員約150名の樹脂加工業であり、年商が約30億円に対して、営業利益率が何と30%を超えています。この某社の社長様には、今年12月に開催された「ものづくり経営研究会」の特別ゲスト講師としてご登壇いただき、ご講演をしていただきました。

某社は今年で創業約50年ですが、ずっと創業者が社長をつとめておられます。
そして、今でこそ、年商30億円で営業利益率30%という信じられない様な高収益企業ですが、同社が年商10億円を突破するのに、創業してから40年以上かかった、といいます。

そして年商10億円を突破したきっかけが、リーマン・ショックという未曾有の大不況だったといいます。
リーマン・ショックの時には、さすがの同社も赤字決算に陥ったといいます。
しかし、リーマン・ショックの時には工作機械の価格も驚くほど下がりました。こんな大不況の時に設備を買う人などいないからです。
ところが同社はこの時、あえてファナックのロボドリルを20台もまとめ買いをしたそうです。
さすがのロボドリルもこの時は全く売れていなかったので、20台がほぼ即納状態。しかも1台は“おまけ”でサービスしてくれた(?)というくらい、設備を導入する会社がなかったのだといいます。

しかしこの時、思い切って設備を導入して、自社のキャパを拡張したことが、後々やってくるDX(デジタル)ブームの波に乗れたのだと、同社の社長はいわれます。

また同時に、この時期から大手半導体装置メーカー2社との取引がスタートしたのだといいます。
逆にいえば、この2社との取引をスタートする為にも、前述の設備投資が必要だったわけです。

前回の本コラムでも、また私は過去からずっと「不況期に行うべきことは新規開拓」と申し上げておりますが、まさにそれを体現する“ビックリ事例”であると思います。

業務スーパーが牛乳パックでようかんを売る合理的な理由

また、業種業界は全く異なりますが、創業以来24年間連続増収で、今や時価総額1兆円を超える超優良企業として、「業務スーパー」を運営する神戸物産という会社があります。

同社の創業者である沼田 昭二氏が、その半生と同社の創業から現在までを1冊の本にまとめたのが「業務スーパーが牛乳パックでようかんを売る合理的な理由(日経BP)」という書籍です。

業務スーパーは全国に1000店舗以上の店舗を有していますが、同社のビジネスモデルはユニクロやニトリと同じく、SPA(製造者直販)といわれる業態です。
特に同社の場合は、経営不振に陥った国内の食品工場をドンドン買収して傘下におさめているそうです。

そうした中、ある時、地方の牛乳メーカーを買収したのだそうです。
牛乳は非常に儲けるのが難しい商品らしく、その理由として、
・仕入れ価格が統制で定められているのでコストダウンできない
・必需品なので値上げが難しく、かつ差別化も難しい
・日持ちしないのでロスが多い
といったことが挙げられます。
この牛乳メーカーの場合も、頑張れば頑張るほど儲からない、という悪循環だったそうで、創業者の沼田氏は「もう牛乳はつくらない」と決断したのだそうです。
その一方、食品の製造工程で最もコストがかかるのは「充填」「梱包」の工程だそうで、かつ牛乳パックというのはペットボトルと比べても1/10ほどのコストだといいます。
そこで沼田氏は、「牛乳の充填工程が応用できる商品をつくろう」「ただし牛乳よりも日持ちする食材で」ということで、“水ようかん“に目をつけたのだそうです。”ようかん“は元々保存食だったこともあり、数ヶ月も日持ちがします。
こうして生み出された同社のヒット商品の1つが、同書のタイトルにもなっている「牛乳パックに詰められた水ようかん」なのです。

牛乳パックのサイズだと、コンビニで個人に売るには大きすぎますが、業務用として売る分には全く問題ありませんし、大家族の場合であれば余った水ようかんは冷凍して後日食べるなど、とにかくコストが安いことが最大のメリットになるわけです。

同じ理由で手掛けたのが「豆腐パックに詰めた杏仁豆腐」です。
豆腐も単価が安く、日持ちがしにくく、差別化がしにいく商品です。ところが豆腐パックの充填装置を利用して杏仁豆腐に変えれば日持ちも伸びますし、何より業務用の格安なスイーツということで、競合のいないブルーオーシャンな商品になります。

同書によると、神戸物産はもともと輸入食材の販売や、生鮮スーパーを営む地方の中小企業だったといいます。
ところが1995年前後のバブル崩壊で一気に業績が悪化し、数期連続の赤字決算に陥ったといいます。
そこで、起死回生の一手で始めたのが、現在の業務スーパーだったのです。

また、神戸物産はもともと中国に食品工場を持っており、そこで始まったウォルマートとの取引がきっかけで、前述の様な食品製造のノウハウを入手できたのだといいます。ウォルマートのバイヤーのレベルがあまりにも高く、それに感化された同社の創業者の沼田氏は、アメリカのウォルマートの視察に行きます。
ウォルマートのビジネスモデルをそのまま日本に持ち込んでも難しい、と悩んでいるところに、当時アメリカで業績を伸ばしていた業務用スーパーであるコストコのビジネスモデルを目の当たりにします。
「これだ!」ということで日本で創業したのが、前述の業務スーパーなのです。

詳しくは同書をお読みいただければと思いますが、業種・業界は変われど、不況期は新たなビジネスを生み出すチャンスでもあり、そしてその時に出会う優良な取引先が、自社を成長させるといえます。

EVシフトの中、生産財業界におけるチャンスとは?

さて、この様にみてみると、前述の業務スーパーの場合は、“バブル崩壊”という大不況に直面することで業態転換をせざるを得なくなり、その結果としてその後の時代にやってくる「世帯あたり所得減」「食品卸の人手不足による零細飲食店の店舗型卸への移行」といった時流をものにして、時価総額1兆円もの企業つくりあげたことになります。

また冒頭にご紹介した「ビックリ事例」の部品加工業の場合、“リーマン・ショック”という大不況に直面しながら、誰もが設備投資を控えるそのタイミングで逆張りの設備投資を行い、優良大手企業との取引をものにします。そして、その後の時代にやってくる「クラウドブーム」さらには「DXブーム」の半導体投資の波にのって、売上高30億円、営業利益率30%という超優良企業に成長しているのです。

では現在はどうなのかというと、次の技術トレンドは間違いなくEVシフトでしょう。またEVシフトに伴う自動運転や、自動運転に必要なインフラも含めた新たなモビリティ産業の創出こそが次の時代のトレンドであるといえます。

先月の11月、新規開拓で年間3億円もの成果をだされている、株式会社関東製作所の代表取締役社長 渡邉 章様を特別ゲスト講師として「部品加工業“脱”自動車マーケット戦略セミナー」を開催して、好評のうちにセミナーを終了しました。

その際のご講演を、7分ほどのダイジェスト動画にまとめたのが、下記のYoutube動画になります。

同社が営業DXを導入することによって、いかに従来の顧客以外から新たなニーズ(=技術課題)を獲得できているのか、いかに思いもよらなかった様な業界から引合いを獲得できているのか。
さらには、そもそも既存取引業者のコネクションが強く、新規取引が困難な“射出成形”という業界において、いかに新規開拓に成功して、年間3億円もの新規受注に至っているかが、下記のダイジェスト動画からおわかりいただけるのではないかと思います。

ぜひこれからの年末年始の自社の戦略をゆっくりと考えるタイミングに向けて、下記動画をご覧いただければと思います。

↓↓↓新規開拓で年間3億円もの成果をだされている関東製作所様の取組みはこちらから!

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