片山和也の生産財マーケティングの視点【円安効果?いよいよ動き出した生産財業界】
この5月、6月の私のコンサルティング先の業績を見ていると、いよ
いよ生産財業界にも動きがでてきた様に思います。
特に工場に機械工具・機械部品を卸す販売店の業績は、生産財業界の
市況を直接反映しているものです。こうした販売店の業績が、この5
月、6月は上向いてきています。
例えば東海エリアの某社は、6月売上予定が4億円のところ、プラス
1億円近く上積みがされました。また東北エリアの某社も同月売上予
定1億円のところ、5000万円近くの上積みがされました。
両社の共通しているのは次の3つです。
1)大手企業の新規開拓に力を入れてきた
2)提案型営業の浸透に力を入れてきた
3)商圏内に自動車関連企業が多くある
上記1)2)は普段の努力(=準備)ですが、今回の業績上積みの直
接の原因は3)です。
アメリカでシェール革命が起きたことによるドル高・円安効果で、自
動車を始めとする海外輸出が明らかに伸びている様です。事実、この
両社のケースでも、全てのユーザーの数字が伸びているわけではあり
ません。
伸びているユーザーは何らかの形で、自動車産業と関係している会社
ばかりです。例えばタップメーカーや切削工具メーカーも増産による
社内設備の増強がされていますが、これも自動車産業向けの工具消費
が増加したものと思われます。
こうした話をすると「結局、景気に依存しているのか」と思われるか
もしれませんが、実はそうではありません。
先ほど述べた 1)大手企業の新規開拓 2)提案営業の浸透 とい
う努力を普段からしていることにより、市況が上がった時にチャンス
をものにすることができるのです。
事実、先日ある県の某製造業の業界団体で講演をしましたが、市況は
最悪とのこと。出席者の社長さんらしき人は「会社にいたくないから
早く出てきた」と言われていました。
講演に対して質問もほとんど出ませんし、とにかく参加されている方
に覇気がありません。
講演などで前で話すと、聞かれている方の取り組み姿勢というのは顔
を見たらわかります。何か新しいことに前向きに取り組んでいる人の
顔は覇気があり、若々しく見えるものです。
それに対して、ルーチンワークを繰り返してマンネリの会社というの
は、とにかく顔をみても覇気がありませんし自信も無さそうです。
話を戻すと、市況回復局面だからといって全ての会社の業績が上向い
ているわけではありません。商圏内の業種にもよるでしょうし、それ
以上に普段の取り組み姿勢が重要です。
特にこれからは、従来以上に大手企業の攻略に力を入れていく必要が
あります。円安はしばらく続きますし、消費税増税は消費税還付金を
受け取ることができる輸出企業にとって有利な税制です。
すでに今この時点で、上場会社の現預金はGDPの1/4を超え、上
場会社の40%は実質無借金経営と言われています。
大手企業は既に優位にありますが、この傾向が円安と消費税によって
強まることは間違いありません。
従って中小企業としては「小判ザメ作戦」で大手企業にしっかりくっ
ついておくこと、具体的には、
・大手企業と付き合える管理レベル・社員のレベルを上げる
・大手企業を新規開拓できるビジネスモデルをつくる
ことを考えていかなければいけません。
さらにデフレも続きます。シェール革命によってエネルギーコストが
下がるということは、デフレは間違いなく進むということです。
歴史的にみても、エネルギーコストが下がるたびに産業革命がおき、
同時に長期的なデフレが発生してきました。
デフレというのはそのまま対応すると「買い手に天国・売り手に地
獄」ということです。
企業がデフレに対抗する唯一の対策は「研究開発」しかありません。
自社商品を持たず、急に「研究開発」のステップまで進めない業態の
場合は、まず「提案営業」を行うことです。
業種別に言えば、機械工具商社などの販売店の場合は 1)加工
2)工事 といった非ナショナルブランド商品を自社の収益の中心に
もっていかなければなりません。
部品加工業の場合は、
・まず「提案型町工場」を目指す
・そして「研究開発型町工場」を目指す
というステップを踏まなければなりません。
シェール革命はドル高・円安を生み出し、現在のところは我々の業界
への追い風となっています。
しかし長期的には第4次エネルギー革命へとつながり、さらにデフレ
が進むことになります。
こうした時流に対応できる会社だけが、次の時代へと勝ち残ることが
できるのです。
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