片山和也の生産財マーケティングの視点【町工場セミナーに集まる大手企業エンジニア】
先日、部品加工業経営研究会のある会員企業様(従業員38名)で、
自社工場を会場とした無料技術セミナーを企画したところ、DM発送
から100名を超える申し込みがありました。
DMは近畿エリア2000社の中堅・大手製造業の設計部門に送付、
同社の会場は30名しか入れないので、セミナーは3回に分けて開催
することになりました。
それにしても予想を上回る集客に同社の社長も驚かれ、会場となる同
社の社員食堂を急遽リフォームしてセミナールームに改造し、社員食
堂は別の場所に新設することを決めました。
同社は近畿エリアの某都市にありますが、決して大都市ではありませ
んし、駅からも離れています。いわゆる普通の町工場です。それでも
企画次第では中堅・大手企業のエンジニアが集う様なセミナーが開催
できるのです。
同社の様な部品加工業が自社工場でセミナーを開催することは、営業
的にも非常に有効なことです。セミナーの合間には自社の工場見学を
入れる構成として、最後にアンケートをとったところ参加者の1/3
の人が「見積りを希望する」「一度来てほしい」という結果でした。
また第2回目の無料技術セミナーも大きな反響があり、DM発送から
1週間で、やはり80名を超える申し込みがありました。
しかも1回目に申し込まれたお客様(財閥系一部上場会社の関連会
社)から「2回目も絶対に参加したいので席を確保ほしい」と、かな
り強く迫られたりもしました。しかし考えてみれば、普通はこちらが
行きたくても行けない様な大手企業が、「どうしても御社に行きた
い!」と言ってくれているのだから、それはありがたいことです。
現在は確かに不景気です。しかしそれを逆手にとれば、逆にビジネス
チャンスもあります。
例えば今、大手企業では経費にうるさく、特に教育の為のセミナー・
研修参加というのは、1万円であっても中々稟議がおりません。とこ
ろが「無料」で有意義な技術セミナーということになれば、あっさり
と参加許可が出ます。トヨタや日産など、自社内に学校があり、社員
教育を完全に内製している様な会社は大手でもほんの一握りであり、
ほとんどの会社には体系的な教育システムはありません。
そこで、無料で有意義かつ体系的な技術セミナーを企画すれば、この
様に集客することができるのです。これも、本来は客が行うべきこと
(=教育)をこちらがやっている訳で、こうした活動が「顧客代行」
となります。現在の様なデフレ・市場縮小期において価格以外で勝負
しようとすると、この「顧客代行」を考えなければなりません。
こうした集客の企画を行い、その後に有望案件として残る会社はだい
たい医療機器関係か、食品関係、あるいは航空機関係の会社が多いで
す。これら業界は現在でも好調あるいは堅調な業界です。前述の会社
も、この技術セミナー+工場見学会の結果、従業員1000名規模の
医療機器メーカーと取引が始まりそうです。
従来の人的営業だけでは、現在の不況期・市場縮小期においては限界
があります。集客(=マーケティング)と人的営業を組み合わせた
“ハイブリッド営業”に本気で取り組む時代が、いよいよやってきた
と私は思います。
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