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驚きのアメリカ版 第2弾 グレートカンパニー視察ツアー2012レポート:4日目

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驚きのアメリカ版 第2弾 グレートカンパニー視察ツアー2012レポート

■ 視察4日目(2012年10月10日 水曜日) ■

視察20社目:ノードストローム(Nordstrom)

従業員数 49,447人   売上85億7000ドル(約5999億円) 
GPTW61位(2012年)

ノードストロームの入るショッピングモールの外観1 ノードストロームの入るショッピングモールの外観2 靴のサイズを測る専用の測定器
ノードストロームの入るショッピングモールの外観。当初は屋根つきの構造
であったが、OPENスタイルに建て替えがなされた。
靴のサイズを測る専用の測定器

 (1)同社の概要
●今回はロサンゼルス市サンタモニカのショッピングモール内にある店舗を視察。
●アメリカ合衆国ワシントン州シアトルに本部と本店をおく”アメリカ合衆国5大デパート”(他の4つは、シアーズ、J.C.ペニー、ヘクツ、メイシーズ)の一つである。
●創業者のジョン・W・ノードストロームはスウェーデンからの移民。アラスカでのゴールドラッシュでの成果を元手に、靴の小売業から同社の歴史をスタートした。

 (2)伝説的な同社のサービス
●現在でも靴の販売については全米一のサービスを提供している。お客が靴のサイズを告げなくても、専門の計測器で当人に最適なサイズの靴を提案する。
●同社のサービスには定評があり、米国内でも伝説的なサービスの話が数多くある。例えば白いワイシャツに青いカフスのシャツの要望があった時、売り場店員の判断で、白いワイシャツと青いワイシャツ2着をバックヤードのテイラーが組み合わせて、それを1着分の価格で販売した。
     >>同社ではこうした判断も、現場の店員の判断で実行可能である。
●実質2着分のシャツを1着分の価格で販売する訳であるから、それは見方によっては「会社に損害を与えた(=罪)」ともなるし、「伝説のサービス(=英雄)」ともなる。「理念」があることによって、英雄が罪に問われることが防げる。

 (3)同社のクレド(理念)
ノードストロームへようこそ
私たちはあなたを歓迎します。私たちの一番の目標は、お客様に格段のサービスを提供することです。理想はあなた個人としても、また本社社員としても、高く持ってください。私たちはその理想を達成できると確信しています。ノードストロームの規則はこうです。はじめに、どのような場面でも、判断力を有効に利用してください。それ以外には規則はありません。あなたの働く部門のマネージャーや、店舗マネージャー、あるいは地区のゼネラルマネージャーにも、どのような質問であれ、いつでも気軽に質問してください。
 (4)いかに理念を次世代に伝え続けるのか?
●同社はこうした理念を守り続けるため、創業家による同族経営を続けている。
●ノードストローム家の後継者は、10歳の時から店の手伝いを行うことが求められる。
     >>同族経営を行う以上、後継者は一般社員よりも10年早くキャリアを積むことが求められる。その結果、30代後半で全体のリーダーになることができる。
     >>言い換えれば、同家の後継者は自社を継ぐかどうかの決断を10歳の時点で行わなければならない。

視察15社目:パタゴニア(Patagonia)

従業員数 1,289人   売上4億ドル(約280億円)
  GPTW - 位

同社CEOのMr. Casey Sheahanによる講演 パタゴニア本社の外観
同社CEOのMr. Casey Sheahanによる講演 パタゴニア本社の外観

 (1)同社の概要
●同社創業前の1957年、創設者のYvon Chouinardがクライミングのときに用いるピトンを作り始めたことからパタゴニアの歴史は始まる。その後クライミング用品の販売で会社を大きくし、ウェアを販売し始めたところ好評を得て、ブランドとして立ち上げられたのが「パタゴニア」である。
●素材を追求しながらも1980年代に業界の常識を覆すようなカラフルな配色のウェアを発売。
●パタゴニアのアウトドア用の衣料品・サーフィン用品・バッグ・靴などは丈夫でシンプルながら、機能性だけでなくファッション性も考慮しており、製品の数々はアウトドア志向の人々に長年愛されている。
●同社創業者の経営論「社員をサーフィンに行かせよう!」は、大学でテキストとなり20万冊のベストセラーになった。

 (2)同社の理念・ミッション
●同社のミッションは「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」である。
●同社の社員は全員、目隠しをしてもミッションを暗唱することができる。それだけ同社にとってミッションは重要なものである。
●創業者は「石油資源よりも先に”きれいな水”が無くなる」と強い危機感を抱いている。創業への理念には、そうした強い危機感が反映されている。
●また商品づくりも、このミッションを前提に開発が行われている。

 (3)理念・ミッションを反映した商品づくり

●ピックも環境を保護する視点で設計されている。つまりピックを打ち込んだ時、岩を痛めない設計としている。
●できる限り自然に還元できる素材を使い、リサイクルを前提とした商品開発を前提としている。

 (4)会社の実情を全て透明化、OPENに

● 同社のWebサイト制作への理念として、いかに自社を透明化するか、である。環境に対して与えた影響もOPENに、透明にしなければならないと考えている。

 (5)利益よりも理念
●不必要に新しい商品を買うのではなく、使えるものは使い続けるという考え方を啓蒙している。
●「不必要なモノを買うのを止めよう」というコマーシャルを、テレビCMには不利と言われている”ブラック・フライデー”の日にコマーシャルを流した。結果的に翌週の売上は約3割向上した。「買うな」と言われると買いたくなるのが消費者心理かもしれない。
●いらないダムを壊しなさい、環境に悪影響を与えるダムをつくるのを止めよう、という主張を行っている。不必要なダムがいかに環境に悪影響を与えているか、というドキュメンタリーをテレビCMで流している。
●ウォルマートに対して、パッケージの新しい提案を行った。その結果、パッケージの使用量を大幅に削減することができた。できるだけパッケージ無しのオペレーションが

 (6)いかに自社の業績を上げれば良いのか
●我々が今後いかにあるべきなのかは、真剣に考えていくべき重要な問題である。
●いかに地球環境を破壊しないか、ということに焦点を置いた商品開発が必要である。
     >>理念を追求し続ければ、業績は後からついてくる。

 (7)社員のモチベーションを上げる施策
●環境を守ることに取り組んでいる会社であれば、社員はいくらでもインターンでその会社に参加することができる。
●子供を持っている母親に対しては、託児所の費用を会社が援助している。また、本社に隣接して託児所がある。

 

以上

 

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