片山和也の生産財マーケティングの視点【データでみるアベノミクスの実態】
最近、経営相談などで特に地方に行くと、「新聞やマスコミでは景気
が良くなったといっているけども全く実感できない。実際のところど
うなるのか?」といった話をよくされます。
実際の統計数値で2013年1~3月(第一四半期)の数値を見てみ
ると・・・
1.月間小売業販売額の前年対比
大型小売店 コンビニ 小売業全体
2012年10月 97.6% 102.2% 98.8%
2012年11月 101.6% 101.9% 100.9%
2012年12月 102.3% 103.0% 100.2%
2013年1月 97.1% 104.2% 98.9%
2013年2月 97.1% 99.3% 97.8%
2013年3月 103.5% 105.1% 99.7%
3月からは若干の改善がみられます。株高や一連の報道による消費者
マインドの改善が感じられます。しかし卸売業の数字をみると、
2.月間卸売業販売額の前年対比
2012年10月 98.2%
2013年11月 98.4%
2013年12月 97.5%
2013年1月 100.1%
2013年2月 98.7%
2013年3月 98.5%
卸売業は法人相手の数字が大半ということもあり、3月になっても改
善は見られません。
3.鉱工業(製造業)出荷額四半期毎の前年対比
2012年7~9月 96%
2012年10~12月 93%
2013年1~3月 95%
製造業についても改善は見られません。
4.業種別に見た鉱工業(製造業)出荷額四半期毎の前年対比
(1)製造業137分類のうち前年対比が101%の業種の数
2012年7~9月 36業種
2012年10~12月 27業種
2013年1~3月 47業種
137業種のうち、47業種しか昨年対比をクリアしていません。
ただし昨年対比をクリアする業種は、やや増加傾向です。
では、どの様な業種がよかったのか、といえば・・・
(2)2013年1~3月で前年対比が105%以上の主な業種
・建設用金属製品・化学機械・運搬機械
・金属加工機械・電気機械工業・ファインセラミックス
・合成ゴム・パルプ
・食料品・清涼飲料・楽器・文具
さらに苦戦している業種を見ると・・・
(3)2013年1~3月で前年対比が85%以下の業種
・半導体製造装置・産業用ロボット・金属工作機械
・配線・照明用器具・電気計測器
・情報通信機械工業・通信機械・民生用電子機械・情報化関連消費財
いわゆる生産財業界は全般的に苦戦していることがよくわかります。
以上、弊社執行役員 菊池功が弊社内向けにまとめた資料からも一部
引用してまとめました。
↓↓↓菊池功のブログ
http://www.eco-webnet.com/kikuchi/
こうして経済産業省が発表した実際の統計データをみると、確かに消
費者市場を中心に、景気は若干の回復の傾向も見て取れます。しかし
とても新聞やマスコミが煽るほどの景気回復はなされていないことも
良くわかります。
やはり現在は非常時です。周囲の雰囲気や一般情報に惑わされること
なく、自分自身で真実の情報をあつめ、また自分自身の頭で判断する
ことがリーダーに求められることです。
ただし、良い情報もあります。
2013年4月に開催した、私が主宰している機械工具商社経営研究
会では当日ご参加企業25社のうち、昨年対比でプラスと言われた会
社が約3割でした。地域一番店クラス、あるいはそれに準じる優良企
業の方が多いことを考えれば、いかに業界全体が厳しいかよくわかり
ます。
しかし2013年5月に開催した、やはり私が主宰している部品加工
業経営研究会では、当日ご参加企業19社のうち17社が、4月から
忙しくなってきた、といいます。
機械工具商社よりも部品加工業の方が、より大手製造業のスペック・
イン部品を扱っていることを考えれば、まず部品加工業がよくなるこ
とは理解できます。また、現在は限られたエリアで商売をするルート
セールス業態が全般的に苦戦しています。部品加工業の様なピンポイ
ントで取引を行う業態は、比較的自由度が高いのです。
市場の全てが悪い、ということはあり得ません。仕事があるところに
は仕事があります。そうしたことも含めて、現在の様な時代は正しい
情報を集めること、それを自分自身の頭で正しく判断することが必須
の時代であるといえます。
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