非常に当たり前のことですが、製造業は作ったモノを売らないと意味がありません。
つまり、新規顧客・新規案件を獲得して業績を向上させていくには、集客工程も勿論重要なのですが、その後の営業工程を強化して受注率・成約率を上げていくことが非常に重要になってきます。
特に働き方改革が始まった現在は、これを効率的に行うことで大きな差が生まれます。
受注率を効率的に向上させるために必要なこととは?
皆様の中には、受注率・成約率を向上させることを課題とされている方もいらっしゃるかもしれません
とある製缶板金加工業でも、1か月で5件ほどの新規問い合わせが来てはおりましたが、そこから受注までに繋がるのは1件あるかないか程度で、集客後の工程のほうに明らかに課題がありました。
このようにせっかく新規案件の引き合いがあっても、その後の工程で失注してしまえば業績向上にはつながりません。
仮にそこの施策にコストを割いている場合は、それの回収もできなくなってしまいます。
受注率を向上させる、言い換えれば営業活動における生産性を向上させるには、以下の2点の要素が欠かせません。
(1):営業プロセスの形式知化と標準化
社内での営業プロセスは往々にしてバラバラになっており、これが営業活動の属人性の高さの源泉となっているといっても過言ではありません。
そのため形式知化・標準化を図ることがまずは営業活動の生産性向上を図る第一ステップとなります。
各人によりバラバラの営業活動のプロセスを、高いパフォーマンスを上げている人がいるのであればその人のものを参考にするのが良いでしょう。
そして社内共通の営業プロセスを構築することで、社内全体で使える共通の言語を以て、「今この案件はどのような進捗にあるのか」「次はどのような手を打つべきか」など営業活動の議論・分析ができるようになるのです。
またこの形式知化と標準化を行うにあたって肝となるのが、「失注理由」を蓄積できるようにすることです。
「なぜ、この商談は受注に至らなかったのか」「それは当社の価格面なのか、品質面なのか、顧客の失注なのか」などを分析できるような体制とすることで、受注精度を上げることに大きく響いてきます。
(2):営業活動における無駄打ちを減らす
営業活動における無駄打ちを減らすことが受注率向上に結び付くのは、容易に想像がつくことと思います。
営業活動における無駄打ちを減らす手段として挙げられるのが、マーケティング・オートメーションです。
マーケティング・オートメーションとは一言で言うと、「メールアドレスを把握している人が、何時何分何秒に、どのWEBページをどのくらいの時間閲覧したのかが個別にわかる」ツールです。
既に導入されている方もいらっしゃるかもしれませんが、「〇〇さんがウチのWEBサイトをよく見てくれている!」というようにWEB閲覧頻度を温度感に置き換えて、どこに営業活動をかけるか絞り込みを行うという使い方が多いことと思います。
しかしこのようにWEB行動履歴だけに基づき営業活動に移しても、無駄打ちの減少に決定的には効いてきません。
無駄打ちの減少を実現するには、次のような項目を組み合わせることが重要です。
・その業態や職種、キーマンか否かなどの顧客属性
・自社の営業活動履歴
同じようなWEB上での行動遷移を取っていても、エンドユーザーなのかセットメーカーなのか、設計者なのか資材担当者なのかで話し方は必ず変わってきます。
またキーマンでない人、購買意思決定者でない人に時間を徒にかけても意味がありません。
更にこれまで営業活動を行っているのか否かでも営業活動における話し方は必ず変わるはずです。
この先述の2点を徹底して行っているのがキーエンスです。
先日の日経新聞でも取り上げられましたが、キーエンスは平均年収2088万円という高い給与を人件費として従業員に支払っている一方、売上高営業利益率54%という超高収益企業です。
その高収益体質を支えている要因の1つには、上記2点を徹底することによる営業活動の生産性の高さがあるのです。
一方で、先ほど触れました製缶板金加工業ではどのような取り組みを行ったのでしょうか。
それはデジタルCRMツールを活用した導入と、それを活用した顧客・商談管理です。
これにより、受注まで至るのが、0件/月から2~3件/月へと増えた結果となり、受注率の20%以上向上を実現しました。
このようなことを行えるデジタルツールは世の中にいくつかありますが、その企業様が導入したZOHOというツールを今回はご紹介したいと思います。
ZOHOとはインドのゾーホーコーポレーションが提供しているクラウド型のビジネスアプリケーションツール群です。
※営業・マーケティングから会計処理、人材管理と非常に幅広い範囲を網羅していますが、今回はその中でも営業・マーケティングのツールに焦点をあてます。
次号では、ZOHOとはどういうデジタルツールなのか、どのように営業の生産性向上に貢献するツールだと言うことができるのか、ZOHOの大きな特徴を2点挙げながら説明したいと思います。
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