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片山和也の生産財マーケティングの視点【3Dプリンタが製造業に与える影響】

最近、あらゆるメディアで3Dプリンタに関する記事を目にする機会
が増えました。また、多くの方から「3Dプリンタは実際、製造業に
どの様な影響を与えているのか?」という質問をされることが増えま
した。

この3Dプリンタそのものは、20年以上前から存在するものです。
かつて倒産の窮地に陥ったクライスラーを復活させたのが、3次元C
ADによるコストダウン設計と、当時の3Dプリンタである光造形技
術によるRP(ラピッド・プロトタイピング)であったと言われてい
ます。
その後、ロストワックスの鋳型をノズル噴射による3D造形をする技
術が生まれ、日本にも入ってきました。これが15年前くらいの話で
す。また、鋳物砂をRPで固める技術、金属を焼結させるRPもあり、
技術的には現在と遜色の無い世界だったと思います。

一番の違いはコストです。
例えば当時の3次元CADはパソコンではなく、ワークステーション
上で動く特別なものでした。価格も2000~3000万円くらいし
ていました。
ところが現在の3次元CADは、ミッドレンジタイプであれば100
万円も出せば十分なものが手に入ります。

また当時の光造形装置に代表されるRPの設備は、1億円から安くて
も数千万円していました。
現在の3Dプリンタは産業用の安いもので100万円前後、個人ユー
スものであれば15万円程度で購入することができます。

現在のところ試作業者の方に話を聞いても、材料の自由度や表面粗さ
の問題などもあり、3Dプリンタが大きく試作市場を揺るがしている、
という話はない様です。
しかし一方で、余力のある金型業者や樹脂成型業者が、テスト的に数
千万円する3Dプリンタを購入した、という話も聞かれます。

また、米国では航空機部品など、従来は同時5軸でなければ加工でき
なかった難加工形状の部品(ノズルなど)を、金属材料対応の3Dプ
リンタを活用する事例が聞かれる様になりました。

事実、私が今年6月に企画した「アメリカ医療機器・航空機産業視察
セミナー」で立ち寄った、コネチカット州のConnecticut Center of
Advance Technology(CCAT)には米国製3Dプリンタがおかれ、地元
の中小製造業への技術導入が行われていました。
↓↓↓その際のレポートはこちら

こうした3Dプリンタが製造業に与えるインパクトとして、生産ロッ
トを大幅に引き下げることができる、という点です。
例えば米国IBM社の検証によれば、現在の生産数量の10%で、同
等の量産効果を得られる、という試算もあります。
その結果、今後5~10年で工場の規模や人数で差別化する規模の経
済が終焉し、多品種微量生産の時代が来る、と予測しています。

さらに検証結果から、調査したサプライチェーン担当の7割が自社工
場や戦略が時代遅れなことに気づいておらず、今後はソフトウェアが
製造業に及ぼす影響がさらに高まる、と結論づけています。

事実、私のコンサルティング先を見ても、3次元CAD/CAMを使
いこなす部品加工業は好業績です。
また、工作機械版3Dプリンタと言える複合機(マザックのインテグ
レックス、森精機MTなど)は、複数の工作機械で工程分割した場合
と比較して、最大1/10ものリードタイム短縮を図ることが可能で
す。5軸加工機も同様です。

しかし、こうした複合機や5軸加工機を使いこなそうとすると、生産
計画や事前の段取り、NCプログラムのDNC計画も必要になってき
ます。もちろん生産管理システムも必須です。

そして従業員20~30名の町工場でも、こうしたIT環境を整え、
多品種微量の生産システムで差別化を行っている会社もあります。

この9月6日(金)に開催される“先端「町工場」視察セミナーin
関西”では、こうしたモデル町工場2社3箇所を視察します。
↓↓↓先端「町工場」視察セミナーin関西のご案内はこちら

先述の通り、これからは工場の規模や人数で差別化する時代ではあり
ません。町工場であってもITを活用して革新的で、5Sなどモラル
の高い工場が生き残る時代です。

ぜひ本視察セミナーで、国内で生き残るモデル工場を視察いただけれ
ばと思います。

生産財マーケティングのことなら生産財マーケティング.COM>>> https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/

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