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片山和也の生産財マーケティングの視点【国内で生き残る製造業のモデルがドイツにある】

この10月に船井総研で企画しているドイツ版グレートカンパニー視
察セミナー(2013年10月6日(日)~12日(土))ですが、定員1
00名のところ、はや70名近いお客様からお申し込みをいただいて
います。
昨年、一昨年のアメリカ版グレートカンパニー視察の時よりも告知時
期が早いのですが、それを上回るペースでお申し込みをいただいてい
る様です。

私は昨年4月、ハノーバーメッセ視察とともにドイツ中小製造業視察
セミナーを企画し、ドイツに行ってきました。
ドイツでは自動車に代表される大量生産品は、トルコや東欧をはじめ
とする、人件費の安い国に完全に流出しています。
ちなみにドイツのお隣の国、ポーランドはドイツの1/4くらいの人
件費だそうです。

ところがドイツ国内に残っている製造業関係者はとても自信に満ち溢
れ、「ドイツ国内で製造業はやっていけるのか?」「トルコや中国と
価格競争にならないのか?」という我々からの質問に対し、
「ドイツには300年にも及ぶ機械文明の歴史がある」
「トルコや中国とはやっていることが根本的に違うから、そもそも競
争にならない」
と、断言されていました。

またドイツの従業員35名の鉄工所(ヤマザキマザックのユーザー)
の社長も、「同業者間での価格競争にならないのか?」という我々の質問に対して、
「価格競争には絶対にならない」
「我々は価格以上の価値を提供している」
「取引先と我々は信頼関係がある、我々も努力をし続けている」
と言い切っていました。

私は、製造業関係者の方、特に国内での勝ち残りを考えられている会
社の経営者は、一度はドイツ企業を視察しておくべきだと思います。

ちなみにドイツはもともと工業後進国。18世紀当時は世界に先駆け
て産業革命に成功したイギリスが一流工業国でした。
当時のドイツ製品は「安かろう悪かろう」の代名詞で、常にイギリス
製品と比較されて、買い叩かれていたと言われます。

このままではダメだ、とドイツの政府は、価格競争に陥らない工業政
策を模索します。
そうした中、まず目をつけたのが「デザイン」です。
当時の工業製品は実用一辺倒で、デザインは完全に無視されていまし
た。そこでドイツは工業製品にデザインを取り入れることで、差別化
を行おうとしたのです。
こうして生まれたのがインダストリアル・デザインという分野であり、
そうしたインダストリアル・デザインを教える世界初の専門学校がバ
ム・ハウスといわれるものです。

この様にドイツは初めから工業先進国だったわけではなく、イギリス
との競争の中で、苦労して現在の地位を勝ち得たのです。

また、ドイツが特徴的なのは中小企業のパワーが強いことです。
例えば日本では輸出を行う中小企業の割合が3%以下なのに対し、ド
イツでは20%近くの中小企業が輸出を行っています。
さらに日本や米国は輸出の90%以上を大企業が行っているのに対し、
ドイツでは輸出に占める大企業の割合は70%もありません。

日本は現在、貿易赤字国に転落してしまいましたが、ドイツは一貫し
て貿易黒字国です。ドイツが一貫して貿易黒字国であり続けられるの
は、こうした中小企業の底堅さがあるからだといえます。

ヨーロッパでもマネーゲームに走ったイギリスやアイスランドの地位
が低下する一方、堅実に製造業を守ってきたドイツは欧州の中心的存
在になりました。国力の中心が製造業であることの証明であるといえ
るでしょう。

また、よく言われることですが、日本における年間労働時間の平均が
1733時間なのに対し、ドイツは1419時間です。ところが生産
性でみると、日本は1人あたりGDPが33,804ドルなのに対し、
ドイツは36,033ドルとなっています。つまり単位時間あたりの
生産性はドイツの方が2割ほども高くなっているのです。

激変期を迎えている今日、我々日本企業がドイツから学ぶことは極め
て多いのではないでしょうか。

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