前回のコラムでお伝えしたスター精密の佐藤会長は、昭和50年4月に家業である同社に入社しました。まさに時代はドルショックを経てオイルショックと、激動の時代です。
オイルショックは、それまで1バレル1~2ドルだった原油が一気に10~20ドルと、10倍以上に価格が跳ね上がった出来事です。まさに現在のリーマン・ショック並みに社会インパクトのあった事件であるといって過言ではないでしょう。
その後、スター精密は年商28億円の典型的な中小企業から、年商700億円のグローバル企業に大きく成長を遂げるわけですが、そうしたご経験をされてきた佐藤会長からみると、現在はドルショック前・オイルショック前の当時の日本にそっくりだ、と言います。
「では今の時代、経営者としてやっておくべきことは何でしょうか?」
との私の質問に対して、佐藤会長が即答された言葉が、
「儲からないことはやめる」
ということでした。
「儲からないことはやめる」
言われてみると確かに、“ずっとやってきていることだから”“昔からのお付き合いだから”と、儲からないことをズルズルと続けているケースは多々あります。
社員のサービス残業でそれを賄えた時代はそれでもよかったかもしれませんが、現在は違います。
本当に必要なことにリソース(=経営資源)を集中する経営が求められていると思います。
さらに佐藤会長は「価格主導権を取る(=プライスリーダーになる)」ことの重要性を強調されています。そして価格主導権を取るために必要なことはシェアを高めることであり、市場シェアで20%を超すと過去の経験上プライスリーダーになることができる、と佐藤会長は言われます。
従って大切な事は、大手企業が参入してくる様な大きな市場には手を出さない、ということだと佐藤会長は言われます。
同社の場合は世界市場で1500億円以上のマーケットには手を出さない、と言います。
これを、あるアメリカの経営学者は「大きな池の小さな魚よりも、小さな池の大きな魚」と比喩しています。船井総研の船井流経営法にも「力相応一番」という原理原則がありますが、自社が一番になれる領域まで属性を狭めることがポイントです。
また佐藤会長は、「成長産業の中でビジネスをしないと絶対に成長できない」とも言われています。例えばスター精密が手がける工作機械事業は、いわばNCによる人手を使わない装置をつくるビジネスです。中国をはじめとして世界中の国で賃金が上がっている以上、ますます人手を使わずにすむ装置が求められるはずで、そうした意味で工作機械事業は成長産業だと佐藤会長は語ります。
少しだけ話がそれますが、確かに、自社の手掛けるビジネスそのものが成熟産業であったとしても、成長産業のお客と付き合えれば良いのです。
例えば昨年1月のセミナーでご講演いただいた産業用紙袋・ポリ袋を取り扱うシコー株式会社の場合、紙袋そのものは市場が縮小している業界です。ところが最近では、通販業界においてコストのかかる段ボールから、梱包資材を紙袋に置き換える動きも出てきており、シコーはこの流れにのって業界そのものが縮小する中で、年間1億円の成長を遂げています。
すなわち、通販産業という成長産業の中の、段ボールから紙包装への「工法転換」にビジネスチャンスを見出しているわけです。
話を戻すと、「成長産業の中でビジネスを行う」というのはこういうことです。
そして今回、前述のスター精密 代表取締役会長の佐藤 肇様を特別ゲスト講師として、
来る3月7日(木曜日)船井総研東京本社(丸の内)にて、「2019年 生産財・FAメーカー経営戦略セミナー」を企画いたしました。
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テーマは前述の「最小の経営資源で最大の効果を上げる経営」ということです。
そして2019年3月以降、生産財・FA業界の経営者として押さえておくべき時流対策を学ぶことも大きなテーマです。
本セミナーは会場の関係もあり、先着30名様限定のセミナーとなっております。
ぜひお早めに、上記URLより本セミナーの詳細をご確認いただき、お申込みいただければと存じます。
本セミナーでは私も講師として登壇いたします。
ぜひ会場で皆様とお会いできることを、心より楽しみにしております。
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