先日、年商1000億円の生産財メーカーの会長とお話をする機会がありました。
同会長は町工場同然であった自社を、先代と一緒になり東証一部上場のグローバル企業にまで育て上げた、立志伝中の辣腕経営者です。
そんな会長曰く、現在の状況は前回の1964年東京オリンピック前の時と同じだ、と。
前回の1964年の東京オリンピックの前は空前の好況で、誰もがこの好況はずっと続くと思っていたそうです。ところがオリンピックが終わると大変な不況になり、そこにドルショック、オイルショックが続いて大変なことになった、といいます。
同会長曰く、今までは5~7年周期で不況がやってきて、逆にそれがたまったガスを逃がすかの様に、経済のバランスをとってきた、と。ところが今回はアベノミクスのおかげで人工的に好況が長引いており、そこに来年の消費税値上げと再来年のオリンピック終了の副作用がきて、それこそ前の時と同じかそれ以上に大変なことになる可能性が高い、と言われていました。
そこで私は、「では、今の時期、経営者としては何をするべきでしょうか?」
と質問すると、その会長は
「儲かっていない仕事をスグに止めることだ」
と、即答されました。
そこで私は「儲かっていない仕事を止めることが今、最も大事なことなのですか?」と再度聞く私に会長は「そうだ」と力強く答えられました。
さらに私は「しかし、儲かっていない仕事を止めるだけでは成長戦略にならないと思いますが、成長するためにはどうすれば良いのですか?」とお聞きしたところ、
「それは、本業の強みの部分を中心に、四畳半の部屋ではないけども、その部屋の四隅をバランスよく広げて大きな部屋にしていくんだ」「本業の強み以外のことに手を出してはダメだ」
と言われました。そこで私は、
「では、何が自社の本業なのか、何が自社の本当の強みなのか、そこをしっかり押さえておくことが何より大事ですね」とお聞きしたころ、「その通りだ」と力強く答えられました。
何が自社の強みで、そしてバランス良く広げていく4つの軸とは何なのか?
私は次の4つだと思います。
・1つ目の軸:今の強みをより強くする
・2つ目の軸:新たなお客をつくる
・3つ目の軸:新たな商品をつくる
・4つ目の軸:人材の採用と育成・一体化
そして私は、部品加工業/受託型製造業における1つ目の軸、すなわち「今の強みをより強くする」とは、言い換えれば「メーカー化」だと思っています。
ここでいうメーカーとは、「インテリア」「雑貨」「家具」といった類のBtoC(=一般消費者向け)メーカーのことを言っているのではありません。
前述の、あくまで現在の本業であるBtoB(=法人向け・企業向け)メーカーであることが「メーカー化」戦略の前提条件です。
またメーカーと一言で言っても、メーカーには次の4段階があります。
第一段階:完全なる受託型製造業(=下請け的ビジネス)
第二段階:特注メーカー+受託型製造業(=強み主体のビジネス)
第三段階:特注メーカー+自社ブランド(=特注主体のビジネス)
第四段階:自社ブランドメーカー(=標準品主体のビジネス)
現在、第一段階にある部品加工業が、いきなり第四段階を目指しましょう、という話ではありません。
現在、第一段階にある部品加工業は、まずは第二段階を目指しましょう、そういう話です。
前述の、四隅を少しずつ広げていく、というのはそういうことです。
いずれにせよ、製造業が飛躍的に収益性を高めるためには、前述の4段階に沿って自社をメーカー化していくことです。
そうしたテーマの部品加工業向け経営セミナーを、来年2019年1月24日(木)東京会場、また1月29日(火)大阪会場 にて、下記URLの通り企画いたしました。
↓↓↓部品加工業がメーカーを目指すための経営セミナー
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/039575.html
業績に余裕のある今だからこそ、打てる手もあるのではないでしょうか。
ぜひセミナー会場で皆様とお会いしたいと思っております。
製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る