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2018年11月の時流: 採用に苦戦する本当の理由

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先日、私の関係先の年商60億円の商社に伺ったところ、今期は注力している加工ビジネスが好調なため、営業利益が6億円近く出る、と言われていました。

地方の地域密着型商社としては、かなり良い業績だと思います。

しかし、その商社の社長は、来年はあえて新入社員を1名も入れない、と言われていました。

理由は、これだけ大企業が金に糸目を付けず採用を増やす中、リソース(経営資源)に乏しい中小企業が焦って無理に人を採用する必要があるのか?と、その商社の社長は言われるのです。

「焦って変な人を雇って、仕事ができない上に辞められでもしたら大損だよ」と。

話が少し飛びますが、今、全国的にも採用が非常に厳しいエリアが、私が知る限り2エリアあります。

1つは滋賀県、もう1つは福井県です。

滋賀県にはグローバルトップの、内燃機関メーカーのメイン工場が数カ所あります。欧米の厳しい環境規制に適合した内燃機関をつくれることもあり、現在はバブル期をはるかに超えて生産のピークを迎えています。

そこにきて、トランプ大統領がこの夏から、中国出荷製品に対して効率の関税をかけました。

中国にもメイン工場を持つこの内燃機関メーカーは、中国での生産分を国内に戻しアメリカへの輸出に振り向けている様ですが、その結果、このメーカーでは深刻な人手不足に陥りました。

中長期的にはインドに新工場をつくる予定ですが、それまでの間は、国内でなんとしても生産を維持しなければなりません。

そこで、この内燃機関メーカーは、時給2400円で人を集めています。単純計算で、月額40万円近い額面になります。

リーマン・ショックの前、工場ラインの派遣社員の相場は時給1300円前後でした。現在でも、下請けクラスだと時給1600~1800円ぐらいが限界です。これ以上の時給にすると利益がでません。

滋賀県には大手自動車メーカーの工場もありますが、某商社の若手社員が、

「ウチの会社は給料が安い」「残業もでない」

「稼ぐんだったら自動車メーカーのラインに入って割り切って働いた方が稼げる」

といった発言をしていましたが、彼らは入社2~3年目の若手社員です。入社10年以上のベテランになると、仕事の面白さに目覚めていますから簡単に辞めません。多くの会社で若手ほど離職が多い理由に、こうした背景がある様です。

また、福井県の大手電子部品メーカー某社では、給与の「1.5倍保証」を行って、人をかき集めているといいます。

自社商品を持つ大手企業は、多少人件費をあげても利益で十分に吸収ができます。また彼らはサラリーマンですから、生産量の必達が至上命題、となれば手段をえらばず生産をあげるために人をかきあつめてきます。

そんな力任せでやってくる大手企業に、正面から立ち向かうのが得策なのですか?というのが前述の商社の社長の言い分なわけです。

話を戻します。

前述の年商60億円の商社の場合、来年は人は採用しませんが、その代わりにデジタル投資をしようとしています。

地域密着型商社が行うべきデジタル投資の1つは、マーケティング・オートメーションの導入です。

マーケティング・オートメーションとは、端的に言えばメールマガジンの配信システムのことです。

このシステムのすぐれているところは、

1)誰がメルマガを開封したかわかる

2)そのメルマガを開封した人が、自社のWebサイトのどこをどれだけ閲覧したかわかる

3)それによって営業のアポがほぼ100%取れ、商談の発生率が3倍程度に上がる

というものです。

ちなみに、船井総合研究所がご支援している機械工具商社(従業員15~40名レベル)の場合、メールマガジンの開封率は最低でも20%、高ければ30%強、新規顧客も含めメールマガジンを開封して自社サイト閲覧してくれた顧客は100%アポが取れ、その結果訪問した相手での商談の発生率は、通常の訪問と比較して約3倍程度にあがっています。

詳細は下記URLをご覧いただければと思いますが、

↓↓↓

https://factory-business.com/seminar-038809_lp/

こうした「デジタルで今、何ができるのか」「それが機械工具商社にとって実際にどう活用できるのか」「それに取組んでいる先進事例を知っておく」ことは、自社が前述のデジタル(=マーケティング・オートメーション)を導入するか否かは置いておき、必須のことではないかと私は思います。

また、こうしたビジネスモデルを強化すると、おのずと良い人材も採用できる様になります。

例えば東海エリアの従業員35名の機械工具商社A社では、東証一部上場の機械工具商社S社から、32歳の中堅営業マンが転職してきました。

理由は、このS社では東証一部ということもあり、「手間のかかるエンジニアリングは受注するな」「代理店となっている商品を確実に売れ」としばりが多く、本当にお客の役に立つ商売ができない、というのが悩みだったそうです。

そこで、ある機会にこの従業員35名のA社のホームページを見たところ、Webサイトに加工・工事・エンジニアリングに力を入れていることがハッキリとうたわれ、かつ、「採用サイト」もあったことから、この会社が社員を大切にする、採用に力を入れていることがわかった、といいます。

採用に関しても、今、注力すべきポイントは「デジタル」です。すなわち自社採用サイトを持つことです。

今日日、どんな媒体から求職するにしても、その会社のホームページは必ず見ます。その時に、採用サイトが有るか無いかでその後の結果は大きく変わってきます。

つまり、あらゆる分野で「デジタルシフト」が進んでおり、あらゆる業種において、いかに自社にデジタルを取り入れるのかが死活問題になっている、ということなのです。

さらに来年の4月以降、中小企業においても働き方改革法案により、月次60時間を超える残業については1.5倍もの割り増し賃金を払う必要がでてきます。

もっというと、営業会社も従来の“みなし残業手当”としての営業手当で残業代を賄うという従来の手法が、現在の流れでは通用しなくなる可能性が高いといえます。

その点、前述のマーケティング・オートメーションは、営業のデジタルシフトにも有効です。

なぜなら、ルートセールスにありがちな「月に1回、顔を出すだけの訪問」をするのも、月に1回メールマガジンが届くのも、ほとんど顧客への効果としては変わらない、という調査結果がでています。

実際、先日、九州の某機械工具商社(従業員20名)では、ずっと訪問を断り続けられてきた新規顧客(過去の同社開催の技術セミナー参加客)から、「メルマガを読んだんですが、ちょうど同じものを検討してまして、いちど来てもらえませんか」と連絡がきました。

つまり、「訪問しなければ買ってくれない」という思い込みを、デジタル(=メールマガジン)に置き換えることで、その分、営業の生産性を上げることができる、ということなのです。

こうした、地域密着型の商社・販売店がいかにデジタルを取入れて、人を増やさず利益を増やすのか、この年末の2018年12月14日(金曜日:大阪会場)、12月20日(木曜日:東京)にて、「機械工具商社経営セミナー」で、その具体的なノウハウや導入手法、また、実際に導入して“人を増やさず利益を増やす”ことに成功されているモデル経営者をゲスト講師として、皆様にお伝えしたいと思います。

詳細・お申込みは下記URLをご覧ください。

↓↓↓

https://factory-business.com/seminar-038809_lp/

もちろん、私、片山も講師として登壇いたします。 ぜひ、会場で皆様とお会いできればと思います。

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