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この4月22日から28日までの1週間、ドイツグレートカンパニー視察セミナーに講師として参加してきました。
本視察セミナーの様子は下記URLからご覧いただけますが、ここでは特にドイツ製造業の生産性の高さの
理由について、筆者が感じたところをお伝えしたいと思います。
↓↓↓ドイツ視察セミナーレポートはこちら!
https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/tag/inspection_report/great201804_01/
ドイツ製造業の高さの理由(1)周辺国との分業
ドイツはポーランドやトルコなど、周辺国との分業により生産性を高めています。
例えばポーランドの人件費はドイツの1/4といわれます。今回視察したroger社(グループ従業員400
名)の場合も、本社機能とオーダー性の高い製品はドイツ国内で生産していますが、汎用品はポーランドで生産
するなど、中小企業であっても周辺国との分業を行うことにより自国の生産性を高めていることがわかります。
ドイツ製造業の高さの理由(2)デジタル化
アメリカではBtoC企業のデジタル化の事例を目の当たりにしましたが、ドイツではBtoB企業のデジタル化の事例を見ることができました。
例えば今回視察したSAP社は、「産業のまるごとデジタル化」事業によって、売上高を倍近くに伸ばしていま
す。また今回視察したArend社は従業員35人という規模ながら、経営陣は博士号を持つエンジニア集団で
あり、毎年2割の成長を遂げています。
ここ数年のグレートカンパニー視察セミナーを通して感じることは、経営にいかに「デジタル」を取り入れるか、
といったことが必須テーマである、ということです。
ドイツ製造業の高さの理由(3)ロボット化
今回の視察セミナーの中では、ハノーバーメッセへの視察も行いました。
ハノーバーメッセで特に目立ったのは「協働ロボット」のブースです。KUKAやABBといったメジャーなロ
ボットメーカーだけでなく、ユニバーサルロボット社といった協働ロボット専業のメーカーはもちろん、中小新
興の協働ロボットメーカーが数多く出展されていました。
従来の産業用ロボットが主に「人のできない仕事」を行うのに対し、協働ロボットは「人が行っている仕事」を
置き換えることが主な目的です。
従って人とともに働ける安全性に加え、コストが安く投資回収期間が短いといった特
徴が協働ロボットにはあります。
欧州では協働ロボットの開発が盛んであることからわかる通り、中小企業でもロボット化が進んでいます。
ドイツ製造業の高さの理由(4)地域に根ざしたビジネス
日本の場合は東京一極集中です。しかしドイツの場合はベルリンに企業が一極集中することはあり得ず、前述の
SAP社の場合はヴァルドルフに本社があり、Arend社はモーゼル川近辺の人口数万人の地方都市に本社を
置くなど、地元に根ざした経営を行っています。
日本では東京などの大都市で働くことがステイタスですが、ドイツでは自らが生まれ育った地元を大切にして地
元で働き続けることがステイタスになっています。
ドイツ製造業の高さの理由(5)残業無し
例えば4月27日の金曜日に訪れたroger社では、訪問したのはお昼すぎだったにも関わらず、大半の社員
は帰社していませんでした。
ドイツでは週38時間労働が根づいており、中小企業であっても午後からは休みになる会社が大半です。
ドイツでは春・秋ごとに数週間にも及ぶ長いバカンス期間があり、こうした休みを楽しく過ごすためのお金を稼
ぐために働く、といった価値観の労働者も多いといいます。
ドイツの会社では基本的に残業はなく、限られた時間の中で成果を出さなければならない、といったメリハリが
生産性の高さにつながっていると感じました。
今回の視察セミナーでも感じたことは、「デジタルシフト」の必要性です。
例えば成熟業界の旧来からのビジネスであっても、デジタル化を行うことで成長業態に転換できることを、今回の視察
でも目の当たりにしました。
それを強力に推進しようとしているのが創業170年のシーメンスであり、またサッカーチームのドルトムント
は、従来広告からSNS広告にシフトすることで、極めて安いコストで2億8000万人もの人にリーチできて
いるといいます。
米国でもドイツでも、現在におけるグレートカンパニー化のキーワードの1つは、デジタル化であるといえます。
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