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今月の時流:「歴史は繰り返す」に学ぶ、中小製造業の経営

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「歴史は繰り返す」といいますが、フランスの歴史学者であるフェルナン・ブローデルによれば500年周期で歴史が繰り返すといいます。

 

例えば「ビット・コイン」バブル。

 

バブルが起きるメカニズムの1つに歴史的な低金利があります。ご周知の通り、現在はマイナス金利とよばれる異常な状態です。一般論として、金利が2%を下回ってしまうと、資本側が得るものはほぼゼロになると言われます。

 

そして現在も含め、歴史上2回、金利が2%を下回る時期があったといいます。

 

2回目が今回のマイナス金利。

1回目は500年前、16世紀のイタリア・ジェネバだそうです。15世紀半ばにジェネバの金利は9%まで跳ね上がり、1619年には1.125%まで金利が低下しました。

 

なぜイタリア・ジェネバで低金利が起きたのかというと、それは投資先が無くなったからです。その当時、投資先といえばワインくらいしかなかったそうです。

ところが当時のイタリアでは山という山が全て葡萄畑にされ、これ以上投資する先が無くなってしまった、といいます。

 

その結果、起きたのがオランダのチューリップ・バブルです。

 

当時の金融の中心地であったジェノバから、投機先を求めてオランダ・アムステルダムに大量の資金が流入したのです。

 

そして16世紀から500年後、21世紀のビット・コインバブル。

現在も超低金利(マイナス金利)の時代であり、500年前と同じメカニズムでバブルが発生している、というのは興味深い事実だと私は思います。

 

では、今、我々は何に投資をするべきか。あるいはどの様に財産を保全するべきか。

 

まず財産の保全について、様々な意見があるかと思いますが私は個人的に「株式」だと考えています。なぜなら国家が破綻しようが、その企業が永続している限り「株式」の価値は永続するからです。ですから自身が詳細を理解している永続しそうな会社の「株式」を持つ、というのは現実的な財産保全だと思います。

 

例えば「金(ゴールド)」の場合、あまりに価値が普遍的であるが故に、歴史的にみて国家が個人から金を強制的に回収するケースがあります。あまり知られていませんが、アメリカが大恐慌に陥った後の1930年代において、ニューディール政策の目玉政策の1つは個人の金保有の禁止でした。この時は国が国民の保有する金を、強制的に買い上げるという施策が取られています。

日本の場合も、現在では500g以上の金を購入しようとすると、なぜか住民票などの提出を求められます。財務省によるとマネーロンダリングの防止だそうですが、歴史は繰り返すの観点からいえば、不安になるのは私だけではないと思います。

 

さらに、これから何に投資をするべきなのか?

 

歴史的に最も確実な投資とされるのが、「教育」です。

 

個人的な話で大変恐縮ですが、私には子供が3人いますが、3人とも私立中学に入れるつもりです。「教育」は最も確実な投資だと、歴史的にも私の個人的な経験からも私は考えています。

 

では企業の場合はどうなのか。「社員教育」といいたいところですが、「社員教育」の前に、何よりも経営者ご自身への投資が必要だと思います。

例えば経営者向けセミナーに出る。経営者向け勉強会に出る。経営者向け視察セミナーに参加してみる。

特に情報が集まってくるのは東京です。東京に定期的に行く機会をつくる。

 

人生の充実度は移動距離に比例する、といいます。セミナーに参加する際、勉強会に参加する際の移動の時間も、本を読むあるいは自社の戦略・ビジョンに考えを巡らす、といった時間に充てることができます。

実際、私が知る限り高収益企業の経営者というのは、共通して出張が多いです。

 

また「自社のビジネスモデル」に投資をする、ということも確実な投資だと思います。

 

逆説的な話になりますが、今、業績が振るわない・儲かっていない会社の共通点は「営業力が低い」ということです。「営業力が低い」というのは、言い換えれば新規開拓能力が低い、ということです。つまりビジネスモデルが弱い、ということです。

 

逆に儲かっている会社、ここ数年で利益率を大きく伸ばしている会社の共通点は例外なく「営業力が高い」会社です。そして「営業力が高い」会社には人が集まりますから、なぜか採用もうまくいきます。

そしてビジネスモデルが強い結果、良いお客と付き合うことができるので、社員も育ちます。社員を育てる最も良い方法は「良い仕事」「良いお客」を与えることです。

 

今の時代、「ビジネスモデル」と「社員の採用・育成」は裏表の関係、と考えてよいでしょう。

 

そして「ビジネスモデル」はちょっとしたコンセプト、言い方を変えれば「見せ方」で大きく変わることがあります。

 

例えば、ものすごくわかりやすい例でいえば「焼き肉屋」と「肉バル」。

 

「焼き肉屋」も「肉バル」も、肉を焼いて提供する、という根本は変わりません。

ところが「肉バル」に業態転換すると、「焼き肉屋」と比較して収益性で約2倍、店員の採用応募についていえば3倍もの差がでる、といいます。

 

似た様な例が「喫茶店」と「カフェ」。「喫茶店」は構造不況業種ですが、「カフェ」は成長産業です。では「喫茶店」と「カフェ」は何が違うのか?

大きな違いは「見せ方」と「店員の意識」の差です。

 

製造業の場合も同じです。単なる下請け・受託の町工場と見られるのか、VA・VE提案能力を持つ専門サプライヤーとして見られるのか、全く収益性が異なります。

 

ちょっとした「情報」を知っているのか、知らないか、で大きく命運を分ける時代だと私は思います。

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