<第6回目:成熟産業であればあるほど有効な「営業のデジタル化」>
営業のデジタル化は成熟業種であればあるほど有効です。
それはなぜでしょうか?
理由は2つあります。
「成熟業種」と言われるほどですから、その業種あるいは産業の歴史は長いはずです。歴史が長いということは、その製品あるいはサービスは世の中の“必需品”なのです。
BtoBマーケティングの鉄則は、まず“必需品”を売る、ということです。特に生産財マーケティングの分野では「あったらいいな」みたいな商品は売れません。必要なもの(=必需品)しか売れないのです。
次に、遅れている業界、というのは、ライバルも得てして遅れています。例えばアメリカのシリコンバレーでは、スタンフォード大学やUCLAなどのコンピューター工学を修士号で卒業した様な、バリバリの理系人材が遅れた業界をターゲットに絞ってデジタル化で新たなビジネスモデルを仕掛けることが一種の流行です。
例えばアマゾンの創業者、ジェフ・ベソスも理系人材ですし、メガネ業界にオンラインSPAという新たな業態を持ち込んで急成長しているワービーパーカー、ユニクロが最も恐れるアパレル業態といわれるエバーレーンなども、全て創業者は高学歴な理系人材です。
繰り返しになりますが、遅れている業界と言うのはその業界のプレーヤーも皆遅れていますから、少し何かをするだけで差別化につながることが多いのです。しかもこうした業界の場合、ほとんど新規参入もありません。
具体的な事例をお話しましょう。
大阪市に本社のあるシコー株式会社は、従業員200名の産業用の紙袋・ポリ袋・プラスチック段ボールを手掛けるメーカーです。
まさに典型的な超成熟産業であるといえます。しかも同社は必ずしも業界のガリバーともいえる規模ではありません。
ところがシコーは「営業のデジタル化」に取組んだ結果、業界そのものは2~3%のマイナス成長であるにも関わらず、売上は昨年対比プラス1億円と、業績を伸ばしています。
さらに新しい業界に対しての新規開拓も、昨年対比で300%の勢いで伸びており、同社の営業組織は明らかに活性化しています。
そうした同社の「営業のデジタル化」の中心になっているのが、以前のコラムでお伝えした“マーケティング・オートメーション(=顧客獲得の自働化)”と言われるテクノロジーであり、そのマーケティング・オートメーションの中心になっているのが、下記に示すWeb総合カタログです。
↓↓↓成熟産業におけるWeb総合カタログのモデル事例
このWeb総合カタログは、単に事例を網羅しているだけではありません。まず見た目からして「産業用」であることを強調しており、またポジションとして紙袋・ポリ袋でありながら、先端産業からの引合いを意識した設計になっています。
掲載されている内容も単なる製品説明ではなく、その製品が顧客にもたらす「顧客価値」を訴求していることがわかります。
かつ同社では、こうした包装材料に関わる技術を「包材技術ニュース」というコンテンツにまとめて、メールマガジンで自社の既存顧客、さらに新規に獲得した新規顧客リストに対して毎月メルマガ配信を行っています。
その結果、「御社ではこういう商品も扱っていたの?」「毎月ニュース楽しみにしていますよ!」といった声も顧客から聞かれる様になり、営業面でも前述の様な具体的な売上アップにつながっています。
生産財のルートセールスの場合、1人の営業担当者が数多くの会社を担当し、かつその会社の中でも多くの部門を回り、かつその中で多くの顧客と面談を重ねています。
今や1人の営業担当者が自社取扱製品・サービスの全てを伝えるのは事実上不可能であり、何らかの営業支援システムがないと生産性の高い営業を行うことは不可能です。
「営業のデジタル化」とは、営業担当者をデジタルに置き換えるということではなく、あくまでも既存の営業活動をデジタルで強力にバックアップすることで、営業活動の生産性を高め、さらに組織を前向きに活性化する環境づくりそのものなのです。
~次回に続く~
本コラム読者の皆様に特別なお知らせです!
上記コラムでご紹介したシコー株式会社の「営業のデジタル化」の立役者、同社 常務取締役 白石忠臣 氏を特別ゲスト講師にお迎えし、経営セミナーを下記日程で開催することが決定しました!
東京会場: 2018年1月23日 火曜日 13時~17時
大阪会場: 2018年1月29日 月曜日 13時~17時
各会場先着25名様限定、経営者の方限定の経営セミナーです。
2018年1月の年初、2018年3月以降の戦略をねっていただく絶好の機会です。
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