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連載:成熟産業が「営業のデジタル化」で、成長業態に生まれ変わる方法 ~第3回目~

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<第3回目:営業はデジタル化で標準化ができる>

 

この様に、営業のブラックボックス化は、特定顧客・特定業界依存と並び経営上の大きなリスクです。

 

ちなみに、あらゆる企業の中で最も事業承継が困難、と言われているのは従業員100人~300人の製造業です。

このレベルの製造業になると、オペレーションはかなり複雑です。とても1人の管理者の目は行き届きません。

ところが営業に関していうと、このレベルの製造業の営業はえてして属人です。たいがい一握りの営業キーマンがいて、その人がいなくなると営業ノウハウや人脈も雲散霧消してしまうのです。

 

これが30人くらいの製造業であれば、事業承継をした社長の頑張りで何とかなります。ところが100人規模になると、これはもうどうにもなりません。逆に300人を超えてくるとその会社は自社ブランドを持っているケースが多く、あるいは上場予備軍として安定しています。

 

ですから地方に行くと100人~300人前後の製造業が、取引先の大手企業の傘下に入り、大手企業の子会社となっているケースが非常に多いのです。

 

こうした経営上のリスクを回避するのが「営業のデジタル化」です。

 

「営業のデジタル化」の最大の目的は、属人営業から脱し、営業の本来の目的である「新規開拓」「深耕開拓」を行うと同時に、市場の本当のニーズを集め、次の「新商品開発」につなげるところにあります。

筆者はこの「営業のデジタル化」プロジェクトを、主に工場マーケットを対象とする生産財企業、30社以上に対して手がけてきました。

そして、そのプロジェクトはほぼ100%成功しています。

そうした実績をまとめたのが前回のコラムでお伝えした、下記の書籍です。

 

デジタル時代の法人営業がわかるダイヤモンド社の本。

(著者 船井総合研究所 片山和也)

法人営業のズバリ・ソリューション

https://www.amazon.co.jp/%E6%B3%95%E4%BA%BA%E5%96%B6%E6%A5%AD%E3%81%AE%E3%82%BA%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E2%80%95%E2%80%952%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%A9%BA%E7%99%BD%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%A7%E6%A5%AD%E7%B8%BE%E3%82%92%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%82%8B%E9%9B%86%E5%AE%A2%E3%83%BB%E5%96%B6%E6%A5%AD%E6%B3%95-%E7%89%87%E5%B1%B1-%E5%92%8C%E4%B9%9F/dp/447802619X

 

営業のデジタル化の第一歩は、その企業の「勝ちパターン」を見極めることです。仮にその企業の中に「勝ちパターン」が見当たらないのであれば、同じ業界の別の企業から探します。

例えば生産財営業の場合は特に「価格競争の回避」が最も重要なテーマとなります。その為の鉄則は、

 

・窓口部門ではなく、川上部門からニーズをひっぱる

 

ところにあります。窓口部門とは資材部門や、あるいは直接取引先である商社・販売店です。彼らは安く買うことしか関心がありません。また不十分な情報で営業担当者を振り回すのも彼らの特徴です。

川上部門とは「開発」「設計」「企画部門」あるいは「生産技術」のことであり、価格以外の価値を重視している人たちです。

そして多くの勝ちパターンは、この川上部門と取引が行えているケースであり、その際に重要になるのが商品販売ではなく、顧客価値の訴求です。生産財業界における「顧客価値」とは、

 

・VA・VE提案

・アプリケーション提案

・仕様選定の方法提案

・リードタイム短縮提案

・ランニングコストダウン提案

 

ということになります。

そして従来の生産財企業の業績アップの王道は、こうした「顧客価値」の訴求を大前提とした「総合カタログ」をつくることでした。

 

この「総合カタログ」戦略で最も成功している企業の1つが、トラスコ中山のオレンジブックでしょう。

 

同社のカタログが他の卸のカタログと一線を画するのは、同社のカタログは同社の商品在庫とひもづいており、顧客にとって「実際に手に入る」商品が並んでいるからです。

また従来はまとまった数買わざるを得なかった「ネジ」や「スコッチブライト」「サンドペーパー」といった低単価の消耗品が小分けにされており、いわば顧客の「在庫代行機能」という顧客価値が訴求できているからです。

 

また近年業績を急激に伸ばしている電気アクチュエーターのメーカーであるIAIも「アプリケーション提案」という顧客価値を訴求したカタログで好評を博しています。

実際、今、業績を伸ばしているセットメーカー(=省力化設備・自働化設備メーカー)の共通点は、このIAIの電気アクチュエーター(ロボシリンダ)を多用しています。

何しろ、従来のエアシリンダと比べるとティーチングによる動きの自由度が大きいので、ロボシリンダを使いこなすことでエアシリンダと比較して大幅に部品点数を削減することができます。

 

そして同社のカタログには、こうしたセットメーカー設計者のヒントになる様なアプリケーション事例が、所狭しと並べられています。

 

電気アクチュエーターの世界ではIAIよりヤマハが先行しています。ちなみにトヨタのTEMS規格にいち早く採用されているのはヤマハの方です。

ところが後発のIAIがヤマハを追い抜いてトップメーカーになれた理由は、「直動ロボット」というコンセプトで電気アクチュエーターを売るのではなく、あくまでも「ロボシリンダ」としてのコンセプトで顧客価値を訴求したところにあります。

 

さらに現在は、従来の紙による総合カタログよりも、より効果的かつローコストに総合カタログを制作できる様になりました。

 

それはWEB総合カタログです。

 

紙による総合カタログは、膨大な制作工数と、莫大な印刷コストがかかっていました。以前に某測定工具メーカーへのコンサルティングの中で、業界大手M社に対抗する総合カタログを制作した際には、最初の発注コストで1500万円以上かかりました。

しかも制作に1年近いリードタイムを要しました。

 

ところがWEB総合カタログであればコストはその1/10以下、さらに立上げリードタイムも1/3くらいで可能です。

 

さらに紙の総合カタログの場合は、制作の段階で掲載する全ての商品の写真・仕様が必要になります。ところがWEB総合カタログの場合は、最初にきちんとMD(=品揃え)さえ決めてやれば、最初の段階で全ての商品が揃っている必要はありません。

WEBは自己増殖できるので、そこが紙媒体との最大の違いです。

 

従ってWEB総合カタログであれば、大手企業だけでなく中小企業、もっというと零細企業でも制作が十分に可能です。

 

かつWEB総合カタログは抜群の集客効果があります。それはWEB総合カタログという概念そのものが、グーグルが決めている検索順位のルールと合致しているからです。

例えばグーグル検索を行うと、多くのキーワードでウィキペディアという辞典サイトが検索順位でトップ表示されることが多いことがわかります。

その理由は、グーグルの検索順位を決めるルールの中で、

a)世の中に有用な情報であり、

b)体系的・網羅的に情報が整理されており、

c)かつ自己増殖している

総合的なサイトが高い評価を受けているからです。

 

自社のホームページを検索エンジンにトップ表示させるためのテクニックのことをSEO対策といいますが、細かなテクニック論よりも本質的に前述のa)~c)を満たしているかどうかが大切です。

 

もちろん、グーグルは前述のa)~c)を人手ではなく、検索エンジンの中のロボットに判断させていますから、グーグルのロボットにそう判断させるためのつくり方は必要になります。

 

さらに、このWEB総合カタログと、マーケティング・オートメーションと呼ばれるシステムを組み合わせることで「営業のデジタル化」の第一歩が始まります。

~次回に続く~

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