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アメリカのロボット産業と、地域エコシステムのモデル事例

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今年も10月8日(日)~10月14日(土)の1週間、毎年恒例のグレートカンパニー視察セミナーが開催されます。

 

今年の視察先はアメリカ東海岸、ニューヨーク・コネチカット・ボストン各都市のグレートカンパニー16社を視察して回ります。

今年も日本全国から100名を超える経営者の方がご参加され、経営者ご対象の海外視察セミナーとしては、恐らく日本最大の視察セミナーだと思われます。

 

ご参考までに、下記URLから昨年のグレートカンパニー視察セミナーの様子をご覧いただけます。

昨年はアメリカ東海岸、シアトル・サンフランシスコ・シリコンバレーのグレートカンパニーを視察してきました。

 

↓↓↓昨年のアメリカ東海岸グレートカンパニー視察の様子

https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/tag/inspection_report/

 

そうした中、今年の視察先の中で製造業のモデル事例ともなるのが、ボストンのロボット開発インキュベーターであるMASS ROBOTICS(マス・ロボティクス)です。

ボストンを中心とするマサチューセッツ州は、アメリカのロボット開発の集積地のひとつとして知られています。そして、さらにロボットの開発力を強化することにより、このMASS ROBOTICSの設立が計画されました。

このMASS ROBOTICSを後押ししているのは、地元のテクノロジー業界団体マサチューセッツ・テクノロジー・リーダーシップ・カウンセル(Mass TLC)。また、場所は、医療関連の情報システム、および運搬ロボットを開発するヴェクナ社が提供、総合研究機関のドレーパー・ラボラトリー社も中心になっており、すべて地元の企業や組織です。

インキュベーターとは直訳すると「孵化器」となります。文字通り、卵から雛をかえす装置の様に、創業期のベンチャー企業(=スタートアップ)にモノ(=入居施設)・ヒト(=投資家を紹介)・カネ(=インキュベーター自らが投資することもある)を提供する組織のことをインキュベーターといいます。さらに最近ではモノ・ヒト・カネに加えてノウハウまで提供するスタイルのインキュベーターも増えており、 MASS ROBOTICSもロボット開発に特化している点で、このノウハウまで提供しているインキュベーターであるといえます。

 

ちなみにアメリカのロボット産業は大半が軍事用です。

例えばソフトバンクがグーグルから買収したことで有名になった、アメリカのロボットメーカー、ボストンダイナミクス社は、4本脚の軍事用ロボットが主力商品の1つです。

既にアメリカ海兵隊が運用を開始しており、100kgを超える荷物を24時間にわたって輸送することが可能。かつ海兵隊員が移動できる地形の70%~80%について踏破できるそうです。

用途としては軍事物資の輸送用に加え、無人機の回収を担わせる計画があります。実際に海兵隊の軍事演習にも参加しています。アメリカの航空産業は半分が軍事用と言われますが、私の所感ではロボット産業も同様であり、主要スポンサーはアメリカ国防総省です。

それに対して日本のロボット産業は、ほぼ100%民生用であり、主に産業用として使用されています。特に「溶接」「塗装」「重量物搬送」など、人が行うのに困難な現場をロボットに担わせるのが日本のロボット産業の基本的な考え方です。

 

従来のロボットはプログラム通りの動きしかできませんでした。

その理由は、ロボットが複雑な画像認識ができるだけの高度なコンピュータを持っていなかったからです。

ところがAI技術の進展により、ディープランニングというAI技術によってロボットは複雑な画像認識を行える様になりました。いわば「機械が眼を持つ」という時代が訪れたのです。

こうした技術を可能にしているのが、昨今注目を集めているGPUチップのメーカーである米国エヌビディア社です。エヌビディア社のGPUチップは無人運転車の頭脳として、デファクト スタンダードのポジションを確立していますが、要は自動車が眼を持つことにより、無人運転も可能になるのです。

ロボットが眼を持つことで、ロボットの用途は、これから爆発的に拡大していくと見られています。今後、ロボットが活躍する新たな用途としては下記の分野が見込まれています。

 

<今後見込まれるロボットの新たな用途>

・介護施設や病院などでの見守り・介護

・医療(X線、CT、手術など)

・警備、防犯

・顔による認証・ログイン・広告、表情読み取り

・入国管理、警察業務、輸出入管理業務

・防災系(河川、火山、土砂崩れの見張り)

・重機系(掘削、楊重)、建設現場系(溶接、運搬など)

・農業系(収穫、選果、防除、摘花、摘果)

・自動操縦系(ドローン、小型運搬車、農機、建機)

・自動運転系、物流

・調理系(外食全般)

・片付けロボット(家庭、オフィス、商業施設)

・新薬発見や新素材の開発

・廃炉系(深海や鉱山、宇宙も含めた極限環境)

 

この様に、ロボット産業は今後明らかに成長が見込まれる分野であり、アメリカではベンチャーキャピタリストによるロボット産業への投資が、わずか数年で2倍の20億ドルにも及んでいます。

 

MASS ROBOTICS設立には、こうした背景があるのです。

製造業の方はもちろんですが、製造業の方以外もMASS ROBOTICSから取り入れるべきポイントは多々あります。それは、その分野における有力企業が、その地域で優秀な人財を囲い込み・つなぎとめるためのエコシステムをつくること、その中心にNPOを据えるという地域(ローカル)モデルです。

前述の通り、MASS ROBOTICSは、地元の産業用ロボットメーカー兼医療用システムハウスであるヴェクナ社と、地元のテクノロジー業界団体が中心になって設立されています。

こうしたインキュベーターの存在がハブとなり、その地域に特定産業の集積を促すこともできます。同インキュベーターの場合は、ボストン周辺をこれからの成長産業であるロボット産業の集積地にしていきたい、という狙いが根幹にあります。

 

このMASS ROBOTICSは、今回まわる16社の視察先の中の1つです。こうしたモデル企業を5日間の視察期間の中で、各分野の経営者・専門コンサルタントとともに密度濃く学ぶ場が、グレートカンパニー視察セミナーです

日本一を目指すためには、世界一を知らなければならない、という思いで本視察セミナーは企画しています。

 

来年は4月のハノーバーメッセとともに、ドイツが訪問先として決定いたしました(視察セミナー期間2018年4月22日~29日)。

テーマはインダストリー4.0と、それによる生産性向上です。

詳細は後日、あらためてご案内させていただきたいと思います。

ぜひご参加をご検討いただければと思います。

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