先週の金曜日は、大阪・梅田のスカイタワービルにて、船井総合研究所 ファクトリービジネス研究会主催 ものづくりVA・VE技術マッチングフェアin大阪を開催しました。
ご来場されたのは、
・大手電子部品メーカー 設備開発部門キーマン
・大手重工メーカー 設計開発部門キーマン
・大手分析装置メーカー 設計開発部門キーマン
・大手マテハン装置メーカー 開発購買部門キーマン
・大手自動車部品メーカー 工機部門キーマン、
その他、100名を超えるエンジニア・バイヤーの方がご来場されました。
この、船井総研ファクトリービジネス研究会主催の商談会は、次の3点で通常の商談会と異なります。
まず1つ目にご出展されている部品加工業の皆様は、全てファクトリービジネス研究会の会員企業様であり、船井総研のコンサルティング先が半数以上です。
同研究会は「脱価格競争・脱下請け」「新規優良顧客の開拓」「新技術の開発」を理念に運営されています。
部品加工業の様な受託型製造業が脱価格競争・脱下請けを行う第一歩は「VA・VE提案」を行うことです。
同研究会の会員企業様は全て「VA・VE提案」が可能であり、設計開発者を対象とした技術ハンドブックを持っており、技術セミナーの開催も可能です。
つまり出展者の質が通常の商談会と比較して格段に高い、ということです。
2つ目は商談会のコンセプトが「VA・VE技術」と銘打っていることから中小企業の来場がほとんど無く、優良大手企業の来場が大多数だということです。
通常の商談会だと、自社が親会社からの仕事でいっぱいになってしまった同業の下請け中小企業が、いわば孫請け企業を探しに商談会に来ているケースが多いです。
3つ目は、バイヤーとサプライヤーをあくまでも対等に扱っている点です。
通常の商談会の場合、大手企業などのバイヤーが席に座り、仕事をもらう側のサプライヤーが、そこに並びます。
ところが船井総研の商談会の場合はこれが逆になります。サプライヤーが席に座り、バイヤーがそこに並ぶスタイルを取ります。
中には「仕事を出す側の発注者側が、サプライヤーから待たされるのはおかしい」と言われるご来場者の方もいますが、こうした感覚のバイヤーがいる大企業というのは、これからの時代非常に厳しくなるのではないでしょうか。
今回のマッチングフェアでも、ご来場される大手企業バイヤーの方向けに、未来調達研究所の牧野取締役より「資源高時代の調達戦略」についてのご講演をいただきました。その中で興味深かった話が次の2つです。
1.正規雇用者と非正規雇用者の賃金
働き方改革の中で、正規雇用者の賃金と、非正規賃金の雇用者を合わせる、という動きが叫ばれているが、これは必ず「非正規雇用者の賃金を正規雇用者なみに引き上げる」のではなく、「正規雇用者の賃金を非正規雇用者と同等に引き下げる」動きに帰結するだろう。
2.グローバル化
今、日本のホワイトカラーの人件費を100とすると、中国が50であり、インドが10である。
AIに仕事を奪われる以前に、実は猛烈な勢いでオフショア(仕事の海外移転)が進んでおり、付加価値の出せない仕事は気が付いたら海外に移転していく可能性が高い。
実際、アクセンチュアという大手コンサル会社がアメリカにあります。同社はNY証券取引所上場後、グローバル従業員が4万人から40万人に急拡大しています。
同社が急成長した理由は、従来のコンサルティング業務に加えて、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業をスタートさせたことです。
同社のBPOとは、大手グローバル企業の情報システム部門のコスト査定を行い、そのコストを下回る費用で同等のサービスを提供する、というのが基本スキームになっています。
なぜ同じサービスを下回る費用で提供できるかというと、前述のオフショアが前提となっているからです。
BPOの基本的な考え方は、ノン・コア事業を切り離してコストダウンを進めることにあります。BPOビジネスは世界的に伸びていますが、言い換えれば身の回りの仕事が急に無くなる可能性がある、ということです。
そう考えると、前述の1.と2.は相互に連動していることがわかります。こうしたことから考えられる今後しばらくの時流は「デフレ」がまだまだ続く、ということだと思います。
「デフレ」に対しての経営上の対策としては
・研究開発
・価値を売る
・圧倒的な一番をつくる
ということになります。
さらに目下、日本においては「人手不足対策(=採用力アップ+定着率アップ)」が急務です。
「デフレ対策」さらに「人手不足対策」が、しばらくは経営上の大きなテーマになると思います。
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