世界最大のコンサルティング会社、マッキンゼーのシンクタンク部門が執筆した「マッキンゼーが予測する未来(ダイヤモンド社)」を読みました。
同書によると世界は今まさに4つの強大で破壊的な力にさらされている、といいます。その4つの力とは、
1.経済の重心の移動
経済活動とダイナミズムの重心となる場所が移動している。移動先は中国の様な新興国であり、かつそうした市場の中の都市である。具体的には上海、ムンバイ、ドバイなどの大都市。
さらに今までは無名であったが急速に地位を向上させてきている新興都市。例えば台湾北部の新竹は世界第四位の電子機器・エレクトロニクスの開発・製造におけるハブ都市となっている。またブラジルとウルグアイ国境のサンタカリナ州も電子機器と自動車の製造ハブになっている。毎年、シカゴ7つ分の新都市に相当する人口が世界で増えている。
2.テクノロジーインパクト
半導体、太陽電池、バッテリーなど、あらゆる技術が指数関数的に進化している。指数関数とは、例えば厚さ1mm未満の紙を43回折ると月まで到達する厚さになる、と言われますがそうしたある段階(ティッピングポイント)を超えると、驚異的な成長を遂げる変化のことを指します。
こうした技術革新の激烈な速度により、時流にのった新興企業は従来では考えられないスピードで成長する。逆に企業のライフサイクルは短くなる。
3.世界レベルでの人口動態の変化
簡単に言えば、人類の平均年齢が上昇してきている。出生率が低下し、世界人口は劇的に老化している。
特に日本とロシアは、何年か前から人口が減少に転じている。さらにこの人口減少という問題は、いまや中国にも拡大しており、もうすぐラテンアメリカにも拡大するとみられている。
4.「流れ(フロー)」の高まり
貿易に加え資本、人々それに情報の移動を通し、世界が相互に結合する度合いの高まり、のこと。
これは未曾有の機会の数々を創出するとともに、予期せぬ不安適性を誘発している。
こうした4つの力に対応して、欧米のグローバル企業は様々な打ち手を行っています。
例えばスイスの巨大エンジアリング企業、ABB(アセア・ブラウン・ボベリ)は、ロボット事業のグローバル基幹部門をデトロイトから上海に移転し、中国で設計し、中国で製造する、という戦略を追求しています。
また売上の64%をアメリカ以外であげているIBMは、今では全社の人事機能をマニラにおき、会計業務はクアラルンプールに、調達業務は深圳におき、日本事業向けの顧客サービスはオーストラリアのブリスベーンで行っている、といいます。
欧米のグローバル企業は、我々の想像を超えた打ち手を行っていますが、こうしたドラスティックな改革の背景には、前述の4つの力があるのです。
では、こうした4つの強大で破壊的な力に対して、我々はどの様な手を打っていけばよいのでしょうか?
その「答え」は、米メリーランド大学のヒュー・コートニー教授がハーバード・ビジネスレビューに発表した論文にあると、私は考えています。
同論文によると、ビジネスの世界において不確実性には次の4つのレベルがあるそうです。
レベル1はそもそも不確実性が非常に低く、ほぼ将来が予見できる状態です。この不確実下では従来の単純な計画法で十分だといいます。
レベル2は将来の完全な予見はできないが、「概ねこうなるだろう」という選択肢が複数に絞られる場合です。意思決定者はそのいずれかを選ぶ、という思考パターンが重要になります。
レベル3は選択肢が絞り込めるほどには将来を見通せないが、ある程度の確率と触れ幅で事業環境の変化が予見できる状態です。この環境では「シナリオ・プランニング」が思考を助ける有用なツールになります。
レベル4は不確実性が事業環境の多様な範囲にわたるため、将来を予見するための拠り所すらない状況です。この環境では「積極的に市場をかたちづくる」姿勢が求められます。
そしてそれができれば、むしろ低いリスクで高いリターンが得られる機会となり得るというのです。同論文ではこうした「市場を形づくる」企業のことをシェイパー(Shaper)と呼んでいます。
「積極的に市場をかたちづくる」姿勢とは、言い換えれば自社のビジネスにイノベーションを起こすことです。
例えば前回のコラムでお伝えした、三重県四日市市の株式会社伊藤製作所の伊藤社長は、まさに「プレス加工」というビジネス分野において、イノベーションを起こしたシェイパー(Shaper)であると私は思います。
前回のコラムでご紹介した伊藤社長のお話は、本メルマガの読者の皆様からも大きな反響をいただきました。
そこで、私は直接 株式会社伊藤製作所の伊藤社長にお願いをして、対談インタビューをさせていただきました。
テーマは「普通の町工場がイノベーションを起こす方法!~今、そこにある人と技術で勝負する~」です。伊藤社長の50年以上にわたるビジネス経験をあますことなくお聞きすることができました。
15分ほどの動画(無料)ですが、下記よりご覧いただくことができます。
↓↓↓【無料動画】普通の町工場がイノベーションを起こす方法!
なお、伊藤社長には同テーマにて、さらに詳しく ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会にて特別講演いただくことが決定いたしました。
なお、本経営部会は1社1回に限り、無料お試しご参加いただくことが可能です(経営者の方限定です)。
日程と場所は下記のとおりです。
東京会場 5月12日(金)船井総研 東京本社
大阪会場 5月17日(水)大阪 淀屋橋セミナープレイス
名古屋会場 5月23日(木)ウインクあいち
また、無料お試しご参加は下記URLよりお申込みいただけます。
↓↓↓無料お試しご参加(部品加工業経営部会)のお申込み
http://www.funaisoken.co.jp/site/study/mfts_1313433028_0.html#_ga=1.41253547.845576960.1487413431
イノベーションは、視察やセミナーなど非日常の環境の中で閃くことも多いものです。ですから、伊藤社長も外を飛び回っている、と言っておられました。
私どもの研究会やセミナー、そして各種視察が、皆様にとってそうした場になれば心よりうれしく思います。
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