金曜日の15時から帰社するという、プレミアム・フライデーが始まりました。電通の一件にはじまり、クロネコヤマトでも残業の未払い分を7万6000人の従業員に支払うそうですが、この「働き方改革」の流れは止めることができないと私は思っています。
「働き方改革」の本質は、“労働時間を減少させて利益も減少させる”ということではありません。
「働き方改革」の本質とは、“労働時間を減少させて利益を増加させる”ことだと私は強く考えています。
例えば船井総合研究所 社長の中谷は、現在は「下山経営の時代」と毎年8月の経営戦略セミナーでもお伝えさせていただいています。
「下山経営」とは、現在の様に市場規模そのものの成長が見込まれないなか、いかに自社を成長させていくか、という考え方です。
かつての高度経済成長あるいはバブル経済の時代であれば、営業所をドンドン出して、売上の拡大を図る経営手法がよかったでしょう。
しかし現在は違います。売上ではなく、いかに利益を増やすのか、利益率・収益性を高めていくのか、ということが大事な時代なのです。
特に国内で勝負しなければならない中小企業にとって利益率・収益性の向上が最重要の経営テーマであるといえます。
例えば、先日お伺いした某プレス加工会社では、約30名の作業者に対して100台近くのプレス加工機を保有しています。
うち60台は金型がつけっぱなしになっており、短納期・特急対応が可能になっています。そして常時稼働しているプレス加工機はだいたい30台です。
それでもこの某プレス加工会社は月商3億円近い売り上げをあげており、極めて高い収益性を誇ります。
普通の工場は「稼働率」を求めるのでこうした発想になりません。
この某プレス加工会社の社長は言われていました。
「この50年で人件費は20倍になりました。私の時代の初任給は1万2000円でした。ところが加工設備はせいぜい2倍くらいにしかなっていません。ですからどう考えても、人よりも設備を増やすべきなのです」と。
この様に、どんな業界でも常識の逆張りを行って通常の3~10倍もの収益を上げておられる会社が必ずあります。
「働き方改革」を前向きに捉えて、自社のビジネスモデルを根本から見直す良い機会だと考えるべきではないでしょうか。
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