自社の強みをしっかりと把握することはとても重要なことですが、同時に自社の強みというのは自分ではなかなかわからないことです。
船井総研では「長所伸展法」というやり方で、その会社の強みを明確にします。例えば全体の売上が落ち込んでいたとしても、その中でも伸びている商品があるはずです。あるいは落ち込まず売上が横ばいの商品というのは必ずあるはずです。その商品こそがその会社の強みである可能性が高いので、その商品をさらに伸ばす努力をするのです。
さらに筆者が専門としている町工場の場合、次の2つの強みの見つけ方があります。
1)取引先発見法
全く違う3社以上の客から、「製作要望」「注文」「リピート」があったものは何か?その商品・カテゴリーこそが自社の強みである可能性が高い。
2)新規開拓法
新規開拓を行った際に、スムーズに見積りが通った商品・カテゴリーは何か?言い換えると価格競争力がある商品・カテゴリーは何か?その商品・カテゴリーこそが自社の強みである可能性が高い。
例えば筆者の関係先のある町工場が新規開拓先に見積りを出しました。切削加工のワークについては既存業者と比較して2倍近くの価格だったそうです。既存業者はその仕事に慣れているから安い価格で受託できるのです。しかし熱処理加工・研削加工まで込みのワークについては既存業者よりも1割以上安いことがわかりました。既存業者はこうした工程は外注に出していたから高くついていたのです。この一件以来、この町工場は「切削加工から熱処理加工・研削加工」までの多工程ワークこそが自社の強みであることがわかりました。そこでこうしたワークがどの様な製品に使われているか調査を行い、その後の新規開拓を成功につなげています。
この様に、自社の強みは自社に閉じこもって自分で考えていても中々わからないことです。それよりも「既存のお客様に教えてもらう」「新規のお客様に教えてもらう」といった視点が大切だと改めて感じました。
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