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4つの不確実

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現在は今までになく不透明かつ不確実な時代だといえます。

企業経営者は今の時代をいかに捉えていく必要があるのでしょうか?

米メリーランド大学のヒュー・コートニー教授がハーバード・ビジネスレビューに発表した論文によると、ビジネスの世界において不確実性には次の4つのレベルがあるそうです。

レベル1はそもそも不確実性が非常に低く、ほぼ将来が予見できる状態です。

この不確実下では従来の単純な計画法で十分だといいます。

レベル2は将来の完全な予見はできないが、「概ねこうなるだろう」という選択肢が複数に絞られる場合です。

意思決定者はそのいずれかを選ぶ、という思考パターンが重要になります。

レベル3は選択肢が絞り込めるほどには将来を見通せないが、ある程度の確率と触れ幅で事業環境の変化が予見できる状態です。

この環境では「シナリオ・プランニング」が思考を助ける有用なツールになります

レベル4は不確実性が事業環境の多様な範囲にわたるため、将来を予見するための拠り所すらない状況です。

この環境では「積極的に市場をかたちづくる」姿勢が求められます。 そしてそれができれば、むしろ低いリスクで高いリターンが得られる機会となり得るというのです。

同論文ではこうした「市場を形づくる」企業のことをシェイパー(Shaper)と呼んでいます。

現在がどの状況かというと、私はレベル4だと思います。

そして同論文でいう「シェイパー」は、我々の業界にもあります。

例えば来る8月30日(火曜日)東京で開催される“機械加工業「社長の仕事」セミナー”の特別ゲスト講師 プラスエンジニアリング株式会社 もそうした「シェイパー」の1社だと私は思います。

以前、このコラムでもご紹介した「部品加工業の市場構造」をご覧ください。

 

↓↓↓部品加工業の市場構造

部品加工業界の市場構造

 

プラスエンジニアリングは「精密機械加工部品の産業インフラとなる」という経営理念のもとに、海外への生産移転が続く“量産マーケット”はあえて狙わず、“工機マーケット”さらに“設備マーケット”を主要ドメインとしてきました。

工機マーケットとは、社内で使用する設備を設計・製作している部門のことです。工機部門が強い会社として知られるのがデンソーやヒロセ電機です。ヒロセ電機などは商品開発サイクルが速いことで知られていますが、ひとえに強い工機部門のなせるわざです。

工機部門に似た部門として生産技術部門がありますが、一般的には生産技術部門には設計者はいません。工機部門には設計者がいます。

そうした違いがあります。

また設備マーケットとは半導体製造装置や検査装置、印刷機械、食品機械、さらには工作機械や射出成型機など、文字通り“設備”を生産しているマーケットのことです。

このマーケットは日本メーカーが独自技術で競争力を持ち、また受注生産の多品種小量生産であるため、国内での生産が主体となっている分野です。

さらに「工機マーケット」と「設備マーケット」を比較すると、

・工機マーケットは市場規模が小さいが価格競争にはなりにくい

・設備マーケットは市場規模が大きいが価格競争になりやすい

と、こうした側面があります。

なぜなら「設備マーケット」では、加工部品を外から仕入れてきて中で組立て、また外に売ります。いかに安く仕入れるかで自社の利益が決まりますので、当然のことながら購買姿勢は厳しくなります。

しかし「工機マーケット」は、加工部品を外から仕入れてきて中で組立て、さらに中で使います。安く仕入れる、ということがそれほど高いインセンティブとして働きません。

言い換えると「設備マーケット」はPL(損益計算書)的な側面を持つのに対し、「工機マーケット」はBS(貸借対照表)的な側面を持つことがわかります。

そこでプラスエンジニアリングでは「工機マーケット」を主要ターゲットとすることにしました。

特にリーマン・ショック後にこの動きを加速させました。

その結果、リーマン・ショック前のピーク時と比較して、現在では売上はほぼ同等に戻し、かつ付加価値率を60%から70%と、なんと10ポイントも向上させたのです。

ちなみに“先端加工技術”が求められるのは、実は得てして「工機マーケット」の方です。

なぜなら世界レベルで競争力を持つ大手優良企業は、ノウハウとなる生産工程で使用する設備を外部から購入することはまずありません。

シークレットな生産設備を社内で設計し、社内で製作するわけです。

この時、超精密あるいは超微細な加工が求められます。例えば装置の超精密な位置決めのために、ミクロンレベルの穴あけが求められたりするわけです。

あるいは熱の影響を受けにくい、難削材に対しての加工が求められたりするわけです。

つまり大手優良企業の工機部門と互角に付き合っていこうとすると、自社もそれ相応の「先端加工技術に対して相談可能な体制」をつくらなければコンスタントに仕事を得ることはできません。

ちなみにプラスエンジニアリングの鈴木社長は、カリスマ創業者の後を継いだ、異業種からの「業界素人」の社長さんです。

決して加工技術に詳しいわけではなく、それでも120人の職人集団加工業をまとめ、付加価値率を10ポイントもアップさせる体制づくりに成功されたわけです。

むしろ「業界外」からの視点の方が、前述の「積極的に市場をかたちづくる姿勢」が得られるのかもしれません。

ぜひ皆様におかれましても、「シェイパー」になっていただきたいと思います。

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