経済アナリストで「未来からの警告!2017年超恐慌時代の幕が開く(集英社)」の著者でもある塚澤健二は、同著の中で世界経済が直面しているリスクとして次の6つを挙げています。
1.ハイ・イールド債問題
かつて成長企業と目されたアメリカのシェールガス企業、新興国のエネルギー企業に対しての投資ファンドです。サブプライムローンと同様に紙屑になることが懸念されていますが、ハイ・イールド債の残高は100兆円とも言われています。
ちなみにサブプライムローンの発行残高ピークが同じく100兆円、日本のバブル崩壊の際の不良債権の総額が100兆円です。そういうレベルの問題です。
2.グレン・コア問題
グレン・コア社とはスイスのエネルギー企業で、「第2のエンロン」になるとも言われています。
前述のハイ・イールド債など不透明なデリバティブに手を染め、20兆円とも言われる有利子負債 を抱えており、数多くの欧州の銀行が同社に貸し込んでいます。今年2月の世界的な株価暴落は、同社が原因とも言われています。
3.ドイツ銀行問題
ユーロ安によるドイツ貿易黒字を財源として、2000兆円から2京円とも言われる天文学的な金額をデリバティブ取引に投入していると言われています。
デリバティブ取引が悪いということではありませんが、中身が不透明であることが問題だと言われています。前述のグレン・コア社のメイン取引銀行の1つです。
4.中国デフレ問題
日本で年間生産されている鉄鋼の量は1億トンだそうです。これに対して中国で年間生産されている鉄鋼量が8億トン。うち、中国国内で消費できる上限が1.5億トンだそうです。
つまり残る6.5億トンもの鉄鋼がダンピングで世界中に輸出されているわけです。鉄鋼だけでなく、セメントや液晶パネル、ソーラーパネルなども同様の状態だといいます。
5.中国国家崩壊リスク
独裁国家がオリンピックを開催すると、その10年以内に国家崩壊に至るというジンクスがあるそうです。
例えばモスクワオリンピックを開催したソ連、サラエボオリンピックを開催したユーゴスラビア、さらに歴史を遡るとベルリンオリンピックを開催したナチス・ドイツは開催から10年以内に見事なまでに国家崩壊に至っています。本社ビルを新築した企業が業績不振に陥りやすいのと同じで、多くの国が国力のピークでオリンピックを開催するのでこうなると言われます。
中国は2008年にオリンピックを開催していますから、2018年がその10年目となります。
6.アメリカ財政問題
歴史的に米ドルは15年ごとに切り下げをしています。1970年のドルショックに続き、15年後の1985年にはプラザ合意によるドル安。さらにその15年後の2001年には世界同時多発テロがおき、このころから「有事のドル売り」という言葉が定着しました。さらにその15年後は2016~2017年ということになりますが、“究極のドル切り下げ”とは、現ドルを廃止して新ドルを発行することです。
なぜアメリカはドルの切り下げを繰り返すのかと言うと、通貨切り下げを行うことで借金が減るからです。2016年の段階でアメリカの対外債務は17.5兆ドル(=約1750兆円)にものぼり、アメリカ連邦政府の財政赤字累積は5000兆円を超えるとの説もあります。
前述の新ドルの発行、ということになると円もユーロも間違いなく新通貨の発行を余儀なくされ、そのプロセスで通貨切り下げが行われるでしょう。
こうした世相を反映してか、三菱東京UFJ銀行が仮想通貨ビットコインを開発中であることを発表しました。 同行はフィンテック(=ファイナンスとテクノロジーの融合)の一環、といっていますが本当にそうでしょうか?「ソブリンリスク」の中で通貨の信頼が揺らぐ中、一種の自衛手段の様にも見えます。
ちなみに前述の6つの危機には「イギリスEU離脱」や「トランプ大統領」は入っていません。そう考えると2016年~2017年は本当に危機管理が重要な時代に突入することがよくわかります。
「社長の仕事」の中で最も重要なことが“危機管理”です。いかなる経済危機が来ようとも、自社を存続させる自衛手段を打たなければなりません。
ではこの大変化の時代、部品加工業の場合は市場をどの様に捉えていけば良いのでしょうか?下図に部品加工業の市場構造を示します。
<部品加工業の市場構造>
部品加工業の市場の中で、「量産マーケット」は市場規模が約90兆円と最も大きなマーケットですが、海外生産への移転が進み、国内マーケットは減少の一途をたどっています。
しかし「設備マーケット」は半導体製造/検査装置、工作機械、各種産業機械など日本特有の高い競争力を持つ企業が数多くあり、またこうした生産財は国内生産がメインです。
さらに社内で使用する設備を内製する部門である「工機マーケット」は、近年部品加工のアウトソーシングが最も進んでいる分野であり、我々部品加工業界にとっては最も狙うべきマーケットの1つです。しかも「量産マーケット」や「設備マーケット」と比べると価格競争の度合いも低いです。
さらに成熟期・市場縮小期においてはどんなマーケットにおいても“隙間が儲かる”といいます。
例えば「量産マーケット」は縮小の一途をたどっていますが、「量産マーケット」と「試作マーケット」の“隙間”である「工法転換」ニーズは増えています。さらに「工法転換」は常に国内で実践され、それが海外へと波及していくことを考えると、国内にのこる分野です。
さらに「工機マーケット」と「保全マーケット」の隙間である「リバースエンジニアリング(=図面レス同一部品再生サービス)」についていえば、特にリーマン・ショック以降は大企業においてもそのニーズが高まっています。
また資材・購買部門が多品種小量の膨大な図面をさばかなければならない「工機マーケット」「設備マーケット」においては「調達代行」ニーズがより高まっています。さらに「VA・VE提案」についてはより近年、そのニーズが高まっています。船井総研が主催する「ものづくりVA・VE技術マッチングフェア」がいつも活況なのも、そうした理由です。
この様に部品加工業界も“切り口”を変えて見てみると、これから伸びる分野・攻めるべき市場がはっきりと見えてきます。
リーマン・ショックの際の経験からもわかる様に、いかなる経済危機といえども全ての市場・産業分野が悪くなる、ということはあり得ません。リーマン・ショックの際は「自動車産業」は落ちましたが「液晶・ソーラーパネル産業」は落ちませんでした。また「量産マーケット」「設備マーケット」は大きな需要の減少に見舞われましたが、「工機マーケット」「保全マーケット」はそれほど落ちず、また「工法転換」ニーズは急速に増えました。
様は「特定顧客・特定業界依存」が最もリスクが高い、ということです。
この様に、現在というタイミングは部品加工業の社長が不況対策を考える上で最後のタイミングになると私は思います。
2016年8月30日(火曜日)に、機械加工業「社長の仕事」セミナーの開催を決定したのもこうした理由です。また本セミナーには前述の「部品加工業の市場構造」を誰よりも理解し、リーマン・ショックというピンチをチャンスに変えて、逆に付加価値率を10%も向上させた機械加工業モデル企業の辣腕社長をゲスト講師としてお招きしています。
こうした部品加工モデル企業の社長のお話を聞ける機会というのは非常に限られています。
本セミナーの詳細・お申込みは下記からご覧ください。
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