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イギリスEU離脱が我々の業界に与える影響

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イギリスEU離脱の影響が、徐々に出てきています。

イギリスでは不動産ファンドへの解約が殺到し、一部ファンドでは解約停止に追い込まれている、と先日の報道でありました。

ロンドンの不動産は東京以上に、世界トップレベルで高い不動産として知られ、世界中の富裕層や機関投資家からは格好の投資先でした。

ところがイギリスがEUから離脱するとなると、ロンドンの地価は暴落が予想されます。そこで投資家がこぞって、不動産ファンドへの解約に殺到し、解約停止に追い込まれている、というのです。

またイギリスとEU首脳国の関係は完全にケンカ腰です。

EU内の規定で、EUからの離脱を表明した場合、2年以内に離脱することがリスボン条約で決められています。

少しでも有利な通商条約を締結するため、イギリスは時間稼ぎのために離脱表明を少しでも先延ばしにしようとしていますが、EUのリーダー国であるドイツ・フランスは「すぐに離脱を表明しろ」「表明しなければ交渉には臨まない」というスタンスです。

また、イギリスEU離脱のニュースに隠れて全く報道されなくなりましたが、

・発行残高100兆円のハイ・イールド債問題

・8000兆円にものぼるドイツ銀行のデリバティブ問題

は、何ら解決していません。

リーマン・ショックのきかっけとなったサブ・プライムローンの発行残高がピークで約100兆円、日本のバブル崩壊の際の不良債権額が同じく約100兆円ですから、まぎれもなく大きな「爆弾」を世界経済は抱え込んでいるわけです。

また2007年にはBNPバリバ証券で、前述の不動産ファンドと同じく、ファンドの解約停止が行われています。

そして2007年時点で、サブ・プライムローンの問題が表面化していたにも関わらず、銀行系シンクタンクも政府も「日本には何ら影響が無い」といい続けていたわけです。

「歴史は繰り返す」ことを、我々は明らかに肝に銘じておく必要があります。

ちなみに、海外ではイギリスのEU離脱は大ニュースで、CNNなど海外メディアのニュースの半分は、この話題です。

ところが日本では、これだけの大事件であるにも関わらずあまりにも報道の取扱いが小さすぎます。

その理由が「報道の自由度ランキング」を見るとわかります。「報道の自由度ランキング」はネットでも検索できますが、国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)が公開しているものです。

もともと2010年の時点で日本は10位でした。ところがその後年々順位を落とし、3ヶ月前は46位でしたが、先日ネットで検索してみると何と72位にさらに下落していました。

日本には記者クラブという制度があり、当局の意向に反する報道を行うと、1次情報の提供が遮断されるといいます。

こうしたこと自体もほとんど知られていませんが、一ついえることは、どんな時代でも自分の身は自分で守るしかない、ということです。

当然のことながら、こうした情報は大企業あるいはアンテナの高い経営者であれば誰でも知っています。

先日は、アイシンAWが予定していた設備投資を中止した、という情報が入りました。また中小企業においても、予定していた設備導入をキャンセルした、という声も聞かれる様になりました。

早ければ今年の秋口、遅くとも来年の秋口までには相当深刻な景気後退が本格的なものになることは、想定しておかなければなりません。

特に大きな影響を受けるのが、機械工具商社です。

大手企業はこうした状況を見越して、間接部門のスリム化に着手しています。具体的には購買部門の人員削減です。

購買部門の人員削減の格好の材料がEDI・集中購買です。

EDIといえば、かつての松下電工のプリズムや、東洋ゴムのラバーズネットが有名ですが、現在はクラウド技術の進展でもっと導入しやすく効果的なEDIが数多くでています。

アスクルやモノタロウの提供するEDIは、月を追って導入企業が増えています。

繰り返しになりますが、大企業は安い商品を買うためにEDIや集中購買に取り組んでいる、というのは本質ではありません。

安く買うという目的もありますが、それ以上に間接人員の削減が本質的な目的です。

従って実際には機械工具商社による人的販売の方が安かろうと、それにはおかまいなしにEDI・集中購買はどんどん進みます。

さらにこうした動きを見越して、一部のメーカーや問屋は「MMA対策」というキーワードを使い始めています。

「MMA」とは、ミスミ、モノタロウ、アマゾンということです。

そして「MMA対策」というのは要は事実上の直販です。最終的なルートは機械工具商社になるにしても、マージンはメーカーや問屋が決定することになります。

「ミスミにせよ口座の関係で、我々販売店が結局売っている」みたいなことを言う人が、いまだに機械工具商社にもいますが、要は指定伝票とか現場への配達とか面倒くさいことを押し付けられて、それで5%くらいの、消費税にも及ばない低マージンで商売をさせられているのです。

今度の景気後退で、こうした動きがさらに進むでしょう。

その結果、物販の売上は2~3割は間違いなく減るでしょうし、それ以上に利益率が低下します。

では、機械工具商社はどうすれば良いのか?

ピンチはチャンス、という言葉がありますが、前述の「購買部門の人員削減」という今のトレンドを逆にチャンスに変えていく発想が求められます。

すなわちそれは、部品加工事業による「調達代行」サービスの提供、ということです。

大手企業の工機部門にせよ、セットメーカーにせよ、こうした企業の購買部門は膨大な図面を数多くの町工場にばらまき、納期管理や品質管理に追われています。

特に大手企業の工機部門は、年々人員も設備も縮小される傾向にあります。海外工場への設備提供など、仕事は増えるのに人は減らされ、悲鳴を上げているというのが購買・調達部門の実態です。

そこで、こうした膨大な図面への対応を一括して請負、納期管理や品質管理を「調達代行」してくれる業者に対しては、ニーズが高まっています。

2016年7月21日(木)に東京で開催する、“機械工具商社「部品加工」ビジネスモデルセミナー2016”では、粗利の4割を部品加工で稼ぐ機械工具商社の経営者を特別ゲスト講師に、こうしたピンチをチャンスに変える戦略について、具体的にお伝えしたいと思っています。

不況期には新業態が生まれる、といいます。

繰り返しになりますが、ピンチはチャンスということで、前向きにとりくんでいきたいと思います。

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