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JIMTOF考

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今年は2年に1度のJIMTOF(日本国際工作機械見本市)が開催される年です。今年も11月にJIMTOFが開催されます。

JIMTOFは日本の生産財業界を代表する展示会ですが、ユーザーの立場からみて意義のある情報発信ができているかどうか、というと難しい局面に立たされている、と感じるのは私だけでしょうか。

私は20年にわたり毎回JIMTOFを見てきていますが、はっきりいって、この20年間工作機械の技術は基本的に何も変わっていません。

もちろんリニアモーターの登場など、部分的には大きな技術革新がありましたが、改善効果としてはせいぜい2~3割アップといったところで、劇的なイノベーションにはつながっていないと思います。

劇的なイノベーションというのは、70年代のNC工作機械の普及に匹敵する様な技術革新のことです。

汎用機からNC機に乗り換えることで、生産性は2~3倍以上に上がります。こうした生産性革命のことを、劇的なイノベーションというのです。

確かに3DプリンタやAM(アダプティブ・マニュファクチャリング)といった技術革新はありますが、コスト面でも信頼性の面でも、一般産業で本格的に使用できるレベルにはとてもなっていません。

さらにこれらの技術も20年前から基本的には何ら変わっていません。

現在のブームは100万円くらいの樹脂用3Dプリンタというエントリー機が世の中に出てきて、クリス・アンダーセン著「メーカーズ」によって火がついた、しかも騒いでいる人たちは根本的に加工技術のことを知らない人たち、という見方もできます。

そう考えると、JIMTOFそのものが今や「お祭り」あるいは「業界の同窓会」的なポジションにある、と考えるべきかもしれません。

というよりも、工作機械技術が今のところ大きく進化しない以上、「工作機械そのもの」よりも「工作機械をどう使うか?」が重要なポイントになります。

例えば複合機。

おかげ様で「複合機による「高利益率経営」視察セミナー」は好評で、当初想定よりも多くの方からご参加希望をいただいたため、バスを当初予定よりも、大型のものに切り替えて対応させていただくことになりました。

複合機そのものも20年前から存在する設備です。

しかし複合機を導入していたとしても、本当に儲かる使い方ができているユーザーは一握りだと思います。

実際、メーカーの開発担当の方も言われていましたが、「本当は10年前に発売したスタンダードタイプで十分なんです」と。

「ですがJIMTOFのたびに新モデルを出す必要もありますから、本当は要らない機能もついています」

「ドイツでは必要最低限の機能のスタンダード機が喜ばれますが、日本のユーザーはフルスペックを欲しがる傾向があります」

「いわゆる複合機で儲かる加工をするには、本当はスタンダードタイプで十分なんですが・・・」ということなのです。

同じことは塑性加工(板金加工・プレス加工)にもいえます。

レーザー加工機の性能が多少あがっても、あるいはプレス加工機の性能が多少あがっても、せいぜい2~3割の生産性しかあがりません。

しかしレーザー加工機で積層式の簡易金型をつくり、それを「ダイレスフォーミング(金型レス加工)」という形で工法転換提案をしたならば、1/2~1/3もの劇的なコストダウン提案につながります。

今や「最新型の設備を導入する」ことよりも、「最新の設備の使い方をする」ことの方が大事です。

そして、意外とこうした「使い方提案」というのは、工作機械メーカーではできないことです。

本当は多くのユーザーを見てきている商社・販売店にこそ、こうした「使い方提案」をしてほしいところです。そしてまた、それができている商社・販売店は驚くほど儲かっていますし、また熱狂的な支持をユーザーから集めています。

イギリスが製造業大国から凋落した理由の1つは、ユーザーが通販でしか機械工具を買わず、必要な情報が入らなかったから、と言われています。

逆に日本が製造業大国を維持できている理由の1つは、商社・販売店による提案活動と私は考えています。

商社・販売店の皆様には、ただJIMTOFへの招待旅行を行うだけでなく、本当に役に立つ「使い方提案」をしていただきたいものです。

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