今年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で頻繁に取り上げられ、今注目を集めているキーワードに「VUCA(ブーカ)」があります。
VUCAとはもともとアメリカの軍事用語だったそうですが、次の4つの単語の頭文字を取ったものです。
・Volatility (変動性)
・Uncertainty (不確実性)
・Complexity (複雑性)
・Ambiguity (曖昧性)
冷戦の終結により複雑化した各国の情勢や戦略・戦術を記述するためのキーワードだったそうですが、現在ではそれがビジネスの世界に使われているのです。
例えばかつてのシャープは液晶とソーラーパネルに集中することで成長戦略を描き、当初はうまくいくかの様に見えていました。ところがわずか5年くらいで状況が激変し、台湾の外資傘下で経営再建を行う事態に陥っています。
また東日本大震災が発生するまでは原子力発電は成長産業でした。特にオバマ大統領の新任当初はグリーンニューディール計画もあって、アメリカだけで100年分の原子炉新設計画があると言われていました。こうした背景から東芝は4900億円もの巨費を投じてウエスチングハウスを買収しましたが、現在これはかなりの裏目となり同社の経営危機の一因ともなっています。
この様に超大手優良企業ですら先を見通すことが難しくなった今日、ヨーロッパ最大のコンサルティング会社であるローランド・ベルガー社は、次の5つをVUCAに勝つための要件として挙げています。
①確固たるビジョン・シナリオ
②走りながら考える(トライ&エラー)
③事業の「複線化」
④ゲームの“ルールメーカー”
⑤イノベーションの追求
①は理念経営、②は船井流経営法でいう「泥縄式」、③は特定顧客・業界依存脱却、④は主導権を取る、⑤はR&Dの強化、と置き換えれば、まさに従来の経営の原理原則を強化する、ということになります。
複雑で予測が難しい時代こそ、原理原則が大切だと感じました。
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