協力企業が親会社からの厳しいコストダウン要求に泣かされる、というのはよく聞く話です。
また、さすがにこの4月くらいから市況も減速気味であり、「取引先から3割コストダウン要求をほのめかされた」という声も、ちらほら耳に入ってくる様になりました。
しかし業績の良い会社というのは、こうした取引先からのコストダウン要求を見越して、取引先から要求される前に自らコストダウンを考えています。
例えば某トヨタ系ティア1(1次取引企業)部品メーカーは、私の関係先の某加工会社と組んで、切削加工から塑性加工に置き換えることでのコストダウンを検討中です。
切削加工は精度の高い加工を行える半面、コストのかかる加工法です。いちど金型をつくってしまえばローコストに量産を行える塑性加工に置き換えることができれば、部品コストは1/3から場合によっては1/10にもなります。
こうした工法転換を検討する際には、技術的なやり取りも考慮して近場のパートナーと組みたいところです。
ところが前述のトヨタ系部品メーカーは、あえて自社が存在する名古屋エリアのパートナーとは組まず、トヨタ系の会社が仕事を出さなさそうな大阪の会社で工法転換に取組んでいるのです。
その理由は、トヨタのお膝元である名古屋の加工会社とパートナーを組むと、いかに守秘義務契約をしていたとしても、自社の取組みがトヨタの耳に入ってしまうリスクがあるからです。
万が一、工法転換の取組みをトヨタに知られてしまうと「勝手に何をやっているんだ!」ということになります。
ですから、絶対にトヨタの仕事をしていなさそうな大阪の会社と組んでいるわけです。ちなみにこの部品メーカーは、財務内容も抜群に良い世界的な優良企業です。
仕事は何でもそうですが「言われて」からやるのでは遅いのであって、言われる前に手を打つ必要があるのです。
製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る