今年の3月は昨年の3月とは全く違う傾向が見られます。
それは今年の3月は、大手企業において例年に無い「予算消化」が見られるのです。
例えば私の関係先の機械工具商社は、3月の数字の着地予想はドンドン上積みされています。
また機械工具商社だけでなく、試作加工を行う精密板金会社なども「3月中に試作ワークを納めて欲しい」との大手ユーザーからの要望を受け、夜を徹して対応に追われています。
消耗品である機械工具を「期末までに入れて欲しい」というのは多々見られることですが、試作に使う加工部品を「期末までに入れて欲しい」という要望は、過去にはあまり見られないことでした。
同精密板金会社の社長も、過去に例が無いと言われていました。
今期(=2016年3月末決算)は、上場会社は円安の影響もあり過去最高の利益が出ると言われています。ただし来期(4月以降)の業績は不透明だと考えています。こうしたことが背景となって、今年は例年に無い3月末の「予算消化」が行われているのです。
4月以降、もっというとGW明けの市況が心配なところです。
こうした中、中小企業の経営的にいうと最も大事なことは前回のレポートでも申し上げた「良い取引先と付き合う」ということです。
前回のレポートでは、次の2つの業界が好調だと申し上げました。
・次世代自動車関連
・IoT、クラウド、ビッグデータ関連
例えばMEMS(微小電気機械システム)と言われる分野があります。これは 圧力センサー・加速度計・アクチュエーター・ジャイロスコープといった機器の総称のことです。
これら機器は次世代自動車、またIoTに欠かせない分野であり2010年から2015年にかけて市場規模が2倍になり、1兆2000億円もの市場となっています。
今の世界経済の流れからいうと、間違いなく今年秋から年末にかけて経済危機が来るでしょう。その結果、一時的に全産業の売上は落ち込むかもしれませんが、技術革新が進む業界はすぐに立ち直ります。
この2つの業界がこうした業界です。
余談ですが、日本の某大手造船会社が大型タンカーを4隻も受注したそうです。原油価格がピークの1/3のなぜこの時期に?と素人は考えてしまいます。
しかし“その道のプロ”に言わせると、現在の様な石油価格が底値で、また鉄がダブついてタンカーの資材が安く買いつけられる時期にあえてタンカーをつくり、いずれ原油価格が上がって傭船料が上がった時に高値でタンカーを運用する、ということなのだそうです。
こうした判断は株主の目や、短期的な業績が求められるサラリーマン経営者では中々できないことでしょう。
“その道のプロ”が長期的な視点で経営する同族企業が、長寿企業の中では圧倒的に多いのはこうした理由だと思います。
同時に、ビジネスの世界では昔から「不況時は新規開拓のチャンス」といいます。なぜなら忙しい時は、新規開拓をしようと思っても相手も忙しくて中々時間が取れないからです。
逆に不況の時には相手も時間がありますから、色々と新しいことに取組もうとします。
繰り返しになりますが、前述の2つの業界はこれから60年間の中心となる巨大産業です。
ぜひWebマーケティングなども活用して、同業界へのアプローチを強化していただきたいと思います。
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