齊藤元章氏著「エクサスケールの衝撃」(PHP)によると、2045年にもスーパーコンピューターの知能が人類の知能を超える日が来る、といいます。そしてこの日のことを「特異点(シンギュラリティー・ポイント)」というそうです。
自身もスーパーコンピューターの開発者である同時に、医学博士でもある著者によると、この「特異点」を超えると人類は2つの「ふろう」を手に入れることができるといいます。すなわち「不労」と「不老」です。
そして「特異点」の前に訪れる大きな変革が、「エクサスケール」のスーパーコンピューターによって生み出されます。
“エクサ”というのは国際単位系の接頭語であり、キロ・メガ・ギガの上のテラ・ペタ、さらにその上の接頭語がエクサです。
富士通と理化学研究所が開発した、世界一のスーパーコンピューター「京」は、1秒間に1京回の演算能力を持っています。これを国際単位系に直すと1秒間に10ペタ回の演算能力、ということになります。つまり“エクサ”スケールのコンピューターとは、この「京」の100倍の演算能力を持つコンピューターなのです。
現在、スーパーコンピューターは台数が限られている上に、1日に700万円もの電気代が必要であることから、使用用途を厳選して割り当てています。ところがスーパーコンピューターが次世代の「エクサスケール」になると、飛躍的にスーパーコンピューターの使用用途が広がります。その結果、二毛作ならぬ十二毛作が可能な稲の開発や、石油に代わるバイオ燃料を安価に製造する植物の開発、さらに老化を防止する医薬品などの短期間での開発が現実のものとなるそうです。
「ムーアの法則」でも知られている通り、コンピューターの性能は指数関数的に増大しており、今から5~10年後には「エクサスケール」のスーパーコンピューターが完成します。実際、我が国でも「エクサスケール」コンピューターの開発が進められており、日本はこの分野で世界トップクラスの技術を持っています。
「エクサスケール」の時代にどの様に備えるのか、今から考えておく必要がありそうです。
製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る