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自動車産業の次の成長産業

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先週末、某トヨタ自動車Tier1(1次サプライヤー)の年始経営発表会に参加しました。

ここの会社の社長は5年前に「これから愛知県内の部品加工は半分になる」と言われていましたが、その通りになりました。

トヨタの国内生産台数のピークはリーマン・ショック前の年間422万台で、その大半が愛知県内でした。現在は年間300万台を死守するとしていますが、その内訳は

・愛知県 200万台

・東北   70万台

・九州   30万台

であり、確かに愛知県内の生産台数はピーク時の半分です。

さらにここの会社の社長は、これから自動車産業のトレンドが大きく変わるといいます。

例えば昨年のこの年始経営発表会でのもっぱらの話題は、「動力源」でした。すなわちガソリンエンジンなのか、ハイブリッドなのか、水素なのか、電気なのかという議論です。

しかし今年の話題はもはや「動力源」ではありません。

人が運転するのか、自動運転なのかといったもっぱら「運用」に関わる話が、今年は大半を占めていました。

グーグルでは2019年に向けて公道を無人で走れる、自動運転車を実用化しようとしています。また日本のベンチャー企業、ZMPとDeNAが設立したロボットタクシーは、2020年の商業利用を目指しています。

自動車の自動運転技術はほぼ確立されており、またそれを運用するプラットフォームも、ウーバーなどシェアライドという形で既に商業化されています。

トヨタ自動車ではあくまでも「人が運転することによる喜び」を追求するといっていますが、シリコンバレーや欧州のアムステルダムなど先進都市に行くと、自動車の運転に全く興味の無い人がたくさんいます。彼らは自転車を活用して健康と環境に留意したり、ネット環境が整備されたバスの中で仕事をしながら移動する、といったライフスタイルをとっています。

これからは自動車を個人で所有せず、自動運転車をシェアライドし、自動車での移動中も読書をしたり仕事をしたりする、という移動手段が当然の時代になることは間違いありません。

前述の某社の社長は、「これから自動車の運転は乗馬と同じになる」と言われていました。つまり自動車を自ら運転したい人は、鈴鹿サーキットといった施設で思う存分運転を楽しむわけです。乗馬場で乗馬を楽しむ人たちと同じです。

アメリカでは、こうした自動運転とシェアライドが進むことにより、自動車の保有台数が2割減る、と言われています。

この様に今後大きく変化が予想される自動車産業ですが、国内において伸びている分野もあります。

例えば自動車の運転の自動化に伴い、自動車に搭載される車載用液晶の市場規模は、今やタブレットPC用液晶の市場規模を上回ります。

また車載用センサーの需要が急拡大し、こうしたセンサーを生産するための超精密金型を加工するナノ加工機をつくる東芝機械などは、2年以上の注残を抱えていると言われます。

旧来の「自動車産業」は衰退産業となるかもしれませんが、「次世代モビリティー」と捉えなおすと成長産業に変わります。またプレーヤーの大半が変わるかもしれません。

生産財業界、部品加工業界の会社は必ず何らかの形で自動車産業と大きく関わっています。

これからの時流、トレンドに対してはアンテナを高くしておく必要があるでしょう。

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