年に1回スイスで開催されるダボス会議は、世界のトップリーダーが集い、またそのスピーチによって世界的な評価が決まる場でもあります。
ダボス会議を主催する世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・カウンシルのメンバーでもある田坂広志氏は、その著書「ダボス会議に見る世界のトップリーダーの話術」の中で、次の様な興味深いことを述べられています。
まずダボス会議のスピーチでは、言葉を発する前に勝負が決まる、といいます。つまり「言葉によるメッセージ」が2割、「言葉を超えたメッセージ」が8割だというのです。「言葉を超えたメッセージ」とは、姿勢・表情・眼差し・身振り・仕草・声の質・リズム・間・余韻であり、それは信念・覚悟・決断力・説得力・思想・ビジョン・志・使命感・人柄・人間性に裏付けられたものだといいます。
選挙の洗礼を受け、また権力の座についた後も数多くの反対派と対峙しなければならない先進国のトップリーダーは、こうした「言葉を超えたメッセージ」を伝える力に秀でているといいます。
それに対してロシアなど、権力の座につくと事実上反対派がいなくなる様な専制的な国のリーダーの場合、先進国のトップリーダーほど「言葉を超えたメッセージ」が伝わらない、というのです。
またダボス会議の様な場なので、英語でスピーチをするのがベストかと思いきや、全くそうではないそうです。むしろ英語が非ネイティブの場合は、英語によるスピーチよりも通訳をはさんだ母国語でのスピーチの方が説得力は上がり、またスピーチそのものも高い評価を得られると田坂氏は言います。これも「言葉を超えたメッセージ」による力です。
経営者である我々も、強く意識しなければならないことだと思います。
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