ちなみに再来年の2017年は、干支でいうと「丁酉」(ひのと とり)になります。“丁”は釘を表す文字で、“安定する”という意味合いがあります。また“酉”は果実が成熟の極限に達する、という意味があるそうです。
従って2017年の年回りは、例えるなら植物が成熟しきって一定の大きさに達する様な年、ということになります。
例えば現在、景気対策ということで「異次元の金融緩和」と、それに伴う公的資金の株式市場投入により、建前上での株高が演出されています。
また2015年で無くなるはずの「ものづくり補助金」が、限度無制限の「省エネ補助金」という形で2016年も続行されることが決まりました。
この様に景気を活性化させるために、現在あらゆる手立てが打たれています。こうしたあらゆる手立てが行きつくところまで行く、成熟しきってこれ以上どうにもならない状態まで行きつくのが再来年の2017年、と捉えることができます。
実際、2017年4月からは消費税の10%化により、景気後退が今から懸念されています。また干支の「歴史は繰り返す」という観点、60年周期説で言うと、2017年から60年前の1957年はそれまでの「神武景気」が終わりを告げ、同年7月から「なべ底不況」というデフレ現象による不況に突入します。
この「なべ底不況」は政府当局のネーミングだそうですが、当初の予測では不況の長期化が予想されたことから、“なべ底”と名付けられたといいます。
ところが実際には「なべ底不況」は2年くらいで終わり、1959年からは「岩戸景気」と言われる大好況に沸くことになります。前述の神武景気は31ヶ月続きましたが、この岩戸景気は42ヶ月続きます。この「岩戸景気」により、日本は高度経済成長へと突入します。
ではなぜ、当初長期化すると予測された「なべ底不況」を、当時の日本はわずか2年で乗り切れたのでしょうか?
その要因は当時の「技術革新」にあります。神武景気で力をつけた当時の製造業は格段に生産性を高めており、この生産性の高さで国際競争力を発揮した、というのです。
特に当時は産業構造の変革期で、従来の花形ビジネスであった「石炭」「海運」「繊維」産業が没落し、ニュービジネスであった「自動車」「電気機械」「精密機械」がそれを上回る勢いで伸びたのです。
これは60年後の現在の情勢にも、そのまま当てはまるのではないでしょうか。
例えばリーマン・ショック以降、従来の花形であった「自動車」「家電」「携帯電話」といった「消費財」の生産は大半が海外に移転しました。先進国に残るのは「医療機器」「航空機」「エネルギー」「社会インフラ」「産業機械」といった「生産財」です。
これは一言でいえば、産業構造の変革です。
また「自動車」や「携帯電話」であっても、低燃費車やハイブリッドなどのエコカー、あるいはアイフォン用電子部品などの「高性能」な製品のものづくりは先進国に残っています。
その様に考えると当時の時代背景は、60年後の現在とも酷似している様に見えます。
では、中小企業の経営者は今から何に取組むべきなのでしょうか?
(次回に続く)
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