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オールドビジネスで、どうイノベーションを起こすのか?~アメリカ中西部グレートカンパニー視察セミナーより~

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この10月18日~24日の一週間、アメリカ中西部グレートカンパニー視察セミナーに、講師として参加していました。

今回はハーレーダビッドソンやエクソンモービルなど、シカゴ・ダラス周辺のグレートカンパニー12社を視察しました。

 

↓↓↓本視察セミナーのレポートはこちらから!

https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/tag/inspection_report/

 

アメリカは大きく分けて「東部」「西部」「南部」「中西部」の4つに分けることができます。東部がIBMやGEといった伝統的大企業、西部がグーグルやマイクロソフトといった先端ビジネスなのに対し、中西部はノースウエスト航空やハーレーダビッドソンなど、オールドビジネスの中にイノベーションを生み出し、新境地を開く企業が多いことで知られています。

イノベーションは、理念・フィロソフィーと同様に、企業あるいは組織体を永続させる上で必要不可欠な要素の1つです。

いかに理念が立派であっても、時流・市場環境は変わります。時流や市場環境の変化に合わせたイノベーションが生み出せなければ、企業あるいは組織を永続させることはできません。

そうした視点で、オールドビジネスでどうイノベーションを起こすのか、5つのポイントにまとめてみました。

 

①自社のビジネスの再定義

かつてのハーレーダビッドソンは、消費者の“バイク離れ”から経営不振に陥り、一時オーナー経営から外れました。その後、オーナー一族が同社を買い戻し、経営を再建するのですが、その時に行ったことが自社ビジネスの再定義でした。

具体的には「バイクを売る」ということから、」バイクに乗る楽しさを売る」ということに自社のビジネスの定義を変えたのです。

現在の同社は熱狂的なファンに支えられる、伝説的な企業になっています。

また、ノースウエスタン大学はインターンシップに力を入れることにより、「教育の場」という従来の定義に加え「企業の即戦力人材を送り出す場」という側面を強化しています。

その結果、同大学は学生の就職先の確保と同時に、企業から多額の寄付金を集めることに成功しています。

 

②最高品質と体験(=価値)を売る

すなわち、いかに価格競争を回避するのか?ということです。

例えばナムコUSAは全米で1000ヶ所を超えるゲームセンターを運営していますが、従来のスタイルのゲームセンターでは10%ほどの粗利率しかありません。

今回訪問したナムコレベル257は、粗利率30%を目指した、フードとアミューズメントの複合施設です。

またダラスの広告代理店、Sq1は4年前が14名の従業員に対して、現在は150名と急成長を遂げています。

同社の売りの1つはオフィス内ツアーであり、同社のクライアントはそこで同社の理念や仕事へのスタンスを知ることができます。「この会社なら、何かやってくれそうだ」という期待感を持たずにはいられないでしょう。

 

③最高品質と体験(=価値)を売れる人財の採用・育成

最高品質をと体験が売れる人財を育成するには、その為のカルチャーをつくることが必要です。

シカゴでNo1のレストランチェーン、レタス・エンターテイン・ユーの店舗は、東京都内の同業態のレストランと比較しても、2倍近い月商を上げています。

同チェーンでは独立したいシェフを応援する制度など、社員がやりがいを持って働ける環境を整えています。その結果、前述の高い生産性はもとより、離職率も全米平均の1/6以下という高い社員の定着率を実現していました。

また、ミルウォーキーの家電販売店ABT(アブト)は、たった1店舗であるにも関わらず、毎年二桁成長で売上を伸ばしています。

同店は地域住民から圧倒的支持を受けており、近隣に進出してきた大手家電チェーンは軒並み撤退に追いやられるといいます。

そうした同店が掲げる理念は「The answer is always “YES” to any reasonable request」というものです。

すなわち、お客からの妥当と思われる要望には全て「YES」と応えなさい、ということです。同店はシカゴ近辺で最も働きたい職場でベスト2に選ばれたこともあります。

 

④内製とアウトソースとのバランス

ミネソタ州の介護施設、ルーサラン・ホームは全米でも最高品質のサービスを提供する施設として有名です。

そうした同施設は全てを内製しているわけではありません。同施設の中で提供されているリハビリテーションは、専門アウトソーシング会社、アライアンスリハブにアウトソースされています。

同社が手がけるリハビリを受けた老人は、転倒率が3割も減少するというデータがでています。

逆に前述の家電販売店、ABTの場合は什器の製作、修理、メンテナンス、梱包材のリサイクルから発電に至るまで内製化しています。

同店がここまで内製にこだわるのは、常に売り場を変化させてお客を飽きさせないためです。

何を深く掘り下げるのかによって、内製とアウトソースのバランスを決めているのです。

 

⑤常に変化し続ける

戦前は実用のバイクを中心に手がけていたハーレーダビッドソンは、戦後はカスタムバイクを中心に手がけることで、復活を遂げました。

また家電販売店ABTは常に改装を繰り返し、工事をしていない時が無いといっても過言ではありません。

レタス・エンターテイン・ユーも、同じ業態のレストランを展開するのではなく、異なるスタイルの店舗を多業態展開しています。なぜなら外食産業は変化が激しく、単一の業態では陳腐化してしまった時に取り返しがきかなくなってしまうからです。

 

世の中の大半のビジネスはオールドビジネスです。こうしたオールドビジネスで、いかにイノベーションを生み出すのかということを、今回の視察セミナーでは学ぶことができました。

 

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