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受託型(下請型)製造業が営業利益率10%超を実現するポイント(2)

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営業利益率10%を超える様な「高収益」なビジネスモデルを実現するには、商売において「主導権」が取れていなければなりません。「主導権」を取るために必要なことは、とにかく“客数”を増やすことです。

“客数”が増えることで、不当に利益率の低い案件について値上げを要請する、あるいは案件そのものを辞退する、といった営業施策が可能になります。いわゆる“忙しいけど儲からない”理由の大半は、「値付け」そのものにあるといって過言ではありません。

実際、船井総研ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会の中の、営業利益率10%超の「高収益」受託型製造業の皆様は、例外なく“客数”が多いことが共通点です。

受託型(下請型)製造業が“客数”を増やす上での要件としては次の3つを挙げることができます。

要件1:こちらから売り込まないPULL型ビジネスモデルであること

要件2:開発部門・設計部門など川上部門と付き合うこと

要件3:生産現場が混乱しない自社が得意な仕事を受けること

要件1と2を満たす為には、エンドユーザーの開発部門・設計部門をターゲットとしたソリューションサイト(=問題解決型の技術情報サイト)を立ち上げることが効果的です。さらに受託型ビジネスの様にリピート性が高く、信用・信頼が求められるビジネス形態の場合は、バーチャルなインターネット上でのコミュニケーションだけでなく、リアルな展示会でのコミュニケーションも必要です。

また展示会は今と昔で位置づけが大きく変わりました。今や展示会の目的は「名刺を集める」ことではありません。いかに「商談を行うか」が展示会の目的です。その為にはバイヤーに対しての事前の情報収集が極めて重要となります。今の時代は、購買プロセスの6割近くが面談を行う前に決まっている、と言われています。

従ってバイヤーに対して自社の情報発信をあらかじめ行っておき、展示会には具体的な商談を持ってきてもらうという流れを事前につくっておく必要があります。

そういう意味で、BtoBの新規開拓においてはインターネットとリアルな展示会の合わせ技が必須と言えるでしょう。

さらに受託型(下請型)製造業が、営業利益率10%を超える様な「高収益」を実現する為には“仕事を選んで取る”ことも不可欠です。

多くの受託型(下請型)製造業が、親会社から言われたままに仕事を受け、本来は自社が苦手な仕事であるにもかかわらず受託してしまうことで、生産現場を混乱させ収益性を落としているのです。

もちろん、割に合わない仕事も受けるから、儲かる仕事を受けることができる、という側面もあります。しかし実際には、どの仕事がどれくらい儲かっていて、どの仕事が実は割に合わない仕事なのか、ということを把握していないまま、惰性で仕事を受けてしまっているケースが実際には多々見られるのです。

言い換えれば何が自社の「強み」なのかを、しっかりと押さえることが「高収益」なビジネスモデルに必須のことなのです。

そこで船井総研のファクトリービジネスグループでは、その会社の「強み」を見つけるため、コンサルティングを行う際には必ず「図面分析」を行います。

「図面分析」とは、100枚~300枚の図面を「売価」「原価」「利益率」「形状」「精度」「材質」「使用用途」「その他」に分類の上、どの様な仕事が自社にとって競争力があり採算性が高いのかを明確にします。

例えばこの「図面分析」の結果、自社の強みは5軸マシニングだと思っていたのに、実際には丸物の旋盤加工+研削加工であった、といったことも起りえます。

また多くの受託型(下請型)製造業が、自社の強みを「顧客軸」ではなく、「売り手軸」で語ります。

例えば自社の強みは“微細加工”である、“複合加工”である、“5軸加工”である、といった機能面を全面に出した表現は「売り手軸」での表現です。

そうではなく、例えば“特注ノズル”である、“特注カッター”である、“スピンドル部品”である、といった製品面を全面に出した表現を行うのがポイントです。

この様にして、自社の「一番商品」が何なのか、「品揃え商品」が何なのかをきちんと規定することが大切なのです。

前回のレポートで申し上げた「利益原則」について、改めて下記に示します。

利益 = 一番の数 × 扱い品の数 × 主導権 × 一体性

前回からの繰り返しになりますが、利益原則のポイントは、主導権がないと一番や扱い品がいくらあっても利益になりません。また一体性がないと一番がいくつあっても、また、扱い品が多くとも、さらに主導権があっても、利益はでてきません。

高収益体質の経営を実現するためにも、ぜひこの「利益原則」を実践していただきたいと思います。

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