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生産性を上げるポイント

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心理学の法則で、1:1.6:1.6の二乗の法則、と言われるものがあります。これは、「人から無理やり言われてやった仕事」の成果を1とするならば、「納得して行った仕事」の成果はその1.6倍、さらに「自発的に行った仕事」の成果は、さらにその1.6の二乗、すなわち2.56倍にもなる、というものです。

すなわち、最低限のリーダーシップ(=人を動かす技術)とは、「納得して行ってもらう」ということであり、最善のリーダーシップとは「自発的に行ってもらう」ということになります。

つまり生産性を高める為に重要なことは、何よりも「動機付け」ということになります。

例えば世界レベルで生産性が高い国、というのは文化レベルで「動機付け」がなされています。

例えばドイツやオランダなどは、年間労働時間平均は日本よりも400時間以上も少ないのに、生産性(1人あたりGDP)は1.4倍以上にもなっています。

ドイツやオランダ、さらにスイスなど生産性が高い国の共通点はプロテスタントの国、ということです。ドイツの社会学者、マックスウェーバーが「プロテスタンディズムの倫理と資本主義の精神」の中でも書いていますが、プロテスタントの特徴は仕事を通して神の恩寵を得る、というものです。つまり「仕事の目的」と「人生の目的」が一致しているからこそ、おのずと生産性も高いのです。

日本においても、いわゆる「理念経営」が浸透している会社は生産性が高く優良企業が多いわけですが、これも同じ理由です。

また短期的に生産性を上げる最も適切な方法は、PDCAサイクルをきちんと回すこと、すなわち適切なマネジメントを行うことです。

前述の「仕事の目的と人生の目的の一致」や「理念経営」は、リーダーシップのジャンルに入る事柄です。

そしてリーダーシップとともに会社運営の両輪となるのが、マネジメントです。

マネジメントの目的はPDCAサイクルを回すことですが、その基本は「何が儲かっていて、何が儲かっていないのか」を明確にすることです。

例えばリーマン・ショック以降、2年近く赤字が続いていた板金加工業の会社がありました。赤字から脱却できたのは新規開拓の成果もありますが、直接のきっかけは生産管理システムを導入し、部門別採算制を取り入れてからです。

どの部門がどれだけ儲かっているのか、あとどれだけやれば儲かるのかを明確に「見える化」したことで、その会社は黒字化したのです。

またリーマン・ショックから立ち直ったものの、チャージが低下してずっと低収益の機械加工業がありました。同社の場合も生産管理システムを見直して、どの仕事が黒字で、どの仕事が赤字なのかをはっきりと見える様にしました。

またその結果を月に一度の営業生産会議で共有し、いかにして赤字案件を減らすかを、現場と営業で議論する様にしました。

そうした取組みの結果、同社では数百万円レベルだった営業利益が数千万円レベルに一気に上がり、売上は微増だったものの収益性は大幅に改善しました。

結局のところ、何が儲かっていて、何が儲かっていないのかを見える様にするだけでも、前述の「動機付け」につながり、結果的に「納得して行う」あるいは「自発的に行う」というレベルに行動が落とし込まれていくのでしょう。

今、特に部品加工業は仕事も多く市況は追い風です。こうした好調な時期だからこそ、仕事の進め方そのものを見直し、足元をしっかり固めることが重要です。

そうした意味で、いかに生産性の向上に取組んでいくかが、現在の重要なテーマだと言えるでしょう。

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