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腐ったリンゴをどうするか?

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「腐ったリンゴをどうするか?手抜きを防ぐ方策はある」釘原直樹著 三五館 は興味深い内容の本です。

著者は大阪大学 人間科学研究科の教授ですが、同氏によると「腐ったリンゴ」に罰を与えるよりも、「腐っていないリンゴ」を活性化する方が、格段に組織のパフォーマンスが上がる、といいます。

さらに「腐ったリンゴ」も、それはそれで組織内で役割を担っており、それによって組織の均衡が保たれているわけなので、それを無理に取り除くことにより、組織全体に悪い影響を及ぼすことがあり、最悪の場合は組織の瓦解にもつながる、といいます。

船井総研の創業者である舩井幸雄も、今、ここにいる社員で必要必然ベストであると、良く言われていました。また去るものは追わず、ただしこちらから相手を切ることはしない、というのも創業者の考え方でした。

また船井総研の社内マネジメント、あるいはコンサルティングの前提は「長所進展」ということです。その人の短所よりも長所に目を向けてそこを伸ばす、あるいはその会社の問題点よりも強みに目を向けてそこを伸ばす、ということです。

「長所進展」が、人間科学的にも裏付けられているということが同書でよくわかりました。

さらに同著によると、いわゆる組織内での「手抜き」を防止するためには、“リーダーシップによる仕事そのものの魅力向上”“集団の目標の明示”といった長期的展望が有効であると述べています。

確かに、生産性を高める上で最も有効な方法は仕事の目的と人生の目的を一致させることです。

ちなみに、欧州を見てみるとギリシアやスペインの様にカトリック(正教)の国よりも、ドイツやオランダ、スイスの様なプロテスタント(新教)の方が、生産性が格段に高い傾向があります。

カトリックでは、生まれながらにして全てが神の意思で決まっている、という考え方を取ります。それに対してプロテスタントの場合は、仕事を通して神の意思を知る、という考え方を取ります。

従って、プロテスタントの国というのは宗教的に人生の目的と仕事の目的が一致しており、その結果短い労働時間の中でも生産性が高いのです。

これを企業の場合に落とし込もうとすると、「ミッション」「ビジョン」「戦略性」の3点セットが必要になります。私は仕事柄様々な会社を見ていますが、業種業界に関わらず、この3点セットがしっかりしている会社は業績も良く、勢いがあります。

「ミッション」や「ビジョン」は変わらないものですが、「戦略性」は時代の変化とともに変わらなければいけません。

そして「戦略性」とは次の5つの要件を満たすものです。

①何をもって勝利なのか勝利を定義しているか?

②どこで戦うかを定義しているか?

③選んだ戦場でどうやって勝つかどこまで具体的に決めているか?

④どんな具体的な能力群が必要かを洗い出し、身につけているか?

⑤経営システムや方法が上記4つの戦略的選択を支援するものか?

この5つの要件について、ぜひ考えていただきたいと思います。

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